第2話
俺の名前はタク・フォン・イースフェルト、3歳児だ。え?そんな話方する3歳児はいないって?仕方ないだろ、見た目は5歳児でも中身は健全な成人男性だ。小さい子の言葉で話す方が無理な話だ。ちなみに今は自分の部屋で日課となっているある事をしているのだがそれはまた次の機会に話すとしよう。
そう気づいているとは思うが俺こと、稲葉孝弘はタク・フォン・イースフェルトとしてこの世界に転生したのだ。ここで転生した俺の、そして周りの事を説明しよう。
俺が生まれた国の名前はラーウェイ王国、建国されて約400年続く歴史ある国である。そして俺が生まれたのはそんな王国の中でも最も権力を持つ貴族の中の一つであるイースフェルト家である。
ラーウェイ王国の中の階級にはそれぞれ、平民、準男爵、男爵、子爵、伯爵、侯爵、辺境伯、公爵、大公と9つの階級があり、イースフェルト家はその中の最上位、大公に当たる家である。
めちゃめちゃ強い権力を持っている。当然家もでかい。まあ権力を持っているのはうちの両親なんだが・・・ここでうちの両親も説明しておこう。
まずは父親からだ。俺の父親、モードル・フォン・イースフェルトは爽やかなナイスミドルである。短く切った金髪に、程よく焼けた褐色の肌、そしてきりっとした顔立ちで早い話がイケメンだ。しかも顔だけでなく武においてもこの国では上位の方に入るほどだと、家の使用人たちが話しているのを聞いたことがある。ぜひ一度見てみたいものだ。
次に俺の母親だ。名前はルイ・フォン・イースフェルト。透き通るような蒼い瞳に同じくつやのある瞳と同じ色の長い髪の毛のこれまた超が付く美人である。なんでももともと子爵の次女だった母をうちの父親が社交界で見て一目ぼれしてそのまま結婚を申し込んだらしい。そりゃあんなイケメンにプロポーズされたら大半の女性はOKしちゃうでしょ。・・・イケメン許すまじ・・・・まぁそれは置いといて次が最後の紹介だな。
最後は今年で2歳になる俺の妹である。この妹がとにかくかわいいのだ。最近は、はいはいと簡単な言葉が話せるようになりますますかわいい。そしてこの妹はよく俺の後ろをはいはいでついてくるのだ。
おっと噂をすればだ。
「にいしゃま!」
シャルがはいはいでこちらに向かってきた。俺は本を読むのを中断してシャルを抱きかかえた。シャルは「わー」とはしゃぎながら俺の顔を手でぺしぺしと触ってくる。なにこれかわいい。
俺はそのままシャルを膝の上に置き再び本を開いた。シャルは、はいはいできるようになってからは母様監視のもとよく今いるリビングを動き回っている。なので同じくリビングで本を読むのが日課の俺のところによくこうしてやってくるのだ。そうしてシャルと2人で本を読んでいると後ろから母様の声がした。
「シャル~お兄ちゃんの邪魔しちゃダメでしょ~」
のほほんとした感じで母様が言う。どうやらこっちに来てしまったシャルを連れ戻しに来たようだ。相変わらず母様は緩いな~。おっとりした性格の母様はいつもこんな感じで俺やシャルに対しては基本あまり怒らない。父さま曰く怒らせない方がいいらしいが・・・・まぁそれについてはあまり触れないでおこう。
「ほらお兄ちゃんの邪魔になるからこっちにいらしゃ~い」
母様は腕を広げながらこちらに近づいてきた。するとシャルは「いや~」といいながら俺にしがみついてきた。いつもこんな感じで俺から離れようとしない。まったく困ったもんだ。
「困ったわ~」
それをみた母様は本当に困ったような表情でそう言った。
「大丈夫ですよ母様。邪魔じゃないですし。シャルもいい子にしてるもんな~」
そう言ってシャルを見るとシャルはこちらをみて「いい子~」と笑顔で叫んだ。かわいい。俺はシャルの頭を撫でる。
「そう?ならタクちゃんにお願いしようかしら~、いつもいつもご免なさいね~」
母様は微笑んでリビングのソファーに腰かけた。シャルは俺が開いている本の文字を眺めている。ここまでがいつもの光景となっている。母様がリビングにいるのはこうしていると割と早くシャルが眠ってしまいそうなったシャルを部屋に連れていくためである。家には使用人たちがいるのだが母様はできる限りは自分で子育てしたいと、可能な限りは育児を自分で行っている。母親の鏡である。
俺とシャルが2人で本を読み始めて少し経ったころ母様が話しかけて来た。
「あっ、そういえばタクちゃん!明日は教会に行って祝福を受けるからね~」
「えっ!?明日ですか!?」
「そうよ~この前3歳になったから祝福を受けられるのよね~お父さんとも話してたんだけど明日にしようってことになったのよ~」
そんな母様の言葉を聞いて俺は冷や汗をかく。
祝福とは3歳児になった子供がステータスとスキルを初めて授かる日である。教会に行って神にお祈りをすることにより神から祝福を受けるというものだ。ステータスやスキルについてはまた説明するにしても・・・・こんなに早く祝福がやってくるとは・・
「ん?どうしたのタクちゃん?難しい顔して?」
{いや、なんでもないですよ!!」
俺は母様の問いかけに思わずそう答えたが・・・・・まずいぞこれは!!!