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16/25

16:それでは始めましょうか

「これは殿下」


 登場した人物に公爵夫人が目を細めて笑いました。

 ええ、ええ、この方も色々と腹に据えかねていたのでしょうね!


 理由は私もわかっていますし、いずれは……と思っていましたし。

 とはいえ、一応今日の様子を見てから穏便に解消かあるいはがっつり締め上げて婚約破棄かって思ってたのに、考えていた以上の大事になっちゃったことは反省してる!


 ……エッカルト様のせいだけど。


「これは何事ですか、公爵夫人!」


「あらいやだ、わたくしはただエルドハバード侯爵令嬢とお話しをしておりましたのよ。隣国の公爵令息ともご挨拶をさせていただいたところですわ」


「隣国の……エッカルト、どういうことだ!?」


「ル、ルイーズの策略にございます殿下! 惑わされず現状をお確かめください!!」


 現状を確かめたところで事実しかないですけど?

 呆れてものが言えないわ!


 殿下と呼ばれたのはその敬称通り、我が国の王子殿下。エッカルト様とはご学友なんですよね。

 学園に通われて市井についても興味を示され、公明正大で将来性豊かな御仁とエッカルトさまが仰っておられました。

 まあ、私が社交界で聞いた話だと素直で大変よろしいけれどその分疑うことを知らないので王配となる婚約者の選定が大変難しくなっているとのことでしたが。


 幸いにも私は次期女当主であるがゆえ、婚約者候補には外れているので喜ばしい限りです。

 だって面倒くさそうですからね!


「まあ策略ですか! 婚約者として扱っていただけず、エスコートもしていただけない私がどのような策略をしたと仰るのかしら。公爵夫人、私の話におかしなところはあったでしょうか? 是非殿下にもご意見をいただきたいですわ」


「そうねえ、わたくしにはおかしなところはないと思ったけれど……エッカルト殿のお話も併せて聞いたら良いのではなくて?」


 私の言葉に更に目を細めて楽しそうに笑う公爵夫人のその言葉で、殿下、私とランお姉様、ライルお義兄様、カリル様、エッカルト様、エッカルト様のご両親、そして私たちの婚約を仲立ちしたお父様の上司に来ていただいて別室へ。


 まあ仕方ありませんね、あの場でメッタンメッタンにしてやりたい気持ちはありましたけど、そうしたら大騒ぎどころじゃ済みませんものね!

 理想と現実は重なり合わないのが常ですよ。世知辛い。


 それはともかく。


 今回の夜会、上司の生家であるカイバン公爵家が開催しているんですよね。

 カイバン公爵の誕生日を祝う会に殿下を招いたって形です。

 なので当然主催者であるカイバン公爵夫妻もこちらに来ていただきました。

 迷惑そうな表情をしてらっしゃいますけど、無関係ではないんですよと声を大にして言いたい。まだ言いませんけどね!


「ルイーズ、貴様が……貴様のせいで大勢の方にご迷惑をかけてしまったではないか! 謝罪をしろ!!」


「まあ、エッカルト様。それはおかしいですわ」


「なんだと!?」


 扉が閉まった途端に私一人の責任にしようとエッカルト様が怒鳴りつけてくるので、私は驚いた顔をして差し上げました。

 子爵夫妻はオロオロしてましたけど、ええ、ええ、私がいくら訴えようといずれ落ち着くから……で誤魔化した結果がお宅の息子さんのこの態度ですよ!


 まったく、婚約者だからって身分差を考えてもらいたいものだわ!


「まあまあ、双方の話をまずは聞こう。王家の名に誓って公平の立場を貫くと誓うし、カイバン公爵もシャレンズ公爵夫人も同様に公平であると約束してほしい」


「勿論ですわ」


「当然のことかと」


 殿下は味方だとでも思ったんでしょうね。

 エッカルト様が眉間に皺を寄せました。


 残念ながら、あなたに都合よくなんて行かないわ。

 というか、どうやっても行かないってなんでわからないのかしらね……?


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