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なんでこんな間が空いてしまったんだ
あれから数日、キャサリンの火の力も強くなったらしく、よくテレパシーでどれを何体倒したかという報告が来る。給料に関しては毎月の始めに、先月の討伐数及び種類に応じて払うということになった。
毎月イギリスに出国していることになるが、さすがにそれで怪しまれるようなことはないだろう。変なことをやらかさない限りは目を付けられないはずだ。
おや、キャサリンからテレパシーだ。なんだろう?
『ブリストルに蛇のような魔獣が出ました!すでにニュースになっています!全長はおそらく10mほど!』
『え』
ブリストルってどこ?いやまて10m!?嘘だろ!?あの巨大ナメクジもせいぜい触手抜きで4mかそこらだったぞ!?
『今走りでブリストルに向かっています!車や電車より早く走れる日が来るなんて思ってませんでした!あ、ちゃんと変装しているので安心してください!』
『ちょっ待って!?』
『あっ!見えてきました!いったん切りますね!』
『あの』
…切れた。
大丈夫なのか…!?
ブリストルはイギリス西部にある湾岸都市である。
そこの観光スポットであるブリストル大聖堂に、赤紫色の巨大なヘビが居座っていた。体の太さは1m近くもある。
ヘビは何かするわけでもなく、自身に向けられるTV局のカメラやスマホをじっと見つめるのみ。
野次馬たちの背後には、いつでも動けるように武装した警官や軍隊が待機している。
到着したキャサリンだが、周囲に人が多すぎるせいで動けずにいた。もしあれが大人しい個体であれば、下手に刺激すれば余計な戦いを起こしてしまう。そうなれば周囲の人々も巻き込まれるのは確実だ。
今は人目に付かない場所に隠れつつ、ヘビの動向を窺っている。
相変わらず何もせずじっとしているが、一体何が目的なのだろうか。
と、その時。
ヘビが口を開き、いかにも「毒です」と言わんばかりの紫の霧のような物を吐き出した。
瞬く間に霧に包まれ、次々と倒れていく周囲の野次馬と軍隊たち。死んではいないようだが…。
彼女はあのヘビが今まで動かなかった理由を察した。
(そうか、人が集まるのを待っていたんだ…!)
(効率よく霧で仕留めるために!)
彼女は慌てて駆け出し、火球をヘビの頭部めがけて放った。
ヘビはその巨体ゆえか動きはそこまで速くないようで、避けようとはしたようだが普通に命中。
熱や火の類に弱いのか、まだ成長途中の力の火球にも拘らず、命中した額の付近の鱗がわずかに融解し煙を上げている。
かなり効いたようで、ヘビは彼女の存在を認識しつつも完全に逃げ腰である。あとなんか震えている。
逃がすものかと彼女はさらに両目へと火球を撃った──




