【今日も少女の掃除が始まる 】
「いつもありがとうね」
そう言うと少女は隣で荷物を積んだ荷車を引いている魔物の額を撫でる。
その魔物は地上を歩く鳥に似ており、嘴は防具を貫き、翼は退化し、足は巨大化をして地上を走る脚力を得た。羽毛は高級素材として貴族の寝具の素材となっている。
「グルルル…」
魔物はそう鳴くと、少女に撫でる手によってうっとりとしている。
「もうすぐ着くから、もうちょっと頑張ってね。」
しばらくすると目的の6階に着いた。
そこは通路中に討ち取ったモンスターの死骸や血しぶきが散乱している。
本来ならモンスターの死骸は別のモノたちが掃除をするのだが、つい先日その主導者が討ち取られてしまい、彼女がその仕事もやることになっている。
「随分と汚れちゃっていますね。頑張ってお掃除しないと。」
そうゆうと荷車から荷物を降ろし、掃除の準備をしていく。
まずは通路に転がっているモンスターを退かす必要がある。少女が目を瞑り、魔力を華奢な両腕にある腕輪に流す。しばらくすると腕輪が紅く光る。
「これでよしっと」
少女はモンスターの死骸を片手で持ち、スペースに余裕のある荷車にその死骸を入れていく。
少女が付けている腕輪は真道具であり、その名は力の腕輪。使用者の魔力を消費して、腕力を強化することが出来る。これを使用して力仕事が出来るようになっている。少女は死骸を手際よく片付けていく。
「ふぅ、片付いた。これで通路掃除が出来る。」
そう言うと荷車から少取り出した棒状のモノ持つと水桶に入っているモノを出す。
「…!」
水桶には魔物であるスライムが入っていて、棒状のモノがスライムにくっつく。
これは汚れを落とせる真道具であり、魔力や魔力のあるモノをくっつける特性がある。これと粘液のあるスライムと組み合わせると、ダンジョンの魔物や魔導士の汚れを落とせるようになる。そしてスライムの粘液のおかげで通路に光沢が出来る。
「今日もお願いしますね。」
そう言うと手慣れた様子で通路掃除を行っていく。
スライムがくっ付いた真道具が汚れが付いた通路を見る見るうちに綺麗にしていく。
「よいしょっと」
そう言うと少女は通路の最後の汚れを拭き取る。
綺麗になった通路を見ると満足した顔になると、使った道具を荷車に載せていく。
「次は4階だね。あともう少し手伝ってね。」
そう言うと鳥の魔物を撫でて、少女と1匹は4階を目指す。
…どうも皆さん、お久しぶりです。あれから3か月も経っているとは時は残酷なものですね。
アルバイトの忙しさと、その忙しさの褒美として趣味のTRPGにかまけていました。本当に申し訳ない。
今後もまったりと投稿していきます。