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これはどういうことだ。
私は雪より多少発育が良いから好奇心があるという事だろうか。いやでも雪はスタイル良くて、むしろスレンダーで良いまであって決して私に劣っているとかいう訳ではない。
いやいやそう言う問題でなくて……。
沢山の思考を飲み込んで、動揺をなるべく悟られないように
「いいよ」
と、答えた。
そうすると雪は張り詰めていた緊張がとけたようにホッと息を吐いた。即答はできなかったが、ギリギリ正しい行動が出来たようだ。
「そ、それじゃあ触るね……?」
雪はそう言って私の胸に触れてきた。
いや、触れたと言うか揉みしだかれている。なんだこの状況……。
やはり、おっぱいが大きい事への憧れでどんな感触になるか気になっていたのだろうか?
私は雪より優れていることは何一つないと思っていたけど、コレを雪より優れている、私の価値だと考えてもいいのだろうか?
それ冷静に考えると胸揉まれるだけの存在意義になるじゃん。
と、現実逃避気味に考えている間も私はがっつり揉まれている。それはもう、もみもみと言った感じに。
しかし、とにかくやり過ごそうと言う私に対して、突然の爆弾投下された。
「ねえ、美咲……。気持ちいい?」
そう、雪がたずねてきたのだ。
エ、キモチイイッテドウイウコト
質問されたからには答えなくてはいけない。でも質問の意図がわからなすぎて答えられない。
正直に答えるとすれば、それは全く気持ちよくないだ。
だって考えて欲しい。
親友に胸を揉まれている
と言う状況だ。
うん、訳がわからない。昨日の私に明日こうなるよって言われても、状況が理解出来ないはずだ。
気持ちいいとか気持ち悪いとかそう言う感情が生まれる状況でも無いと思うのだ。
まてまて、大事なのは雪がどう思ってこの質問をしているのかだ。
雪は私の胸を揉んでいる。そして気持ちいいかときいてきた。雪はおそらく自分に無いものへの好奇心と言う形で胸を揉んでいる。
なるほど。
「うん! 気持ちいい! こりがほぐれるなぁ」
完璧な答えだ。おそらく雪はマッサージ感覚なのだ。正直胸がこるなんて聞いたことないしもちろん私もこった事など無いしというか脂肪の塊りなんだからこるなら肩だよねとか思ったけど、そこを指摘してはいけない。
なにせ、今は雪への恩返し中なのだから。
「え? あ、そ、それなら良いのだけれど」
答えるまでの不自然な間があったためか、動揺したような顔をして雪が言った。
そうして、雪の手が次第に弱まり力なく私の胸から離れていった。どうやら、この謎の時間はようやく終わりをむかえるようだ。
雪は
「そ、それじゃあ私は帰るね」
と、言って逃げるように帰っていった。
私は雪がいなくなり、緊張の糸が溶けたことでその場に倒れ込むように座り込んだ。
この時は自分のことでいっぱいいっぱいで、雪の違和感に気付くことは無かった……。
こうして、一枚目のなんでも言うことを聞く券は消化された。残り99枚……。
もしかすると、作りすぎてしまったかもしれない。