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6.部長からの伝言(2)
――近所に住む大地主が、古文書を整理中に暗号らしい書き置きを発見しました。
先祖が埋蔵金をどこかに埋めたという言い伝えがあるので、その手がかりかも知れないとのことです。
その大地主は、博物館員とか学者とか探偵とかに解読を依頼すると、埋蔵金に目がくらんだ彼らに金銭をだまし取られる危険性があると心配していて、長年の近所付き合いがあり信頼もできる一之江家に解読依頼が来ました。
一之江家は、この暗号の解読を一之江家の関係者のみで実施し、大地主の立ち会いの下に埋蔵金の発掘を実施すると約束しました。
ただ、一族だけでは暗号を解読できない可能性があります。より広い知識を持ち、柔軟な思考を持つ人物が必要です。
そうなりますと、それを一族にだけ求めるわけにはいきません。
そこで大地主と協議した結果、一族以外に協力者の募集を広げるとしても、わたくしが部長となっている私立K高校文芸部の生徒までとし、秘密厳守を約束したのなら暗号解読をして良いと許可が下りましたので、それで夏合宿を行う文芸部員たちと暗号解読に挑戦することになりました。
★★★