第3話
あれからシャルが寝てしまったので母様はシャルを抱きかかえてそのまま部屋に戻った。俺は夕飯まで自分の部屋で本を読むと言ってリビングを抜け出し今わ自分の部屋の椅子に座っている。そして、俺は今絶賛窮地に立たされ中だ。え?日本語がおかしいって?そんなことを言っている場合ではないのだ。
その原因は先ほど母様が言った明日行われる祝福だ。別に教会が嫌いとか、外に出たくないとかで悩んでいるのではない。というか俺は引きこもりではないのでそもそもそんな事では悩んだりしないのだ。問題はもっと別のものだ。そう明日授かるものが問題なのだ。明日授かるもの、そうステータスとスキルである。何がどう問題かというと・・・・とりあえずこれを見ればわかるだろう。
「鑑定!」
俺はそう唱えた。
すると俺の頭の中に自分のステータスが浮かんできた。
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【ステータス】
名前:タク・フォン・イースフェルト
年齢:5歳 種族:人族 性別:男
称号:イースフェルト家長男 転生者 ??? ???
レベル:1
【能力】
体力:50
魔力保有量:400
魔法力:120
腕力:30
敏捷:35
知力:1000
【魔法】
火魔法Lv1
水魔法Lv1
風魔法LV1
【スキル】
鑑定Lv3
魔力操作Lv4
召喚魔法Lv1
【加護】
???? ????
とこんな感じなのである。ここでこの世界におけるステータスについて説明するとしよう。
まずは称号についてだが、これはそのまんまである。その人の肩書や異名などである。俺の場合は???があるのだがそれは俺にもわからない。
次はレベルだ。これはその人の強さを表す最も重要で分かりやすい指標だ。早い話がレベルが高い人が強いという事だ。このレベルは生物を殺すことで経験値が入り上がっていく。また、殺したりせず、模擬戦などという形で戦うだけでも経験値は入るのでレベルは上がる。俺はまだ、魔物を殺したこともなければ模擬戦をしたこともないので、当然のようにレベルは1である。え?なんで上げないのかって?無茶言うな。こっちはまだ3歳だぞ。
さて、次は各能力についてだが、これらの説明は以下のようになっている。
体力:HPのようなもの。攻撃を受けたり、怪我、病気などをすると減っていく。0になると死ぬ。
魔力保有量:文字通りその人が持つ魔力の量を現したもの。魔力量が多いと、より強い魔法を使ったり、たくさん魔法を使ったりできる。
魔法力:魔法を使った時の威力に関係する。多い方が同じ魔法でも威力が強くなる。
腕力:物理的な攻撃の攻撃力に関係する。多い方が攻撃力が強くなる。
敏捷:動きの速さを表す。
知力:賢さ。多くの知識を持つようになると数値が上がる。
次は魔法についてだ。
魔法には、火、水、土、風、光、闇の5つの属性魔法があり、レベルが上がることにより使える魔法が増えていき、威力も上がっていく。つまり、魔法の威力については魔法力と自分の持つ属性魔法のレベルの高さに比例しているという事だ。俺は、まだ魔法の練習をしたことがないのでレベルは1のままだ。
次はスキルだ。
スキルとは文字通りその人が持つ技能だ。例えば、剣術が得意な人なら剣術スキルを持っているし、暗殺者なら隠密スキルを持っている。また、属性魔法以外の魔法はこのスキルに分類されている。スキルは発見されているだけでも数百種類あり、その中には後天的にも取得できるものと、先天的にしか取得できないものがある。剣術スキルなどは前者、属性魔法以外の魔法は後者である。つまり、先天的なスキルを持つ者はほとんどいない、とまではいかないが珍しいのである。
最後は加護についてだ。
これは自分よりも高位に存在する存在、例えば神などが気に入ったものに恩恵を与えたときに発現するものだ。現在、この世界において何らかの加護を持つ者はまれである。加護の与える恩恵は絶大であり、1つでも加護を持つ者は英雄や勇者などと言われるほどである。
さて以上でステータスの説明が終わったわけだが・・・・・俺が人にステータスを見せられない理由である。まず、能力値から問題がある体力や敏捷、腕力については年相応のものといえた。しかし、知力と魔力保有量、魔法力の値が高いのだ。魔法力はまだ才能がある、で片付けられるのだが残りの2つはそうはいかない。魔力保有量と知力が5歳にしては異常な数値を示しているのだ。そして、スキル。これは保有している物が特殊なものというわけではないが(召喚魔法は特殊だが)問題はそのレベルである。本来、祝福を受け自分の持つスキルが何か判明してからそれを鍛えてレベルを上げるものなのだが俺は祝福を吹っ飛ばしレベルの高いスキルが存在している。それに、スキルはレベルが1つ上がるにつれて、次のレベルまで格段に上がりにくくなるのだ。それなのに俺はレベル4のスキルが2つもある。5歳なのに。うん、まずい。実は、このレベル4のスキルのうちの1つが俺の能力値の高さにつながっているのだ。それは、魔力操作のすきるだ。これは、体内外にある魔力を操作するのがうまくなると手に入れることができる。俺は転生前に女神に言われたことをもとにして、魔力を操る訓練をしていた。これならば、体を動かさずにできるから乳児期にもできる。その結果、魔力保有量が増加し、魔法力が上がってしまったのだ。
しかし、これだけではない。そう、最大の問題は称号のところにある転生者だ。加護のところが???になっているのも気になるが分からないことを気にするよりも分かっていることの方が重要なのである。この転生者は流石に見せられない。自分の息子に違う人間の人格が宿っていたなどと知ったら両親はどんなふうに思うだろうか。きっとあの優しい両親の事だ、それでもかわいがってくれるに違いない。しかし、心のどこかで落胆してしまうだろう。そして、責任を感じてしまうだろう。タク・フォン・イースフェルトという本来生まれるはずだった子が生まれてこなかったのだから。そんなわけにはいかない。何としてもこの称号だけは見せるわけにはいかないのだ。
しかし、本当に困ったな。俺は隠蔽系のスキルを持っていないから、隠しようがない。もう祝福は明日に迫っているのだが・・・・・。
しかたない。こういう時は彼らに聞いてみよう。きっと何か良い意見をくれるはずだ。