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隻腕の召喚術師  作者: 天地優
序章
4/18

第4話

俺は一旦考えるのを止め部屋の真ん中に移動した。俺の部屋はだいたい50畳ぐらいあり、かなり広い。さすが大公家である。1人では広すぎる部屋だ。

俺はそこである魔法を発動した。

すると俺の前に3つの魔方陣が現れた。そして、3体の魔物がその魔方陣から現れた。


「主、お呼びでしょうか?」


「マスター、何かございましたか?」


主人(あるじー)!!」


3体の魔物はそれぞれの反応を取り俺に問いかけてくる。そう、これは召喚魔法によって召喚した俺の配下の魔物たちだ。召喚魔法には何もない状態から生物や武具を召喚する場合いと、召喚対象をテイムして配下とし召喚する2種類が存在する。この3体は前者によって召喚した配下である。まだ5歳で領地の外に出た事がないのにテイムができるわけないだろ。そして、レベルが1の召喚魔法では召喚できるのは3体までである。なので今のところこの3体だけが俺の配下となっているわけだ。


「あの、主?何か考え事ですか?」


「ん?ああ、すまん。少しな。」


ずっと俺が黙っていることを不思議に思ったのだろう配下の1人が俺に問いかけてきた。今俺に質問をしてきたのは俺が一番最初に呼んだ配下でホブゴブリンのゴブ丸君である。え?ネーミングセンスが無いって?ほっとけこら。ゴブ丸君も喜んでるからいいんだよ。全身緑色でゴブリンよりも大きく耳が長い彼は俺があげた剣を腰につけまるで騎士のように跪いている。ゴブ丸君の忠義の程がうかがえるな、うん。


「そう慌てるな、マスターの事、きっと何か壮大なお考えがあるのだろう。」


そして次にしゃべったのは2番目の俺の配下のハイスケルトンのワイズ君である。黒のローブで全身を覆っている彼は丁寧にお辞儀をしている。まるで貴族の執事だな。まぁ俺が貴族なんだが。それはそうと、ワイズ君は魔法が得意でよく一緒に魔力操作の練習をしている。彼はどちらかというと俺の祖父のような感じだ。いつも落ち着いた感じで俺たちのまとめ役みたいなものをしている。


主人~(あるじ~)


そしてこの一番緊張感のなさそうな奴がスライムのレイムで俺の三番目の配下だ。レイムはまだ子供なのかいつもこんな感じでのほほんとしている。まぁ癒しキャラだ。しかし、ワイズ君曰く俺の配下の中で一番の可能性を秘めているのはレイムらしい。なんでもスライムという種族は昔から謎が多い種族で進化の法則性などが全く分かっていないのだとか。なので鍛え方や育て方次第ではとても強くなる可能性があるらしいのだが・・・・・さっきから俺の頭の上でぽよぽよしてるこいつが・・・ねぇ・・・あまりそうは思えないんだがな。

種族の進化と言えば、ワイズ君やゴブ丸君も進化している。ワイズ君はスケルトンから、ゴブ丸君はゴブリンからそれぞれ最初の進化を果たしている。しかも彼らの場合は通常の進化とは異なり、レベルを上げての進化ではない。というよりレベルを上げる手段がないので上げようがないのだ。ではなぜ進化できたのか、それは‛名づけ’によるせいである。名づけとはその名の通り名前のないものに名をつけることを言う。なぜそれだけでレベルが上がるのか詳しい事は分からないが、ワイト君曰く、名前を持つことで魔物は上位の存在となることができる、という事と、契約者とのつながりがより強くなることがその一因ではないか、ということである。まあ強くなるなら何でもいいが・・・。あ!そうそう、なぜレイムが進化していないのかというとそれは俺にもわからない。仕方がないだろ!わからんもんはわからん!これからレベルを上げる機会が増えていくと思うのでレベルを上げていけば、そのうち進化するだろう。というのが俺たちの共通認識だ。楽しみだな。っとだいぶ話がそれた。俺がこの3人を呼び出したのはある相談をするためだ。


「お前たちを呼び出したのは、ある相談ごとがあったからだ。」


「相談ですか?」


ゴブ丸君が「俺たちに?」みたいな顔をしている。見るとワイト君も頭に?を浮かべてる様子だ。レイムは変わらずぽよぽよしている。おい!お前の主が悩んでるんだぞ!まったく困ったもんだ。まぁいい、レイムは置いといて話をつづけるとしよう。俺は明日の祝福についての相談をした。明日、俺が祝福を受けること、その後にステータスを見せなければならないが、俺のこのままのステータスを見せてもいいのかという事を。話を聞いていたゴブ丸君はまだ疑問が残るような感じだ。ワイト君は納得がいったというような感じに、レイム君は・・・・まあ察してくれ。

するとここで先ほどから頭に?を浮かべているゴブ丸君が口を開いた。


「主、申し訳ありませんが、俺には何が問題なのかわかりません。そのままお見せすればよろしいのではありませんか?」


その問いに俺が答えようとしたとき、ワイズ君が諭すような口調で代わりに口を開いた。


「マスターのステータスは5歳の子供のそれではない。特に魔力保有量、魔法力、そして知力、これらのステータス値は異常だ。それにスキルなども同じだ。レベルが上がっている。本来は祝福で自分のスキルを確認してからレベル上げをするもの。なのにマスターはそれを受ける前かすでにいくつかのスキルはレベルが上がっている。しかも、レベルから考えるに5歳になる前からだ。()()()()()()ではそんなことはまずありえない。このステータスを見せるという事はそれらについても説明せざるを得ないという事。」


「説明すればいいんじゃないか?主が強いことの証明にもなる!!」


「そして、マスターが転生者であることを話すのか?」


「ッ!!」


ワイズ君の最後の言葉でゴブ丸君がはっとした表情になる。ようやく理解したようだ。


「そう。それだけは、俺が転生者であることはばれてはいけないんだ。いや、この言い方は少し違うな。いずれは必ず話さなければならない。でも、今はまだその時ではなんだ。このステータスを見せ、説明しろと言われたとき、俺が転生者であることを避けては通れん。だから、見せるわけにはいかないんだが・・・・」


ここで俺も、ゴブ丸君も、ワイズ君も押し黙る。正直、どうすればいいのかわからなんだ。明日の祝福は避けては通れない。時間もないので今から隠蔽系のスキルを取ることもできないだろう。みんなも、なかなかいい案が浮かばないようだ。


「はぁ。こんなことならあの時、女神とかなのる奴からもっと便利なスキルもらっとけばよかったな・・」


「!?それです!!!」


「え?」


俺が溜息混じりに洩らした愚痴を聞いたワイズ君がいきなり叫んだ。


「マスター、それですよ!!女神様です!!」


「え?え?どゆこと??」


俺だけでなく、ゴブ丸君も「なんだ?」とワイズ君に問いかけた。

ワイズ君はそんな俺たちに、説明を始めた。


「いいですか、私の考えですが、明日おそらく・・・・・・・・・」


ワイズ君の説明を聞き終えて俺は唖然としていた。それはゴブ丸君もおなじで、口を開けて呆然としている。それほどまでにワイズ君が言った案は驚くべきものだったのだ。


「そんなことが・・・・」


「かけてみる価値は十分にあるかと。」


「いや、しかし・・・・・。だが、他にいい案が無いのも事実。・・・よし!!かけてみるか!」


結局ワイズ君の案に乗ることにした。それでもこれは一種の賭けのようなものだが・・・・・


そういえばレイム君はずっとぽよぽよしていた。何のために来たんだ一体・・・まぁ呼んだの俺だが・・・

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