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2025エツハシ爆誕三題噺

作者:

 この日も食べ物界では上下関係について論争が繰り広げられていた。


「キノコの〇が一番に決まっているだろ!」

「寝ぼけたことを言うな! 一番はタケノコの〇に決まっているだろ!」


 その様子を他の菓子たちが冷ややかな目で眺める。


「またやってるよ」

「どっちでもいいのにね」

「一番は世界に進出しているオレ様、ポッ〇ーなのに無駄な争いをしているな」

「「はい、はい」」


 またか、という空気とともに呆れ声が流れる。


 そこに冷えた風が流れてきた。


「その論争、今日こそ決着をつけようではないか」


 全員の視線が集まった先にいたのは……


「「「「「アイス!」」」」」


 同じ菓子として分類してもいいのか悩むところではあるが、食べ物としては同じ存在。


 木の棒が刺さったミルクアイスがフッと笑う。


「今はギャップ萌えの時代。なら、よりギャップを出した方を一番とする!」


 その提案に菓子たちが白けた顔になる。


「なにを言っているんだ?」

「そもそも、ギャップって何?」

「所詮はお遊びだな」


 だが、キノコの〇とタケノコの〇だけは違った。


「ギャップを出せばいんだな!」

「やってやろうじゃないか!」


 バチバチと火花を散らすキノコの〇とタケノコの〇にアイスが頷く。


「制限時間は一時間。この一時間でよりギャップを出せたほうが勝者となる」


 アイスの短い説明にキノコの〇とタケノコの〇が睨み合う。


「逃げるなよ」

「そっちこそ」


 そんな熱い視線の間にアイスが割り込んだ。

 視線の熱さでアイスがトロリと溶けるが気にせず声を出す。


「判定員は他の食べ物たちだ。では、始め!」


 アイスの号令にキノコの〇とタケノコの〇が一目散に走り出した。

 その後ろ姿を見ながらアイスがニヤリと笑う。


「さて、こちらも準備をするか」


 不穏な呟きとともに姿を消したのだった。



 一時間後――――――



「これでどうだ!? フルーツ飴ならぬ、キノコの〇飴! カラフルなだけでなく、味もイチゴや、桃、レモンなど、いろいろあるぞ!」


 全身を水飴で固めたキノコの〇。

 だが、タケノコの〇も負けてはいない。


「見た目なら、こちらも負けてはいないぞ! 表面はカラースプレーチョコでカラフルに飾り、中には様々な味のグミで新しい食感と味を出した!」


 バチバチと火花を散らして燃え上がるキノコの〇とタケノコの〇。

 だが、周囲の食べ物たちの目は冷ややかなものだった。


「見た目が少し変わったぐらいだろ」

「ギャップって言うほどじゃあないと思うけど」

「あれぐらいなら、オレ様はしょっちゅうしているな」


 そこに巨大なパフェグラスが現れる。色とりどりのフルーツとアイスが交互に重なった豪華なパフェ。その頂上には丸くなったアイスと生クリームが天高くそびえ立っている。


 全員がその迫力に呆気に取られていると、アイスの声が響いた。


「両者とも、よくやった! あとは、私の頭の上でその姿を存分に披露して票が多かった方が勝者となる!」


 その声にキノコの〇とタケノコの〇が我先にとパフェグラスへよじ登る。


「邪魔をするな!」

「おまえこそ!」


 いがみ合いながらも先に頂上を取ろうと張り合う。


「……あと、少し」

「負けるか」


 その様子を見ながらアイスが口の端をあげる。


 そして、キノコの〇とタケノコの〇がパフェグラスの淵で一休みをした瞬間だった。


「真のギャップとは、こういうことを言うのだ!」


 アイスの声とともに空からじゅわりとしながらもカリッとした茶色の物体が降ってきた。


「な、なんだ、この熱量は!?」

「こんなに熱いものが降ってきたら、アイスだけじゃなく生クリームも溶けるぞ!?」


 慌てるキノコの〇とタケノコの〇。

 だが、アイスは堂々と降ってきた物体を受け入れた。


「これが、ギャップ萌え! これぞ、唐揚げパフェだ! 我らがエツハシ爆誕記念パフェである!」


 アイスの声に見守っていた食べ物たちから盛大な歓声があがり、キノコの〇とタケノコの〇も手を取り合って祝う。


「エツハシ爆誕ばんざい! 唐揚げバンザイ!」


 こうして食べ物界は平和となりましたとさ。




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