飽きたので終わり
第2話は、投稿してくれよと言われたのでとりあえずこれだけ置いておきます
俺は見渡す限り何もない高原を歩き始めた。
あるのは好奇心と強い不安、そして少しの食料である。
今、追い剥ぎにでも会おうものなら、一瞬にしてゲームオーバーだろう。
しばらく歩いていると、思わず「あっ……」と声を漏らし、少しの間思考と足がストップした。
地面に倒れている男を見つけてしまったのだ。
今の俺は人助けをできる状況ではないし、こういう当たり屋的な追い剥ぎもあるだろう。しかし、俺もそこまで非常な男ではない。
とりあえず安否の確認だけはしてみよう。
「もしもーし、朝ですよー生きてますかー?」
なんでこう言ったのかは自分でもわからない。
「うぅ……だ、誰だ?」男は唸りながらゆっくりと顔を上げた。
「生きてるじゃねーか……チッ」
死体だった方がまだ気が楽だったのかもしれない。
「おい…そこのお前……何か食い物ねぇか?……飢え死にしそうなんだ……」
あっ、そういう展開ね…なんとなくそう察した。
「いやあ、助かった。感謝感謝」
「そうですか……それは良かった」
男は白髪の、お兄さんというよりはおじさんに近い風貌だ。
鎧は着ていないが剣を持っていた。なかなかがたいも良いので恐らく戦士系の人だろう。
「おじ……お兄さんは」
「俺にはジェイドという名がある。お兄さんではない」
「ジェイドさんは強そうだけどどうしてあんなところで倒れていたんですか?」
「ギルドの奴らと喧嘩してここまで飛び出して来たはいいものの、その後の事は考えていなくてな……お前のお陰で助かったよ」俺は、自分の名前と自分もここら辺は初めてで、わかることがあるなら教えてくれと伝えた。
「失礼だが、お前は戦闘は得意では無さそうだが、それなのに魔王討伐を目指そうというのか?」
「い、いやぁ……こちらにも色々とありましてね…ハハ」
「訳ありか、大変だな…よし、とりあえず魔王軍と戦うならギルドを結成するのが手っ取り早い、確かここから一番近い街は西にあったはずだ。共に行こう」
「え?良いんですか…?」
「ああ、今となっては俺も宛のないただのさすらい戦士だ」
「それに、お前一人では不安だろう?」ジェイド……顔を上げた時、舌打ちしてごめんな。
俺たちは街に向かって歩き始めた。
「あ、そうだ」
「?」
「大澤、今金はいくらほどあるんだ?」
「一文無しですね………」あの天の声………金くらい入れておきやがれ!
いや、そもそもあいつは野郎なのだろうか?
「そうか、それなら……」
「……?」
ジェイドはいきなりわざとらしい大声でわけのわからないことを言い始めた。
「俺昨日、ギャンブルで一山当てたからなぁ!ちょうど懐が暖まってたころなんだぜぇー!」
「へ???」
すると
「おい!貴様、金目の物を置いていきやがれ!抵抗すると痛い目見るぜ!」
と言いながら、盗賊らしき男が数人、姿を現した。
「お……来た来た」
ジェイドは何故かニヤニヤしている。何かを企んでいるような顔にも見えるが、何をしようとしているのかは見当もつかない。
「欲しいなら奪ってみやがれ、雑魚共!数は四人か……めんどくせぇ、まとめてかかって来やがれ!」
「なんだと!なめやがって!お前ら、ぶっ潰してやれ!」
「「「おぉーーっ!!!」」」
リーダーと思しき男の号令で、3人の盗賊が一斉に切りかかろうと襲いかかって来た。
「ふぅん!」ドカッ!
「ふぐぅ……」ジェイドはなんと、その盗賊を893キックで蹴り飛ばした。
「ふんっ!」続け様に片手で剣を振り右から襲いかかって来た盗賊を瞬く間に切り捨て、声にならない断末魔を上げて倒れる盗賊。
ガキィン!二人の盗賊が倒れた瞬間、盗賊が左から切りかかって来たが、ジェイドは容易く剣で受け止めた。
「ヒィッ……」リーダーの盗賊は、腰を抜かしたようだ。
「金目の物あるなら、置いてけ!」
盗賊との争いを制したジェイドはそう恐喝した。
どっちが悪なのか、もはやわからない。
「ちっ……覚えてやがれ!」盗賊は有り金を差し出し、ベタなセリフを吐きながら去って行った。
「やはり、ああいう奴らは稼ぎになるな。仕掛けて来たのは向こうだから正当防衛だ。まあ、そもそも取り締まる奴なんて街中でもなければいないがな!ハッハッハ」
得意気に笑いながらジェイド(追い剥ぎ)は語る。
お前、前科持ちじゃねぇよな?
そうツッコミたかったが、怖くて無理だった。
彼にとってはゲームで敵を倒して金を稼ぐのと同じ感覚なのだろう。
まさかそれを間近で見ることになるとは。
そして俺たちは、また街に向かって歩き始めた。
先程のジェイドは心なしか余裕そうだったので、あれが本気ではないのだろう。彼が仲間になったら魔王討伐もいくらか楽になるのだろうか?それともこれくらいの実力ならごろごろと居るのだろうか?
底知れぬ異世界の脅威を間近で体験し、俺の中の好奇心は既に恐怖に呑まれようとしていた。
この作品は飽きましたが、次は多分頑張る