【第三部 隣国の女王】〜シンとライアと真相〜
さて第三部突入です。
新たな人物が登場してきますのでお楽しみに。
本当文章が下手ですいません(ノД`)
外のほうでザッザッという、大勢の人数が歩いていく音が聞こえてきた。王の軍団が村から去るようだった。
「……前、俺に父親の死について教えてくれた時の……」
床に寝かせている兵士、間違いなくあの時の兵士だった。兵士は表情を歪めながら腹に手を当てた。
「……この包帯は……君がしてくれたのか……。手を掛けさせてしまって……すまん……ぐぅ……!」
傷が痛むのか絶え間なく呻き声をあげている。その声が俺の心を締め付ける。苦しんでいる人を目の前に、何もできない自分がもどかしい。母親のときもそうだった。だが、あの時の俺ではない。
「ちょっと待っててくれ!王が帰ったみたいだから、村人も動けるはずだ。誰か呼んでくる……!」
「……待て!行くな……」
俺が家を出ようとしたとき、振り絞って出したかのような声で兵士が叫んだ。思わず足が止まった。見ると兵士は苦しそうに息をしている。
「……どうして?!あんたすごく苦しそうじゃないか!俺は医者でも何でもないんだ……。このまま放っておくと、あんた死ぬかもしれないんだぞ!」
兵士は目をきつく閉じ、苦しそうに深呼吸を何度もした。
「……どうせ、俺は永くない……。……ラント王に仕える身……王に消えろと言われた今……俺の存在価値はない」
傷口が傷むのか、汗をかき痛みに顔を歪めている。再び俺は兵士の元へひざまずいた。
「まさか……王に撃たれたのか」
「……そうだ。王には……バレていないと思っていたが……。ん、君は……」
何かを思い出したかのように、目を開き俺の方に顔を向けた。
「……君はあの時の……シン君か」
兵士もあの時のことを思い出したようだった。
今から半年ほど前、俺の家に突如姿を現した。鎖かたびらを身にまとい、足には頑丈そうな皮の靴、腰には短剣を差した男が俺の家をのぞきこんできた。
「ここは、シンという若者の住まいと聞いたのだが……」
「え、はい。……そうですが」
「おぉでは君がシン君か。少し上がらせてもらってもいいだろうか」
「はぁ構いませんが……あなたは……」
一歩家の中に入った兵士は、立ち止まり俺に対し敬礼の格好をした。顔立ちの良い、瞳が澄んでいた兵士だった。俺よりも少し身長のある背丈で、年も近そうな感じだった。だが、兵士としての風格が伝わってくる。
「失礼した。ラント城に仕えている、ライアだ。今日はシン君に、お父さんに関することを伝えに来た」
「……ライア、さんですよね。父親の死の真相を教えてくれた」
ライアは少し笑う仕草をした。
「……さんなんて、付けなくてもいい……。見た感じ俺と同じ年頃だろう。……いくつだ?」
「22です」
「……割と近いな。5つ下か……。シン、手当てをしてくれたこと感謝する」
ライアは痛みをこらえ、白い歯がこぼれるような笑みを見せた。だが、すぐに顔を歪めた。包帯を見ると血がにじみ始めていた。
「……くそ、どうすればいいんだ!」
血を止めることさえできない。そんな自分が悔しかった。すると、ライアが俺の膝に手を置いてきた。手には血の後が残っている。
「……大丈夫だ。それより……言わねばならんことがある……。あの人の息子なら……きっと……」
あの人とは父親のことだろうかと俺は思った。ライアは手に力を入れ、ゆっくりと上半身を起こした。俺はふらふらとするライアの上半身を支えるため背中に手を回した。
「……今日、ラント王が軍隊を引き連れてやってきたが……あれは王の警備のではない……」
そこまで言うとライアは激しく咳き込んだ。
「無理してしゃべるな。傷口に悪い」
「……ゴホッ。いやいいんだ…。それより……あれは……村を潰すときの兵力なんだ……」
その言葉を聞いた瞬間、理解できなかった
「……え。それは……どういう……」
「……王はこの村を消すつもりだ」
ライアの言葉が頭の中で響き渡る。頭の中が、目の前が、真っ白になる感じがした。
「……嘘だろ」
「……嘘ではない。王は……貢ぎ物が少ないこの村を……前々から消そうとしていたのだ……」