はた迷惑な兄妹
今回も、登場人物が胸糞発言をしています。
作者は合コンにも、それに参加する人にも偏見はありませんが、過去に参加した合コンにてこのような発言をする男性に遭遇した事があるのです。
ご不快になられた方がいらしたら、すいません。
とりあえず水野さん達には、疾風が鬼沢さん達の同僚で同棲中の彼氏だと説明して、詳しい話は休み明けの昼休みにでもと話していたら、
「あれあれ~、女の子が3人ともこんな隅に固まっちゃって何話してるの~? ほらほら、合コンなんだからもっと俺達とお話しようよ~」
するりと席を移動して隣にきた岡野さん(兄)が私の肩を抱いてそう言うと、水野さん達を追い払おうとしてきた。
「いやっ、放して下さい!!」
「岡野さん、遠野ちゃんが嫌がってるでしょう、放して下さい。 だいたい合コンじゃありませんって、何度言ったら分かってくれるんですか!」
肩から手を外そうと身を捩っても放してくれず、さらにもう片方の手をわきわきさせて胸を触ろうとしてきたのを水野さんが庇ってくれたら、
「はぁあ、お前ら合コンなんて男漁りしに来てんだろ! 大して美人でもねえくせに、ちょっと胸揉む位良いじゃねえか、ふざけんじゃねえよ!!」
と逆ギレして殴り掛かってきたのを、真上さんが止めてくれる。
私達を呼び出したことに責任を感じた鬼沢さんが疾風の救出に向かってたものの、こちらの騒ぎに気付いてキレそうになってる疾風を抑える方向にチェンジしたのを確認して、真上さんが岡野さんを怒鳴りつけた。
「お前、いい加減にしないと強制わいせつ罪で逮捕するぞ!!」
「さっきの一部始終は動画で証拠として撮ってあります、言い逃れはできませんよ」
しかも青衣さんのスマホを見せながらの援護射撃に、焦りだした自分のお兄さんをみた百合さんは、疾風に縋りついて、
「酷~い、あの人達最低っ!! あのドブス、自分からお兄ちゃんに、媚売っておいて、何様のつもり? コレって冤罪って言うんですよね風祭さん、あの人お友達だったら何とか言ってやって下さいよ~」
なんて言ってるけど……百合さん疾風の顔見て言ってる、それ?
「最低はどっちだ、いい加減にしろよ! お前も、お前の兄貴も……」
あきらかにヤバイ人外のオーラを背負った疾風の低い声に、さすがの岡野兄妹もマズイと悟ったのか、ひいっと悲鳴をあげてバタバタ逃げていってしまった。
岡野兄妹が帰ったことで落ち着きを取り戻した部屋の中、黒いオーラを発していた疾風が私の元に走り寄って抱きしめるなり、
「風子、怖かったでしょ大丈夫? すぐに助けにいけなくてごめん。 彼奴らふざけた事言ってたけど、あんな女より風子の方が100倍可愛いし、俺が好きなのは風子だけだからね!!」
なんて、いつもの調子に戻ったのを水野さんと青衣さんが唖然とした表情で見てる、鬼沢さんと真上さんはこっちに背中を向けているけれど、その肩の揺れ具合で笑ってるのはバレバレですよ。
「私は大丈夫だよ、水野さん達が助けてくれたからね。 疾風もお疲れさま」
とりあえず手を伸ばして頭を撫でる事で疾風を落ち着かせてると、
「なるほどねえ、こんなイケメンに溺愛されてたら、恋人募集中の千恵ちゃんには言えないわよね」
青衣さんにはクスクス笑いながら言われるし、水野さんは呆れたように
「どうりで、遠野ちゃん合コンに興味ないはずだわ」
と言われてしまった……まあ、これで疾風の紹介も出来たし、解散しようという時になって気付いたんだけどあの兄妹、自分達が飲み食いした分のお金も払わずに帰っていったのね。
テーブルの上は空のグラスとお皿が大量なんだけど……
「ここは俺がだすから、女の子達も疾風も何も食べて無いだろ。 俺と真上は、食べてたからさ」
なんて鬼沢さんの言葉に、水野さんが自分の知り合いのせいだからと食い下がってたけど、ここは1番の年長者をたててほしいと押し切られたみたい。
それにしてもはた迷惑な兄妹だったなぁ、もうあの兄妹とは、関わり合いたくないな……