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果月29日
あしたはお休みです。
4日のアイダお休みです。
女官のイチバンエライが休みだといいました。
ジルもお休みです。
1日いっしょです。
マツリにつれて行ってアゲマス。
ためたカネでおやつを買ッタ。
それから、休みだからべんきょうも休みです。
果月30日
女官長に言われて、明日から4日間お休みをいただきました。
ジルも1日だけ休みが重なっています。その日に、彼にお祭りに連れて行ってもらいます。
お祭りでは、今まで貯めたお金でおやつを買う予定です。
お休みの間も、頑張って勉強します。
正しくは、以上です。
やはりたった4行の内容ですね。態と改行して行数を稼ぐような小賢しい真似はおやめなさい。
まあ、勉強を頑張りたい気持ちはよくわかりました。ですが、折角のお休みです。
いくら仕事が休みで、丸一日時間があるとは言っても、4日間日記を書くのは大変でしょう。
せっかくですから、ジルと一緒の休みくらいは、貴女も存分に楽しんでください。
そういうことですから、頑張って、3日間分の日記を書いてください。楽しみに待っていますよ。
食堂で朝食を終え、一旦王宮内にある侍女部屋に戻って、さあ家に帰ろうと元気よく扉を開けたら、目の前ににっこり笑ってノートを差し出すリドル様の姿があった。
「おはようございます。出発前に間に合って良かった。
このノートをお返ししておきます。頑張って色々書いてきてください」
「は?」
昨日は、確かリドル様にお夜食を出した時に、どさくさにまぎれてノートを渡したはずだけど?
リドル様、昨夜は急ぎの仕事で忙しいって話じゃなかった?
それなのに、なんでこのノートが目の前にあるの?
「さあ、休暇を楽しんでくださいね」
にっこり爽やかな笑顔を向けられて、かなり強引にノートを押しつけられ、うっかり受けとってしまう。
「お土産、楽しみにしていますよ」
これでもかというほど笑顔を振りまいているリドル様と、ばっちり目があった。
充血していた。
目の下は、くっきりはっきりした、くま。
まさか、徹夜? 仕事して、さらに私の日記読んで、コメント付けて朝早く返しに来たの?
「が、頑張ります」
引きつった笑いで、そう答える以外、何ができただろう?