【非公開】ある警官の会話
A「デカイ声じゃ言えんけど、
犯罪者視点で考えっと、
VG治世下で犯罪とか無理っスよね?」
B「まぁ、電子円と電子財布で、
盗むモンなくなっちゃったかんね。
窃盗やら強盗の類はそもそも成立せん」
A「足がほぼ共有化されてて非合法にゃ使えねぇし。
強盗、誘拐はもちろん…
空き巣や詐欺だって徒歩じゃ無理っしょ?」
B「ま、それ以前にナギ・ナミと電子財布が
生活の中心にあるこのご時世、
監視と追跡技術の連動を
出し抜くのは不可能だろうよ?」
A「生きる事そのものが不便で不自由な
不所持やら仮通持ちやら、
それ自体、犯罪予備軍って告るようなモンだし」
B「行動が常に特定、追跡されてるなんて知ったら、
善良な市民が発狂するから漏らすなよ?」
A「へいへい。
善良な警官捕まえてヒドい言い草。
詐欺やサイバー犯罪も…
〝水面下で暗躍〟が基本っショ?」
B「VG丸投げすぐの頃、
ゴッソリ検挙された後、とんと聞かんし。
〝犯罪者とのイタチごっこで、
わざわざ手の内明かす策はない〟
と言われちゃあ、二の句継げんよな」
A「まぁ、ごもっとも。
かくして俺らは閑職となりにけり…
っすか?
警察の華々しい活躍なんて動画の中だけ、
もはやファンタジー(笑)」
司令「それでもやらかすバカは尽きまじ…
だよ、新人」
A「へ?」
搭乗している車両が、
車輪を鳴らして急発進する。
司令「要撃警邏二十二号車、
要員二名は指定箇所に急行し、対応せよ!
既知情報は端末眼鏡に送る。以上!」
A・B「了解!」
司令「軽口は大目に見るが、守秘義務は守れよ?
それに…」
A「それに?」
司令「私の予防だけで間に合わん時、
諸君らが最後の砦。
誰がなんと言おうと、私は頼りにしてる。
それじゃ不満か?」
A「まさか!
街が平和なら、暇つぶしのネタ探しなんて
ぜんぜん苦じゃないス!」
B「バカ…」
司令「頼んだぞ!」
A・B「了解!」
某県警、要撃パトロールは街の平和を守るため、
今日もまあまあ働いている。