表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
135/143

橋の前の戦い3

 ダン! ダン!


 再び森の中からモネアに向かって銃が放たれ、盾に当たる。モネアはポピルによってえぐられた盾の裏から森を見た。鬱蒼とした植物が広がり、視界は五メートル先も見えない。だが向こうからこちら見えるということは即ちこちらからも見えるということ。草木の陰に隠れているだけで必ず近くにいる。発砲時の光は見えなかったが銃声と着弾の時間差から襲撃者までの距離は二十メートルもないとモネアは踏んだ。


 モネアは持っていた拳銃を持ち替える。次に撃つのは爆発弾。


 ダン! ダン!


 度重なる襲撃者からの銃撃を盾で防ぎながらモネアはおおよその見当をつけ、爆発弾を一発、空へ向けて撃った。


 ドン!


 重たい銃撃音と共に放たれた爆発弾は、二十メートルほど放たれた森の中へ落ちていく。


 爆発が起こった。


 地面に着弾した弾は炎をまき散らし、襲撃者の影を映す。モネアには見えた。ここから十五メートルほどの距離にある木陰の奥だ。勝利を確信したモネアは、わざと時間差を開けて三発の爆発弾を撃った。


 ドン! ドン! ドン!


 一発目の爆発弾によってこれがどういう効果をもたらすのか襲撃者は理解しているはず。モネアは獲物の動きを予測しながら拳銃をダックフットピストルに持ち替え、油断せず盾を身構えた。


 一発目の着弾。爆発が起こり、襲撃者の影が先ほどより道路側へ近付いてくるのが見えた。


 二発目の着弾。一発目よりさらに道路に近い場所で炎が広がる。


 三発目の着弾。それはもはや道路から五メートルと離れていない距離だった。そして爆風によって押し出されたかのようにスキーネが森から飛び出して姿を現す。スキーネはつんのめって前に倒れた。すぐさま立ち上がろうとしたものの、一緒に倒れたライフルの銃身をモネアが足の裏で踏みつける。


「やあ、お嬢さん。お一人ですか?」


 薄笑いを浮かべたモネアがスキーネの顔に向けてダックフットピストルを向けた。この銃に替えたのは、襲撃者が複数だったときのことを想定したためだ。だが炙り出されたのはただ一人。モネアはその場に盾を捨てるとスキーネの髪を掴んで立ち上がらせ、スキーネの持っていたライフルを森の中へ蹴飛ばした。


「痛いっ! 放してっ!」


 スキーネが苦痛に顔を歪めながら、髪を引っ張り上げるモネアの手を掴む。だがモネアは一切手心を加えない。


「それは相手の出方次第です」


 そう言うと、モネアはスキーネの体を盾にしてポピルに向き直った。


「お前たち! 止めなさい!」


 モネアの命令を受けて部下たちが一斉に射撃を止めた。間断なく続いていた銃声がピタリと止まり、周囲には不気味な静けさが漂う。ポピルは倒木を背にして銃に弾を込め終えると、慎重に顔を上げて前方を見た。


「スキーネ!」


 思わず声が出てしまう。モネアは吊り橋の手前、道路の中央でこれ見よがしにスキーネを人質に取っていた。


 くそっ! 手下たちと撃ち合っている間に捕まったのか!


 モネアが冷酷に告げる。


「銃を捨て、こちらへ歩いてきなさい。従わなければどうなるか説明は省きますよ」


 スキーネの髪を引っ張り上げるモネアの腕に力が入ったようで、スキーネは「うっ」と呻いた。そして伸びた彼女の細い首に向けて、銃口が四本も付けられた奇妙な銃を突き付けている。


 ポピルは考えた。

 どうする、どうすればいい?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ