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File:14 自己的魔法解読論

投稿が遅れもう訳ありません。

掃除しながら書いていたストックがあるので、毎日投稿頑張ります。

なので、読んで頂けると幸いです。






 夕食を終えた社はすぐにログインする事になった。

 食器などは結が片してくれると申し出てきたので任せ、風呂に入りゲームの世界へと潜っていったのだ。

 このままでは後に、現実の生活に問題が生じるのではないだろうか。

 何せ今の所、食事、入浴、トイレと言った向こうではどうにもならない時にしか、現実で過ごしていないのだ。

 これではいけないのではないだろうか。

 1日で家事などに割り当てる時間は増えている。

 それは確実だ、間違いない。

 けれど、現実にいる時間が、大幅に減少した。

 それを今日1日で痛感させられた。

 そう、まだ正式なサービスが開始されて1日と過ぎていないのだ。

 それで、この乱れようなのだから。


 いや、と思い直し一度思考を凪、仕事として割り切る事にした。

 ────閑話休題。



「社会様、どうかなさいましたか?」

 清が声を掛けてくる。

 社がログインして直ぐに考え込んでしまったからであろうか。


「いや、何も無いです。

 けれど、清に一つ聞きたい事があります」

 社に頼られる事が余程嬉しいのだろうか。

 清は高陽していた。


「はい、なんなりと。

 一つと言わずいくらでも、お聞き下さい」

 聴き取りやすい良い声音である。

 聴覚に柔らかな癒しを与えてくれる。


「そうか、では聞きます。

 簡素に言えば魔法についてと言ったところでしょうか」

 清は少し顔を顰める。

 それは不快などと言ったものから来るものではなく。

 難しさ故にくるものであると容易に理解出来る。


「魔法、ですか。

 それは少し難しいですね。

 いえ、魔法についてのスキルを取得するだけなのであれば、魔術協会にでも行けば、あれよあれよと言う間に出来るのですが、社会様が求めているのはそういうものではなく。

 もっと、根幹的な事なので御座いましょう。

 正直に言ってしまうのは簡単な事ですし、嘘をつくのも簡単な事ですが、私の考察となると話は変わってきます。

 正直に言えば、分からないと言いたいです。

 嘘を付くくらいなら死にたいです。

 しかし、社会様が望むのは図書館の本になど載る事のない情報なのでしょう。

 私の主観的情報からそうでないものまで」

 一息で社が求めているのものを言い当てる。

 少しばかり恐ろしく感じてしまう。

 それは、自分を見てくれているのだ、という感覚と、自分は見られているのだ、と言う感覚。

 それにしても、見事に汲み取ってくれるものだ、嬉しいのやら、怖いのやら。


「ええ、そう言う事になりますね。

 して下さいますか?」


「はい、勿論です。

 とは、言いましたが少なくとも私一個人の主観、感覚に基いた説明ですので悪しからず。

 さて、魔法とは主にプレイヤー、NPC問わず潜在的に持っているMPを消費して自然現象、又は不自然現象を故意に起こす事を指します。

 詳しく言えば、それ以外にもありますが主にはこの二つです」

 社は静かに聴く。

 清が言葉を切ったので相槌を打つ。


「では、MPとは何なのか、という事なのですが、飽く迄私一個人の見解としてはMP=Magic Pointではなく、MP=Mind Pointだと考えます。

 さして、理由がある訳ではありませんが、魔術協会で魔法を取得する時に言われる事があるのです。

『アナタが知った魔法は未だ入口を見ず、しかし、アナタが知った魔法は無数の先駆者の覚書をであり、魔法の深淵である』と。

 これを念頭に置いて考察しますと、既存の魔法を覚える事は容易な事である。

 想像し、創造する事こそが真の魔法であると、その時そう言われた様な気がしたのです。

 詰まり、だからこそ、MPとは意向や希望を意味するMind Pointだと私は考えた訳です。

 この事から、社会様の求む事は可能かと思われます」

 清は自信が無い様子で見解を語ってゆく。


「非情に興味深い見解ですね。

 続けて下さい」

 まだ、先があるのだろうと社は予測し、促す。


「はい、では僭越ながら続きを。

 では、それは何処にと言うお話なのですが、プレイヤーにはHPとMPがあります。

 HP=Health Pointはプレイヤー、NPC、敵に関わらず一部を除き全ての物に設定されています。

 それこそ、今借りているこの部屋の床や壁、扉に窓などと言った全てにです。

 しかし、物などに関しては私たちとはHPの意味合いが少しばかり変わってくるという事です。

 物などに設定されているHP=Health PointではなくHit Pointであると言う事です。

 私たちに設定されているHPは健康状態を表すものであり、物などに設定されているHPは叩ける回数、詰まりは壊す為にはどれ程攻撃を加えなければいけないかを表す数値と言う訳です。

 よって、心身を数値化したものがMPとHPだと私は考えます。

 詰まり、HPは肉体的健康状態を表す数値。

 MPは精神的()()を表す数値であると愚考します。

 何かとしか言い様がありませんのは、魔法を使う事で確かに消費する事からMagic Pointである可能性も否定し切れない事によるものです。

 ですが、何処にと言うお話ですので、MPは人によって感覚が違うと聞きますが、私の場合は体内を巡る様に流動しています。

 即ち、血液の様な状態ですかね。

 人間以外の動物型にはこのタイプが多いと聞きます。

 ですが、人間型は頭や心臓の位置などが多いそうです。

 以上が私の主観的な見解です」

 清はやり遂げたと言わんばかりの満足した表情であった。


「そうですか、ありがとう御座います。

 では、もう一つ。

 MPを感じ取る事は出来ますか?」

 社は疑問を解くように質問を重ねる。


「感じ取れるかですか。

 それは自身の内部に集中すれば出来ない事はありませんが、人によって感じ取る事が出来る人と、出来ない人がいます。

 それに、明確に場所が分かっていなければ難しいですね。

 人によって差異がありますから一概にこことは言えませんが、私は先程言いました様に血流を追うように集中すれば感じ取る事が出来ます」

 そう言い切ってから、清は楽な座り方になり目を閉じた。

 数秒後、薄くではあるが清が光で覆われる。

 ほんの数ミリといった、薄い膜程度の光が。

 しかし、それは直ぐに解ける。

 はぁはぁ、と清は蒸れた息を零す。

「み、見えましたか、社会様?」


「はい、しっかりと見えました。

 慣れない事をさせてしまって申し訳ありません。

 ですが、ありがとう御座います。

 確かに、清が言いました様に私が試したい事がこれで出来そうです」

 社はそう言って瞑目する。


 自身の内側に意識を向ける、集中する。


 深く、深く潜る。

 身体が熱を帯びてゆく。

 血液が速く廻っているかの様に、血管が摩擦され、焼けてゆく様な感覚。

 感覚が鋭くなってゆく。

 部屋に自身が座っている事が確認出来た。

 それは淡く、白く存在した。

 認識出来る範囲が徐々に広がってゆく。

 広がってゆく認識の中に新たな人物が表れる。

 血流の様に白が巡っている。

 社はそれが清であると認識するのに数瞬を要した。

 けれどそれと同時に、理解する、把握する、白が自身が知ろうとしていたものであると。

 更に深く深く全てが凪ぐ様に瞑目する。

 知覚範囲を部屋全域にまで広げる。

 けれど、自身を上手く認識する事が出来ない。

 淡い白としか認識出来ないのだ。

 一つ思い出す。

 自身の種族が【Defect】と言う生物かも怪しい不定形な何かなのだ、という事を。

 であるならば、清が上げた例に漏れていたとしても不思議ではない。

 ならば、この淡い白は知覚の仕方として正しいのではないだろうか。

 この認識に間違いがないのであれば、と社は淡い白を廻す、流動させる。

 揺らぐ、揺らぐ、血液が沸騰するかの様な感覚を覚える。

 巡る白が社の皮膚を焼き尽くす様に感じる。

 白を左手に移動させる。

 感じるのは熱、波打つ血液、痛む左手。

 身体を覆っていた淡い白は薄くなり透ける。

 社はその状態を保ち、ゆっくりと瞼を上げる。


 社の目を奪ったのは正面に座る清、ではなかった。

 自身の左手の余りの存在感に社は、社の視覚は釘付けとなる。

 それは何の変哲もない今まで通りの左手である。

 けれど、そこに込められた情報量は圧倒的であった。

 それこそ、他が目に止まらぬ程に。


「社会様?

 一体な、何をなさっているので?」

 清も、それには大変困惑している様子で、問うてくる。


「一箇所に集めた、としか言い様がありません。

 詰まりは、体内にあるMPを操作したと言う事になりますかね」

 社は自身が行った事をありのまま、簡潔に伝えた。


「はぃ、いえ、ぅん?

 申し訳ありませんが、私には真似出来そうもありません」

 社は規格外であると再認識させられた清であった。


 社はスキルウィンドウを開く。


 ・スキル

[採取Lv.15] [看破Lv.17] [隠密Lv.18] [集中Lv.23] [精密Lv.16] [剣術Lv.12] [槍術Lv.11] [銃術Lv.9] [斧術Lv.13] [暗器Lv.19]


 ・Extra Skills

[従者(婚約者):怨嗟の大蛇(清姫)]


 ・Origin Skills

[進化の系譜(ウィル・トレース)]


 ・控え

[裁縫Lv.1] [細工Lv.1] [一閃Lv.1] [鉄鞭術Lv.1] [弓術Lv.1] [棍術Lv.1] [棒術Lv.1] [火術Lv.1] [放火Lv.1] [罠師Lv.1] [跳躍Lv.1] [ステップLv.1] [生存本能Lv.1] [考察Lv.1] [弱点補足Lv.1] [方向感覚Lv.1] [主導地図生成Lv.1] [紙製作Lv.1] [本製作Lv.1]

 New[魔法才能Lv.1] [魔力操作Lv.1] [魔力放出Lv.1] [魔装Lv.1 ] [察知Lv.1] [探知Lv.1] [鑑定Lv.1]


 7つものスキルがたった一つの行動で増えていた。

 社は少しばかり不安になる。

 幾ら始めたばかりでスキルを取得していないにしても、これで良いのかと。

 いや、確かに行動に伴いスキルを取得する事が可能であると、説明されたのは記憶に古くない。

 けれど、それにしても。

 ──────閑話休題。


「しかし、魔力の操作とは面白いものですね」

 社はこれで自身が思い描いていた事柄がより正確に出来ると確信した。


「それは良いのですが、目の前で行われると妙ですね。

 社会様は眼前に居ますのに、存在が左右に動くというのですから」

 清は目で社が操作する魔力を追い掛けながら、興味深そうに言う。

 清もそれを真似様と必死に自身の魔力を感知し、移動させようとする。

 けれども、そう物事は上手くいくものではない。

 それが周知である。

 それが常識である。


 ただそれが普通であると言うだけで、例に漏れる人物は出てくると言うだけの事である。


「清、ありがとう御座います。

 これで、様々な事が捗ります。

 これは何か御礼しないといけないですね。

 何か欲しいものなどを考えていて下さい」

 社は以前受け取った報酬金を思い出し、ある程度のものは与えられると考える。


 やはり仕事に見合った報奨を給付致しませんと、不当ですからね。

 などと一考しそう告げたのであった。


「では、私は工房に行ってきます」

 そう言って部屋から出て行く社を清見送る事しか出来なかったのである。


 それは予想だにしなかった好奇が唐突にやって来たのだから。


 それは社会人である社には当然の感覚であったのであろう。

 それは普段の思考のままに考えた結果なのだろう。

 主従関係であろうとも金銭的報酬が贈られるのは、至極当たり前だと言う判断であったのだろう。


 社会人的思考、主従関係を前提とした発想。








 社の中ではそうでしか無かったという裏ずけ、翻し。













 故に訪れた千載一遇の好奇。

魔法については清の持論であり、私は考えた事はありません。

長期に渡り投稿していなかった、この様な作品を読んで頂きありがとう御座います。

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