8月31日 路上ライブとそれぞれの・・・ 2
「腹へったな、洋太郎なんか買ってきて。金渡すからさ。」
ちあきさんはお腹をおさえながら僕に言った。自分でいってください。そう言う前に日和が言った。
「おごってくれるんですか?ありがとうございますー。」
日和。ナイス!!バンドの人達の協力もあり見事におごってもらえることになった。
「じゃあヨウ買い出しよろしくー」
「はっ!?俺が行くのかよ!?」
「あたりまえでしょー働かざるもの食うべからず!!」
「うーーーー。」
嫌な顔をしたが実際は僕が買いに行く以外に食べ物を調達する方法はなかった。ちあきさんは演奏。日和は歩けない。由美を一人で夜の誰もいない街を歩かせたくない。結果僕が行くことは確定しているのだ。
「はいはい。わかりましたよ。シゲねぇの店でいいですか?」
「おー頼むわー。」
シゲねぇとはおじさんの友達で居酒屋みたいな何でも屋を経営している。基本的には島民の溜り場となっているらしい。駅から自転車で二分くらいのところに店があるから今日みたいなときは楽でいい。島にコンビニはない。シゲねぇとコンビニといえば・・・
シゲねぇと初めて会ったのは小四の秋である。
「洋太郎!!コンビニで酒買ってきてくれ!!シゲねぇを捜せば見つかるから!!日本酒三本とビール二ダース。」
あの日はおじさんの家で飲み会があり、家の高いお酒の他に安い酒が必要になったらしくパシリを頼まれた。自転車で一時間強こいで中央駅に着き、辺りを見ると見なれたコンビニの看板たち「7」や「歩くK」「牛乳ビン?」はどこにもなく泣きべそをかいた。
そういえばあの時が初めてちあきさんに会った日でもあったんだ。ギターのきらびやかな音と一緒に少し音程やリズムが変な「翼をください」が聞こえた。歌が聞こえるほうを見ると中学生か高校生か、わからないがとにかく凄く楽しそうに一人で弾き語りをしているちあきさんがいた。ただひたすらにカッコよかった。なんというかカッコいい。ちあきさんは僕と目があうとほほ笑んだ。キラキラしていて男の子でも天使はいるんだなーって実感した。
「あのー・・・シゲねぇのコンビニって知ってますか?」
「シゲねぇ?知ってるよ。あそこの教会みたいな建物あるだろ?今日は三階にいるから。」
指さす方を見ると、確かに他の建物とは明らかに違うまさしく教会が近くに建っていた。
貴方はそこからきたんですよね?と聞くと笑いながらまたギターをちあきさんは弾きだした。僕も急いでいたからすぐに自転車にまたがり教会を目指した。
教会の下から建物全体を見上げると
「でっけー。」
思わず第一印象を口にしてしまった。中に入る。案内が壁にはってあった。内容はそれぞれに服、家庭用品などと売ってる物の種類が書いてあり、さらにその横に曜日が書いてあった。あと七階建て。日によって開いている店が違うらしい。デパートに限りない近いけれど違う。何でも屋なのだ。
ちあきさんに言われた三階には「食料品とか、あと酒。月曜以外開いてる。」と書いてあった。内容が雑だ!!そんなとこを思いながら階段をの登っていくと「コンビニ!!」と、でかでかと書かれた看板を見つけた。
のちに聞いた話だがこの看板はおじさんが書いたらしい。だからコンビニって僕に言ったのか。コンビニの中?・・・コンビニの中はとても綺麗でモダンだった。
教会の中は教会じゃない。大量のお酒をレジに持って行くと・・・ハイテクな機械は一切ないが・・・とにかく持って行くとサングラスをかけた可憐なおばさまが座っていた。
「坊や若いのに飲んべえなんだねぇ。今度居酒屋においでね。ヨッちゃんと一緒に。」
といいながら投げキッスをされた。僕のことを知っているのか。この時は冗談だと思っていたお酒の誘いだが中二のときおじさんと居酒屋に行ったらビールを飲まされた。
その時の記憶は定かではない。
「シゲねぇ!!こんばんはー。」
居酒屋に着くとシゲねぇはカウンターで一人カクテルを飲んでいた。凄く絵になっている。
お酒を飲まされる前に注文しないといけないと昔のトラウマから脳が自然と僕に命令した。雑談もなくパーティーセットAとBをたのみ玄関に近い椅子に座って待っていると、シゲねぇは料理を作りながら僕に話しかけてきた。
「今日は坊主たちうるさいねぇ。」
「はいっ誰もいないからちょっと調子にのってみました。」
そうかいそうかいとシゲねぇはうなずいた。
店内に焼きそばの美味しそうな香りがただよう。
「洋太郎。車椅子の子がいたけれど・・・」
「日和です。両足折ったみたいですよ。」
シゲねぇが全部言う前に答えた。
シゲねぇは聞こえないくらいの溜息をついた。
そして静かに語り口調で僕に話しだした。




