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Earthquake  作者: 安楽樹
第二章 ASAP
18/21

3/19 15:48 『商人』


「それから、ここにはいないが、『商人マーチャント』チームのリーダーも簡単に紹介しておく。『京本謙太郎』って奴だ。……今は、都心の方に営業に出てる」


再び荒城が中央に出ると、話し始めた。

男たちの中で、数人さっきの美晴の去っていった方を見ていた者たちの視線が、再び引き戻される。


「『商人』チームは、物資確保と、資金集めの担当だ。……今は個人の持ち寄りが中心で活動しているが、これからはスポンサーを募って活動することになるはずだ」


スポンサー、という言葉に聞きなれなかった涼は、少しの間考えなければならなかった。

だが、その答えはすぐに分かった。

……これだけの費用がかかる活動、個人ではすぐに限界が来てしまう。

そのための資金調達をしようというのか。

実際、涼も多少なりとも時間と資金に余裕があったからここまでこれたものの、そうでない人は時間を調達するためや資金そのものを手に入れるため、何らかの方法を取らなければならなかっただろう。

それに、無理をして来た所で『その後の自分の生活』が滞ってしまっては意味がない。……そうした部分を補うためにも、スポンサーという存在は合理的だと思わされた。


「スポンサーと言うとイメージが悪いかもしれないが、それは別に個人の市民だって構わない。『魔術師』チームも個人寄付を受け付ける仕組み作りをしてるはずだ」


魔術師という単語を聞き、先ほどの大芝の姿を思い出す。

……その姿からは余りにも似つかなかったが、彼らも寄付を受け付ける窓口となっているのか。

確かに、都市部にいて全く現地の情報が入ってこなかった先日までと違い、ここ現地に来て様々な情報を発信できる立場であれば、何かしたくてもできない都市部の人……いや、日本中の人々から応援のための資金を受け付けることができる可能性がある。

ただの現地ボランティアだと思っていたこの小さな組織が、そこまで考えて動いていたとは……。

改めて、目の前の男たちの組織力に驚かされた涼なのだった。


続いて、荒城からは幾つかの説明が行われる。

支援物資を収集、選別するための倉庫の確保や前述した資金集め、それ以外にも様々な企業からの協賛という形での援助も考えているとか。

確かにこれらの内容を考えると、どちらかと言えばここにいるよりも都市部にいた方が効率がいいだろう。

不在にしている理由が良く分かった。


「まあそんな風に、支援用の物資と活動資金を集めるのがこのチームの仕事だ。都心の方に行くことも多いんで、食料や燃料なんかの調達もついでにお願いしてある」


その言葉を聞いて、彼がいた都心部で物資を集めようとしている人々の姿が思い浮かんだ。

彼が出る時までは、まだ近所のスーパーなどでも売り切れが続出していたようだったが、今はもう回復しているのだろうか……?

これだけ遠くて広い場所へ支援を続けようと思うと、小さな組織ではすぐに限界が来てしまう。

できるだけたくさんの人々の力を結集しなければ、長期的支援は難しいだろうと、簡単に想像できた。


「こっちでの足が無い奴が戻りたい時とか、向こうで色んな物を補給したい時なんかは、タイミングが合えば一緒に行くといい。……おそらく、数日後には戻ってくるはずだ」


その言葉を聞いて、涼はホッと少し安堵する。

……もしも、こっちで燃料が切れて帰れなくなったとしても、いざとなれば一緒に戻るという手段が確保できたからだ。

これで安心して、活動に専念できる。


チラリと横を見ると、おそらく同様の表情をしている人も数人いた。

帰りの手段が確保できるということは、これほどまでに安心感を与えるものなのかと思ったのだった。


スポンサーの存在はかなり大きく、私は自腹で10万円ぐらい使ってしまったのでした……(泣)。

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