続・この世には二つの人生があるの
二つの人生シリーズ(勝手にシリーズ呼びw)第二弾です。
知ってる人は、きっと知ってる。
彼女がつくる世界を知らない人は、
どうぞここから知ってください。
その日、私は夏休み中の宿題(仕事の)を片付けるために、体温超えの暑さの中、ホームセンターと100均とスーパーをはしごしていた。
必要なのもの全てを購入し終わった。
ついでにと、気まぐれで立ち寄った農産物直売所で、出口に貼られたポスターを見て娘がつぶやいた。
「これ、行きたーい!」
声につられて見てみると、それは館林美術館の宣伝ポスターだった。
私の中では(えー、今からかよー?あちーし、めんどくさー)という気持ちと、(今日は義務的な買い物しかしてないなー。せっかくの休みなのにぃ)という遊び心が一瞬戦ったが、すぐに前者がワンパン決めて後者を打倒した。
「帰ろ。もう、今から行ってもすぐに閉館じゃない?」
「大丈夫、まだ2時間近くあるよ。充分見られるよ」
娘の言葉にポスターを見れば、確かに時間を言い訳にするには、余裕がある。ちっ。
気温を上回る娘の熱意に負けて、しぶしぶ館林美術館へと足を運ぶことになった。ま、車ですけど。
着いてすぐに、あれっ!?となった。
混んでいるのだ。めっちゃ混んでる。駐車場に入るのに待つなんて、初めての経験。
館林美術館は、田舎の立地をフルに活かして、駐車場はとても広い。停めるのに待ったことなんて(私は)無い。
なんでやろ?
その時まで、まだ私はどんな世界が自分を待っているのかわかっていなかった。
なんなら、まだまだ心のなかではめんどくせー星人がバルタンしていたのだ。
混んでるとは言え、やはり田舎の美術館。ちょい待ちくらいで中には入れた。
「本日はたいへん混雑しております。再入場可能ですので、あまり作品が見られないようであれば、時間をずらして再度お入りください」
展示室の入り口でお姉さんから異例のお言葉が。
再入場可、ですってよ?!
それほど人気なの!?
ワクドキしながら壁に書かれた説明を読むと、『このマークのある作品は触れることができます』の文字が。
ちなみに、このマークっていうのが、肉球スタンプなんすよ。これ、アリっすか?アリっすか?
もう、可愛いスタンプに、ムギュッと出だしからやられました。
めんどくせーとか言ってたくせに、娘を置いていく勢いで、展示室へ入るおばちゃん一名。
出迎えてくれた、たくさんの動物たち。
ワンコ、にゃんこ、ねずみ、カメ、ひつじ、クマ、エトセトラエトセトラ……
か、かわえぇっ!!
肉球スタンプマークのある動物たちをなでなでし、釣り下がった海の生き物を下から眺め、立ち上がったラッコと記念撮影。
楽しすぎる!!
木で作られた生き物たちが、魂を持って私たちに語りかけてくる。
時に可愛く、時に威嚇しながら、時に素っ気なく、自然体で。
夢のような一周目が終わり、迷わず二周目に突入。
受付のおねいさん、笑顔やし。
結局、人出が少なくなった閉館直前までに、三周しちゃった。
途中で気がついた。
作者さんは、インスタグラムで時々見かけた人だった。
はしもとみお さん。
インスタグラムで見た時には(ふ〜ん、こういうの作ってる人いるんだ)くらいな感想しか持たなかったんだけど、目の前で直接見て、さわって、感じるのでは、大違い。
この世にはね、二つの人生があるの。
はしもとみおさんの作品に
ふれる人生と、
ふれずにいる人生。
来て、見て、さわって。
そして、たくさんの生き物たちを、心の中に持ち帰って。
あなたの人生に加えてあげて。
個人的には、「ニャーっ!」って威嚇しているにゃんこがめっちゃお気に入りにゃん。