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しるし3(詩集)

かなしみをとりだして抱いてあげる

作者: さゆみ


金柑が走り出した

プシュっと弾けて

溢れ出すキミの言葉

かみしめている


甘くて爽やかで

苦くて引き締まる

抜け落ちていった雫は

二度と復元しないんだ


優しさはいくらでも

きれいに飾れるけれど

かなしみは(しま)おうとする

大切にしてあげる


小さい音大きい音

忘れたくない曲忘れてしまう曲

ピアノの鍵盤が浮き上がり破裂する

突き刺さる角度が教えてくれる


無駄なものなんてないのかもしれない

皮も実も香りも種も毒でさえ

受け容れられない

そうだとしても

今はそうだとしても


心の宇宙も未知だから

根拠のない言葉を吐いて

歪んだ星が再生するよ

かなしみをとりだして抱いてあげる

癒えるなんて言えないけれど







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