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赤い瞳  作者: ぱくどら
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【第四部 忘れられない日】〜ヒロの先読み〜

「……わかりました」

 小さな声でそう言い、ライアの正面に移動し座った。

「ですが……時間まで見えないかもしれません。それに正直……ライアさんが死ぬところは見たくありません」

 顔をうつむかせた。目の前で撃たれ、自分が見たせいで殺されたのだと思っていた。だが今、目の前で座っている。生きている。なのにまた私はこの人の不幸な場面を見ようとしている。膝の上に乗せていた握りこぶしに力が入る。

「……確かにヒロちゃんには酷いものを見せてしまうのかもしれない。でも、もう一度言う。この能力は君にしかないものなんだ。もっと自信を持って。時間だって見えるよ。この村を救いたい……頼む!」

 ライアが腰を折り頭を深々と下げてきた。

「か、顔を上げてください!そこまで言うのでしたら、わかりました。今から先読みをします」

 ライアが顔を上げた。その顔を嬉しそうな表情だった。私はそれを見てからゆっくりと目を閉じた。ライアの顔を思い浮かべながら、先読みすることを念じていった。すると、右目に痛みと熱を持ち始めた。それでもなお、ライアの顔をより鮮明に思い出しながら念じ続けた。


 急に赤い世界が目の前に広がった。ここは……草原のようだった。うっそうと茂る草が永遠と続いている。

 空を見上げた。陽は傾き、夕焼け空が広がっていた。どれも赤い霧がかかっていたが、なにがどれか判別できた。すると目の前にライアが出現した。私に背を向け誰かとしゃべっているようだった。するとライアの影から人が出てきた。ライアと会話した人物らしいが顔はわからない。その人物が私の横を通り過ぎていく。すると前のほうで矢が射られた音がした。ライアのほうに向きなおすと、立っていたライアが倒れていた。駆け寄ると心臓に矢が一矢刺さっている。腹部を見ると血が少し出ているものの包帯が新しい。血が少ないことを見ると今日か明日なのかもしれない。矢が射られた方確認しようとしても、赤い霧が立ち込めていて誰が放ったのかわからない。倒れたライアに触れようにも手がすり抜けて触ることさえできない。


 目をぱっと見開いた。ライアが驚いた表情で私を見ている。

「だ、大丈夫かい?……それでどうだった?」

 知らない内に乱れた息を整え、深呼吸をした。

「……ライアさんの巻いている包帯が新しかったので……今日か明日の夕方までかもしれません」

 そう言うと、ライアは目線を逸らし落胆した表情を浮かべた。

「今日か明日……か。……ありがとうヒロちゃん」

「……ごめんなさい。私……なんで、こんなことしか言えないんでしょうか……ひどいですよね」

 涙がこみ上げてきた。先読みしている中でもただ見ることしかできない。わかっていても言うことしかできない。自分が情けなく思ってしまった。それでも、ライアは微笑みながら言った。

「いいや、ひどくないよ。……君がそう言ってくれたおかげで時間を無駄なく有効に使えるのだから。本当にありがとう」

 そういい終えると、置かれていた上着を羽織、皮の靴を履きライアはゆっくりと立ち上がった。

「え、今から行くのですか?」

「あぁ。明日の夕方までと考えても……ラント城にはどうあっても間に合わない。しかし行く途中でラント兵に会うかもしれない。俺が直接言えなくても、兵士に伝えることはできる。やるべきことはやっておきたい。では……また会おう」

 ライアは私に対し敬礼すると、シンの家を出て行った。


このライアとの別れが、シンのどの場面の辺りなのかお分かりいただけたでしょうか。

シンが出発した日に、ヒロとライアが出会っています。

その二日後なので、シンが女王と会っている日に、ライアが村を出て行っています。

わかりづらくてすいません(;´▽`)

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