第五話 日常と覚悟
眩しく太陽が昇る朝が来た。
重たいまぶたを開き正面を見ると、視線の先には木製の古びた天井。古い屋敷なのか、家主の長期不在なのかはわからないが、所々波紋状に広がる黒に近い深茶色のシミ。何も装飾が施されてない。日本にある古民家の天井と同じように見える。ここが何処かはわからないが、一つ確信を持って言えるとすれば、間違いなくオレの部屋ではない。
身体を起こして状況を確認する。あれ? なんだか既視感があるぞ。これはデジャブというやつか。昔観たアニメにあるような死に戻りかな? おっと、それじゃオレは死んだのか。レアゴブリンたちと戦った後に、何かにやられて死んだのか。だとしたらリータたちはどうなった?
扉に人が近づく気配がする。メイドではなく、黒装束の中国系美女リンちゃんなら、死に戻り的な何かが確定することになる。
コンコンッ
相変わらず古臭い扉から音がかなり響く。寝てたとしても、起きてたとしも、二日酔いだとしてもこの響く音には起こされるわ。そして頭がすごく痛いわ。あれ? 二日酔い、二日酔いとはなんだ? いや、二日酔いだな。つ・ま・り 二日酔いであって、死に戻りではない!
「おはよう! ハルアキ」
この元気な声は舞だな。
「おはよう、一緒に朝飯でも食うか?」
「なに? デートに誘ってるのぉ?」
「いや普通に朝飯食うだけだ」
「わかってるわよ、そのあと買い物に付き合ってくれない?」
「ああ、いいよ」