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隻腕の召喚術師  作者: 天地優
序章
9/18

第9話 ※三人称視点

キンッキンッ

とある屋敷の中にある庭で金属同士をぶつけ合う甲高い音が鳴り響いている。この庭で行われているのは真剣を使った模擬試合である。対峙するのは、まだ5歳になったばかりの小さな少年と、少年と倍以上体格差のある男である。そして、そんな二人の試合を見守る多くのギャラリー。この家の使用人達、そして少年の家族である。多くの者たちが見守る中、必死で剣をふるう少年、タクは心の中で嘆いていた。


(畜生!!なんでこうなった!!)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「・・・・・・」

とある部屋の一室にいる者達がみな口をつぐんで何かを考えている。みな考えていることはおなじである。目の前にいる少年、この家の長男であるタクについてである。

ここはイースフェルト家の食堂である。この家の者は特に両親が職務に追われているといった状況でなければ家族そろって食事をするのが習わしとなっている。いつもは明るい食卓も今日は少し重い雰囲気のものとなっていた。その理由は今日の祝福である。今まさにタクは家族や使用人たちに自分のステータスを見せた所なのだ。と、いっても見せた本人のタクはなぜ周りが黙り込んでいるのかあまり理解していない様子なのだが。


「みんな、黙り込んでどうしたんですか?」


「・・・・・」


使用人たちや両親は何かを言いたそうな眼差しをタクに向けているが、やはりタクは何食わぬ顔でいる。

ここで、今まで黙り込んでいた父親のモードルがその口を開けた。


「・・・・とりあえずステータスの事は置いておくとしよう。これに関しては今は仕方がない。でだ、タク、祝福の儀の前の日に話したことについては覚えているか?」


「???」


モードルの問いに首をかしげるタク。実際、タクはあの時例の問題の事で頭がいっぱいになっていてそれ以外の事は頭から抜け落ちていたのだ。


「はぁ・・・。良いか、タクよ。我がシュメーテスラ王国の貴族はノブレスオブリージュの精神が非常に強い。つまりは高貴さにはそれ相応の責任が発生するという事だ。それは権力が大きくなるにつれてさらに重くなる。それは、政治や経済など様々な分野で求められる。・・もちろん戦闘に関してもだ。騎士団がいるとはいえ領地を治める貴族が全く戦えません、ではお話にならんからな。そこで、我がイースフェルト家では代々祝福の儀を受けた後から戦闘訓練や座学を学ばせるのが習わしとなっているのだ。・・・・・ここまで言えば思い出せただろう?」


今のモードルの説明を受けて流石にタクも思い出した。祝福の儀を受けてから一週間後にモードルが雇った指南役との訓練が始まるという事だ。


(確か、そんなようなこと言ってたな。・・あの時はそれどころじゃなかったから忘れていた。)


タクは心の中でそんなことを思いながらふと疑問に思った事を尋ねた。


「あの、父様。指南役の方は一体どのような方なんでしょうか?」


この質問を聞いたモードルは「ふっ」と笑い人の悪い笑みを浮かべて言った。


「それはお楽しみだ。・・・だが、安心しろ。腕利きを呼んである。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(ッ!!だからって、腕利きすぎるだろ!!)

タクは剣を振りながら思う。確かに先ほどから繰り出す斬撃すべてを簡単にいなされていればそう思うのも無理はないだろう。客観的に見てもタクとその対峙する男との間には圧倒的な差があった。タクが先ほどから一方的に剣を振り続け、相手はそれをいなし、必要最低限の攻撃しかしていない。しかも、だいぶ手加減されているのが見て取れる。

この状況を打開しようと、タクは一旦距離を取り後ろに後退した。この時、タクは魔法を使おうとしていたのだ。剣だけでは一撃も入れることはできないと判断したからだ。しかし、このタクの選択は悪手でしかなかった。

タクが後退し、距離を取った瞬間、男は先ほどまでとは打って変わって勢いよく地面を蹴ってタクに切りかかった。

「がッ!!」

相手の横薙ぎをギリギリ受け止めたタクだが衝撃は殺すことができずそのまま吹き飛ばされる。男の攻撃はこれで終わらず、吹き飛んだタクに向かって火魔法を放った。

ドンッドンッ

タクが地面に落下すると同時に先ほど放たれた火魔法が直撃し、辺りには土ぼこりが立ち込める。


「・・・・・終わりか。」


モードルは今の一撃で勝負がついたと確信した。モードル以外のギャラリーも同じ思いだっただろう。何人かの使用人がタクに駆け寄ろうとした。しかし、タクの相手の男はそれを手で制した。

タクに駆け寄ろうとしていた者たちや、モードルたちはそれに戸惑いった。


「リンスルよ、もう終わったであろう?どうしたのだ?」


「・・・まだ終わっていない。」


モードルの問いに無機質に返すと視線をタクの居る方に向けた。つられてモードルたちもその方に視線を向け・・・固まった。

土ぼこりがはれたそこには、剣を構え相手の男をにらみつけているタクの姿があったからだ。その姿はボロボロで、服は所々破れて満身創痍の状態であったが瞳の中には確かな闘志が宿っていた。


「いってぇ・・・。やってくれたなこの野郎!」


そういうとタクは先ほど男が放ったものと同じ火魔法を男に向かって放つ。


火球(ファイヤーボール)!!」


リンスルに向かって二つの火の球が飛んでいく。しかし、リンスルは動じることなくその球を剣を振ることでかき消した。


「・・・・ッ!!」


そしてその直後リンスルの脇腹に衝撃が走り、リンスルは宙を舞っていた。


そういうとタクは男に


遅くなってしまって申し訳ありません。色々と忙しくなかなか筆が進みませんでした。次の話は明日中には必ず投稿しますのでどうかこれからもこの作品をお願いします。

今回の話は初の三人称視点とさせていただきました。いかがでしたでしょうか?読みやすい読みにくいなど様々な感想があると思いますが少しでも面白いと思っていただけたら幸いです。また、お手数ですがよろしければぜひ下の評価の欄で評価していただけたらと思います。

それではまた明日お会いいたしましょう。ありがとうございます。

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