責任の押し付け
なんの変哲もないただの一日の筈だった。突然、宇宙からの未確認物体が降ってきたのだ。
研究員の俺の元に、すぐさまそれはやってきた。
俺は研究グループを作り、その物体の研究をした。
なにしろ宇宙からの物体を研究するのだ。世界から有名な人を多数呼び出した。そして、最新の科学技術を使い、それを調べた。
それは十字架で、硬いものからできていた。おそらく、宇宙の鉱石から出来ているのだろう。そして黒かった、何者も魅了する色だった。
そして、それはどうやっても割ることは出来なかった。
放射線を使っても中身を見ることは出来なかった。
研究員達は現代の科学技術では到底計り知れない物だと判断した。しかし、上からの命令という事もあり、下手に投げ出せない仕事となっていた。
困った研究員達は知恵を絞り出し、『宇宙からの物体』を空中から落とそうと考えた。
当然、それはヘリに乗せられるほど軽くない。そこで、滑車を利用する事にした。
しかし、滑車を何個用意しても足りなかった。
不思議と物理法則が干渉しない物体だったようだ。
俺は恐れた。研究員……いや、俺たち理系の人間にとって、この世の法則が通用しない物体など、恐怖以外の何者でもないのだ。
困り果てた研究員達は、国に内緒でそれを不法投棄する事にした。
何をやっても何も解明できない物体だったのだ。仕方がない。
そして、数ヶ月経ったある日、俺は刑罰に処された。
当然理由は不法投棄によるもの。
俺は甘んじて受け入れた。
そして何年か経ったある日。
その日はなんの変哲もないただの一日だった。
俺は刑務作業をしていた。そこへ、『あれ』が降ってきたのだ。
空から、もっと遠くの宇宙から!——俺たちが不法投棄した物体が降ってきたのだ。
今度は形が丸かった。
俺はすぐさまその場を立ち去った。
当然、恐怖による物である。
その後、何年にも渡って『宇宙からの物体』が降ってくることとなった。
次第に、地球は黒くなっていった。
有象無象の人間は焦り、無能な政治家の国はパニック状態になっていた。
俺は恐れた、それと同時に呆れたものだ。
しょうがないのだ。俺が解明できなかった、それが地球滅亡のトリガーなのだから。
俺は静かに、眠る事にした。周りの囚人と同じように、布団とも呼べないような布を被せた物の中に入る。
「おやすみ」
と、一言呟いた。
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「しかし、地球という星に我が星のゴミを放棄するという案は良かったな!」
タコのような容姿をした生き物が上機嫌な様子でタバコを吸う。
「そうですねぇ。しかし、あの星は豊かな星でしたが……大丈夫なのですかねぇ」
「大丈夫だろ、二億年前に探索した時には脳が小さい生き物しかいなかったしな。今頃絶滅してるだろ」
「はい。そうですね」
タコのような容姿をした二人は笑う。
「それで、我が社で始める新しい計画の『超科学都市計画』のほうは……」
「ああ、いいぞ。許可する」
「それはそれは、ありがとうございます」
「ああ、いいんだ。それよりも、その計画により発生するゴミはどうするつもりだ?」
二人は笑う。まるで、最初から答えが分かっているように……。
「それは当然、他の星に投棄しますよ。これも全て、科学が発展した事によりゴミを鉱物レベルまで固めれるようになったおかげですね」
「ははは! そうだな」
「では私は」
「ああ、科学の発展がある事を」
「はい、科学の発展を何よりも願っております」
そしてまた、ゴミは地球に投棄される。
ゴミはちゃんと捨てようね!
ワイとの約束だよ!