第1話
気が付けばそこは真っ白く何もない空間だった。先が見えずただただ広い空間だった。
「あれ・・?俺は確か仕事に行く途中だったはずだが・・・」
俺こと稲葉孝弘は日本で働くサラリーマンだ。それでも世間一般で一流といわれる企業で企画担当の仕事をしている。今日は定例会議がありそこで新しい企画のプレゼンを行うことになっているんだが・・・・・・
とりあえずここから出ないとな・・・
俺がそんな事を考えていたその時俺の前に突然白い光が輝きだした。
俺はそのまぶしさに思わず目を覆う。
(な、なんだこれ!?)
しばらくすると光が止んだので恐る恐る目を開けると俺はそのまま固まってしまった。
なぜならそこには生まれてこの方見たことのない絶世の美女が神々しく立ちこちらを見ていたのだ。
突然の出来事に俺は只々呆然とするしかなかった。そんな俺に目の前の美女は話しかけてきたのだ。
「あなたに次の人生を違う世界でおくる事を許しましょう。」
そして目の前の女性が発した言葉にまたも俺は呆然としてしまった。
(は?・・・次の人生!?異世界!?ってその前にこの人誰だよ!)
俺の頭の中がパニック状態になっているとき、目の前の女性が淡々と言った。
「私は転生を司る神レイムです。」
(神だと!?確かに神といわれても納得できるものがあるがまさか・・というか俺の思考を読まれた!?)
「はい。私はあなたよりも遥かに上位の存在、思考を読むくらいわけないですよ。」
(また読まれた!?・・・・・マジで神様なのかよ・・)
「そうですよ。」
「ってことはさっきあなたが言っていた異世界や、次の人生って言うのは・・・・・」
「すべて事実です。」
(まじかよ・・でもなんで俺が、しかもいきなりこんな状態になるんだよ)
「申し訳ございませんがそれについては今は話すことができません」
先ほどの無機質な表情とはうって変わって少し申し訳なさそうな表情になりながら彼女は告げた。だがその返答に俺はさらに分けがわからなくなった。
「ちょっとまて!!いきなり次の人生だとか、異世界だとか言っといてこっちにはなんの説明もないのか!?」
俺は思わず叫んでしまった。しかし、それに対しても彼女は淡々と口を開く。
「それについては口止めされているので今は本当にお話しすることができないんです。大変申し訳ないと思っております。ですがこちらかも転生後のあなたにはきちんと能力を与え、あなたがすぐに死んでしまうということがないようにさせていただきます。あなたの転生先はすでに決まっており与える能力も決まってはいますが・・それを生かすも殺すもすべてはあなた次第です」
捲し立てられて俺は混乱してしまう。何度目であろうか。
「まて、能力が決まっているって・・・それに転生先も、一体だれが決めたんだよ!?あんたか?」
「それについても今は申し上げられません。しかし、転生先については安全は保障できます。あなたに与えられる能力についても・・・もう時間ですね。」
「は?時間って・・・おわっ!!」
彼女と話していると突然俺の体が光りだした。
「おい、これなんだよ!てか話の途中だろ!!まだ最後の言葉の意味も聞いてないぞ!!」
「残念ながらあなたがここにいられるタイムリミットが過ぎたようですね。詳しい事を話せずに申し訳ありません。お詫び、といっては何ですが少しばかりの助言を。あちらの世界には魔法が存在し、当然魔力もあります。乳児では体は動きませんが体内の魔力は動かすことができます。・・・・私からの助言はここまでですね。では良き人生を・・・」
「待て待て待て!!今さらっととんでもない事言った・・・だ・・ろ・・ぅ」
俺が彼女の言葉にツッコミを入れようとした時、俺の意識は闇におちた。
孝弘がいなくなった空間では女神が一人佇んでいた。
「あなたには色々と期待していますよ。」
そう言って彼女もまた光に包まれてきえていった。