表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/15

005 戦闘


巨大猪と対峙した俺は、とりあえず猪の目を睨みつけ、絶対に目を逸らさないように心を叱咤し、そしてそのままゆっくりと摺り足で後退していった。


まずは相手から距離をとる。

で、大木の影に隠れてやり過ごす。


そんな淡い期待を持って徐々に後ろへ、後ろへ。


「ブゥ、ブホォオオオ!!」


威嚇の声を上げ、巨大猪が俺に向かって凄まじい勢いで突っ込んできた。


俺は咄嗟に体を真横へ投げ出し、何とか突進の回避に成功する。

そして回避できたことに我ながら驚く。

神様の話で、転移特典として肉体の強化があったことを思い出し、その効果が出ているのだと納得する。


これなら、何とかこの巨大猪をやり過ごせるかもしれない!


そう思い直し、すぐさま反転してこちらに向き直った巨大猪に向かって、一か八か俺は駆け出した。

巨大猪は先ほど同様、俺に向かって突進してきて、俺はまた同じように真横へ逃げる。

突進をギリギリの所で回避。

そして、俺は巨大猪が突進の勢いを殺し反転するまでの時間を稼ぎ、その間に巨大猪とは逆方向へと一気に駆け出した。

なりふり構わず全力で走り、巨大猪が追うのを諦めて帰っていくのを願いつつ、俺は確認するために後ろを振り返った。


「ブ、ブ、ブホォオオオ!!!!」


後方数メートル、全速力で俺を追いかけて来る巨大猪。

諦める様子は皆無だ。


――…このままではいずれ殺られるっ!

もうこうなったら、殺られる前に殺るしかねぇっ!!

現状、巨大猪を倒すために俺が出来ることは!!

そんなのは初めから決まっている!!

そう、のび太君よろしく、助けを求めるんだ!!


助けてっ!! 鑑定さぁーーーん!!!


『はいはい、どうしたの、ハゲ太君?』


あの巨大猪が僕を苛めるんだ!

どうにかしてよ、鑑定さん!!


『仕様がないなぁ、ハゲ太君は。じゃあハイ、巨大猪の弱点、火魔法の呪文~』


えっ!? 秘匿されている魔法の呪文教えてくれるの?

さすが鑑定さん! 有難う! 早くその呪文を教えてください!!

――俺が死ぬ前にっ!!


『火魔法の呪文、13,000本となりますが、よろしいですかー?』


……………………っ。


――……………くっ、お、お願いします、お、教えてくださいっ!!!


『はい、じゃあ頂きますねー』 バサバサボトバサァサラサラ……―


『はい、頂きましたー。では、呪文を教えますねー…――――』



そして鑑定さんが長々とした呪文を朗々と教えてくれた。

その呪文さえ唱えれば、全能魔法スキルの効果で魔法が発動するらしい。


――のだが、呪文が長い上に、唱えるのがかなーり恥ずかしい!


だが、言わねば死ぬのだ。

俺は開き直って真面目に叫ぶ。


「黒を纏いし焔神、天を牛耳る飛竜神、縁が結ぶ奇跡の御業、愚者を滅せと顕現す! 怒濤炎竜!!」


俺はすぐさま詠唱をして、火魔法『怒濤炎竜』を真後ろまで迫っていた巨大猪に向けて放った。


手のひらから黝ずんだ炎が立ち昇り、それが中国の竜を思わせる形を作る。

その炎竜は口を大きく開き、巨大猪に向かって噛み付くようにぶち当たっていった。


巨大猪は聞くに堪えない断末魔を上げ、ドサリとそのばに倒れ伏した。


終わってみればあっけないもので、その場には丸焦げになった巨大猪の残骸だけが残されていた。

あれほどの炎の塊が暴れたというのに、巨大猪以外に燃えた痕跡がないことに、今更ながら魔法の炎なんだなと実感する。


そして……


さわさわ、すりすり、スカスカ


手で頭を触り、確かに所々髪の毛が無いことを確認し、今更ながらに呪いの恐ろしさを実感する。






俺の頬を涙が伝う。


それは止まることなく、小一時間ほど流れ続けるのだった。






 ステータス


 名前 ハゲ・テイル

 年齢 16歳

 LV  08

 HP  71

 MP  33,999,423/34,000,023

 RH  86,988

 STR  35

 DEF  36

 

 魔法 怒濤炎竜





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ