File:17 小煩悩
挿絵とか描きたいな。
時間、ないな。
私、清の1日は朝早く、日が昇る前に始まる。
まずは社会様の寝顔を小一時間程眺め、次に私と社会様の借り部屋を静かに掃除する。
そして、朝食を作り始める。
社会様が目覚めるのは午前5時30分27秒頃だと決まっています。
習慣とは凄いものだと気づいた時は思ったものです。
朝食は6時前後に取れるように用意を終え、私はテーブルに並べます。
社会様が身支度を終えるまでは朝食の並べられたテーブルの前で、待っています。
こうして、自身の行動を振り返って見ますとさながら、新妻の様です。
ふふ、社会様の妻、なれれば良いのですが、社会様からは私は従者でしかない御様子ですし。
しかし、今の私は少しばかり違います。
報奨を与えて下さると、考えていておいて下さいと言ってくださったのです。
それは詰まりは、大概のことは聞き入れて下さるということ。
既成事実を作れば、社会様も私を妻として見てくださるでしょうか?
そうとなれば、今日の夕食は決まったも同前です。
そうこうしているうちに、社会様が身支度を終えられた様です。
恙無く朝食を終え、今日は工房に行くと言って出ていきました。
私は私で夕飯の準備をしませんと、今日は取って来なければいけないものが沢山ありますから。
◆◇◆◇◆
しかし、元が高性能AIが搭載されているだけのエネミーであったが為に、外に出ても攻撃されませんね。
まぁ、攻撃されようとも負けませんけど。
私も社会様の従者になり、ステータスにプラスやマイナスの補正を受け、何より人為体を確保した事による補正で少しばかり動き難かったり、窮屈だったりしますが、様々な事が出来るようになったので総合的に見れば大幅にプラスですね。
抑々、従者自体が所有者のポテンシャルによって補正が加わるそうですから。
清はそう考えながら、自身のステータスウィンドウを開く。
Name:清
Race:竜人族
HP:1900
MP:25
STR:-10
VIT:-10
DEX:15
AGI:-20
INT:0
MND:5
LUK:10
·称号
[社会に仕えし者]
·スキル
[料理人Lv.6] [栄養管理士Lv.5] [砥師Lv.11] [追跡者Lv.13] [鑑定士Lv.4] [隠密Lv.12] [気配遮断Lv.9] [炎耐性Lv.1] [物理耐性Lv.1] [柔術Lv.7]
・Condemned Skills
[思い女性]
·控え
[咆哮Lv.1] [ポイズンブレスLv.1] [ファイアブレスLv.1]
強い筈ですが社会様と比べるとどうしても見劣りしてしまいますね。
上位スキルを四つ程所持しているのはかなりのものだと自己認識していますが、それは他の事を余りしていない裏づけでもあるのですよね。
しかし、どうして社会様に負けたのでしょうか。
いえ、HPを削り切られたというのは当然として、何故?
ステータス的に見れば基本値である0と言う数字に私と社会様では大きく差がある筈なのに。
仮にもエリアボスとして配置されていた私は、しっかりと物事を考えて行動出来る頭を持っていた、そして扱う体も能力も凶悪であったと自負している。
正直言って初期装備、初見の相手に負ける筈のないものだった筈である。
情けないと思う反面、社会様に出会えた事に嬉しさを覚えてしまったのを今でも忘れていません。
何のかんの考えている内に欲しいものも揃ってしまいましたねぇ。
借宿に帰りますか。
◆◇◆◇◆
借宿に着く頃には昼を過ぎていた。
早く夕飯の支度をしなければ、社会様が帰ってきてしまっては手伝いなどを申し出てくる筈ですから。
しかし、今日はいつもより準備する事が多いですね。
嬉しい悲鳴と言うものですけど。
──────割愛。
案の定時間が掛かりましたね。
しかし、どうでしょう。
とても良い具合だった様です。
社会様が丁度帰宅した様なのですから。
なので私は急ぎ社会様の元へ駆けつけ言うのです。
「おかえりなさいなさいませ、社会様」
あぁ、幸せです、幸福です。
その上社会様から返事が返ってくるというのですから、天にも昇る快さです。
社会様からの返事に心浮かされ、テーブルに特別な夕飯を運んでゆきます。
しかし、社会様は社会様でした。
夕飯を見ただけて私が欲しいものが分かってしまったようです。
私は必死に、お願いしました。
だけれど、それは叶わないと叶えられないと私は社会様の声音から理解してしまいました。
社会様はいつも真剣ではありますが、これ程までに苦い御顔をなさった事は無かったのですから。
必死のお願いはする方が真剣であるぶん、断る方も苦しくなってしまうのだ、と私はこの時の社会様を見て聴いて知りました。
だから、情なくて社会様に苦しい決断をさせてしまった自身が。
申し訳なくて、でも口から零れるのは─────。
───────浅ましい欲望ばかりで。
深く人を愛してしまう私より。
もっと本当に苦しいのは、何事も真面目に考えてくれる、愛された人であると言うのに。
私は情けなくなり、溢れそうになる涙を堪える。
そんな私の言葉を裂いて社会様は情なくて浅ましいこんな私を諭してくれた。
それはただ常識を突きつける為だけの愛の無い言葉だった。
けど、そこには熱があって、情があって、優しさがあって、葛藤があって、苦しみがあった。
けど、けれど、私をこんな私を心配しての言葉だったと言うのだから、本当に仕事馬鹿で、救えない程のお人好しだと思った。
その後、少しばかり冷めてしまった、夕飯を2人で食べた。
2人で並び食器を片し、いつも通りに布団に入り込んだ。
「おやすみなさい、清」
「はい、おやすみです。
社会様。」
社会様の手にそっと手を重ねる。
か細い金属音が響く。
『清姫はFamily Skills[死が二人を分かつとしても]を取得しました。
何このスキル呪いじゃ無いですか、やだー。』
『コホン、社会の所持Extra Skills[従者:怨嗟の大蛇]はFamily Skills[死が二人を分かつとしても]に変化致しました。
社会、気を付けて下さいね。
これ、そこら辺の呪術よりも怖くないですか?』
・Family Skills
[死が二人を分かつとしても]
メリット:ステータスの値全てに50プラスする(2人で行動している場合のみ)。
常時顕現化(清のみ)
1人で行動している時、消費系生産物の生産個数が倍になる(社会のみ)
デメリット:片方が死ぬと復活系のアイテムが無い場合、もう片方も死ぬ。
どうも、ご馳走様、惚気回です。
ここまでお付き合い頂きありがとう御座います。




