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2-2

「繭さん?」


ドアをノックして声をかけると、しばらく沈黙が続いたあと中からひたひたと音が近付いてきた。

カチャリと鍵の開く音がして、ほんの少し開かれたドアの隙間から雷光に照らされた大きな瞳が見えた。


「すっ、すみません!先生がお留守でおひとりでいらっしゃるのが心配になったものですから……」

こちらを凝視しているように見えたので、怒っているのかと思い咄嗟に謝り、言い訳をして背を向けた。


この家でお世話になるときの先生との約束に、この部屋と自宅の研究室の中には絶対に入らないというのが最も重要な条件だった。

建て増しされたという研究室はこの部屋の奥にあったので、実質誰も研究室には入れることは出来なかったのだが、教授夫婦の寝室でもあるこの部屋の中に、居候が、ましてや男が入るなど決して許されるものではないので、当然のことだと思った。


ただ、今夜は出張で教授が留守な上、この雷と停電だ。

中に入りさえしなければ心配をして声をかけるくらいは許されるだろう、勝手にそう思ってしまった。


「あの……大事はないですか?電気が復旧したらブレーカーを戻しますので。何かお困りごとがあれば仰ってください」


暗闇の中、ひときわ大きな瞳がこちらを見ているのが気配でわかった。


「……では……目が覚めてしまいましたので、お風呂に浸かりたいのですが……。外は雨で、少し体が冷えてしまって……」


(こんな夜中に?)とは思ったが「お湯加減を見てまいります」と言い残して、僕はすぐに風呂場へ向かった。当然湯は冷めており、体を温めるにはぬるすぎた。


真っ暗闇の中台所に行き、やかんや鍋で沸かした湯を足して風呂の湯温を上げた。

手で湯をかき混ぜながら温度を確かめ、適温になったので繭さんに知らせるため部屋に向かった。

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