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復讐の二手目〜潰し合い〜⑤

 無様に殴り合う様を水鏡越しに見ながらレベッカは腹を抱えて笑った。


「あははははは!!もっとやるのよ!いけいけ!」


 テイルズは見ていられないという気持ちと好奇心がぶつかり合い、顔を両手で隠しつつも、指の間から覗き見ている。


「明日の朝刊はこれで決まりね!何も知らない(てい)で今夜は二人にデートのお誘いの手紙でも送りましょ!どうせ顔の腫れが引くまでは会えないでしょうけどね」


 そう言ってレベッカはテイルズの背中を押しながら紙とペンがある机まで連れて行った。


 テイルズはハイハイと、お誘いの定型文を書き適当に封筒に入れたところで、そういえばと後ろで手紙を覗き込んでいるレベッカの方へ振り向いた。


「とりあえず二人へのリアクションはこれで一旦終わり?」


 テイルズの背中から手を離しレベッカは考えるように顎に手を添えた。


「うーん、そうねぇ……手紙の返事にもよるけど、おそらくしばらくは二人とも大人しくしてるんじゃないかしら」


「じゃあ、三人目のターゲットに移るってことでいいんだよね?」


「……そうね」


 レベッカは少し曇った顔で返事をした。


 三人目のターゲット、それはつまりレベッカの親友であるアイリーン・シュヴァイツ男爵令嬢の事を指していたからだ。



 アイリーンはレベッカにとって初めての貴族の友達で同じ境遇とも言える最も信頼する人物だった。


 レベッカがベルベルトと婚約する事が決まった時は一番に報告したし、王太子妃教育で王宮で暮らす事が決まり、なかなか会えなくなると告げた時も泣きながら見送ってくれた。


 そんなアイリーンがまさか人の婚約者を奪うなんて考えられなかった。



「アイリーンの様子って確認してるの?」


 テイルズはレベッカの反応を確かめるように遠慮がちに問いかけた。


「……いいえ、まだ見れてないの。でも、もう覚悟を決めなくちゃね」



 レベッカはそう言って窓から追跡バードを飛ばした。


 追跡バードの飛ぶ方角を目で追うと、アイリーンの家の方角ではなく、Uターンするように魔塔を越えて王宮の方角へと向かっていった。


(あの方角って……)


 レベッカは部屋の反対側の窓に向かって走り、鳥の行方を確認した。追跡バードは真っ直ぐに王宮の最上階である一室へと向かっている。


(あそこは、ベルベルトの部屋だわ)


 レベッカが水鏡の前に戻り追跡バードの映像を確認すると、そこにはしっかりとアイリーンとベルベルトの姿が映っていた。


 二人は仲良さげにソファーに並んで座り、ベルベルトは愛おしげにアイリーンの頰に触れた思ったら、そのままアイリーンに唇を寄せ、アイリーンもそれを嬉しそうに受け入れた。




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