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とりあえず、例によって自己紹介と簡単な説明を済ませる。
彼女はキャサリン・オールストン。この辺りの高校に通っている地元の人のようだ。
帰り道で蜘蛛型の魔獣に襲われていたところを俺が助けたのだが、こうなった理由はバイトにあるらしい。
学校帰りに夜までやるタイプのバイトのようで、帰るのがこんな時間になってしまったようだ。
さて、いつも通りに勧誘…する必要はないな。すでにやる気に満ちている。
そうだよな、異能の世界があるとなったら普通こんな反応だよな。これまでの面々が落ち着き過ぎなんだ。
あまり騒がれても困るが。
もはや恒例行事にも思えてきた結晶の吸収をやらせてみる。日本からもいろいろ持ちこんだから能力のレパートリーだけはあるぞ。問題は何に覚醒するかという点だ。目立ちすぎるものや制御できないような強すぎるものにならないといいが。
「あっ!なんかいけました!テレパシーみたいなやつです!」
「へぇ、テレパシー…え!?」
今何て!?テレパシー!?マジか!ここにきてかなり有用なのが出てきたぞ!もし複数人で通信できるなら、リアルタイムで正確なやり取りができる筈だ!
いや、喜ぶには早い。体に触れていないと発動しないかもしれないし、射程が数mくらいしかない可能性もある。下手すりゃ一方通行とかもあり得るな。そもそも複数人での同時通信も無理なのでは?鍛えたら可能になるタイプならまだしも、永久に無理なままというのも否定できない。
まずは試してみるか。
スマホで伊藤さんの写真を見せる。
「彼女に俺の言葉を伝えることは可能ですか?」
「ちょっと待ってください、やってみますね…」
待つこと数分。人通りの少ない場所に移動しているとはいえ、これ以上の長居はまずいか?
「あ、繋がりました!えっと、倉野さんにも繋げますね。」
「!?」
繋がったの!?彼女は日本に居るんだぞ!?射程どうなってるんだ!?
と、とりあえず…
「あー、伊藤さん?」
『うわあああ!?え!?倉野さん!?』
(うるさっ)
なるほど、これが脳内に直接ってやつか。ダイレクトに来る分、大声で驚かれると頭がキンキンするな。
『なんですかこれ?何があったんですか?』
ああそうだ、テレパシーについて説明しないと。
『ええすご…かなり便利ですねそれ。もしかして、翔さんや愛理さんにも同時につなげたりできるんですか?』
「俺と伊藤さんとこの子の三人で繋げてるので、たぶん行けると思いますけど。…やれますかね?」
「やれそうな気はしますね。やってみますか!二人の写真ってあります?」
先ほどと同じように写真を見せ、二人に繋げてもらう。どうやら成功したらしい。
『あれ、伊藤さん?倉野さんも?しかも知らない人も増えてるし…』
『なんですかこれ』
『やっほー二人とも』
翔くん、愛理さん、伊藤さんの三人に同時接続できた。俺の声やキャサリンさんの声も届いているので五人同時の接続も問題ないようだ。
まさか特訓なしでこれとは…とんでもない逸材が居たもんだなぁ。
ちなみに、これに才能のリソースを持っていかれたのか、もう一つ覚醒した能力である火炎系能力だが、こちらはライターの方がまだマシという有様だった。
「どうして…」
「き、きっと鍛えれば実用的な強さになりますよ…」
ぶっちゃけテレパシーだけでも十分なんだよなぁ。




