異世界・二日目
異世界・二日目。
受付の人から渡された依頼は、まさかの裏家業の末端役であった。
「これは、予想外の展開ですね」
昨晩はギルドの一室を借りることができた。そして、日が上る少し前に起こされて向かった先は何処かの地下施設。そこでは何かの研究をしているようなのだが、詳しくは説明されていない。
地図の通りに進むと、赤いバツマークの所にたどり着いた。依頼内容に沿うのであれば、まず四角い木箱を右に一つ分ずらす。そして下にある煉瓦の高さが均等ではない場所を探してみる。
見つけた煉瓦を退かすと、そこには麻で作られた巾着袋が置いてあった。手に取ってみると、そこそこ重くジャラジャラと音がなる辺りから中には大量のコインが入っていると推察する。
これが今回の目標物だ。
あとは、これを依頼通りの場所に置いてくるだけだ。
なかなか、簡単じゃないか。ここに向かってくる途中に人と遭遇しなかったのだが、それがどうにも引っ掛かる。不自然なまでに人がいなかったのだ。
見張りさえいないのはおかしいと思う。
これは、いやこの依頼に込められた意図は裏家業の末端をこなすと言うものではないのでは無かろうか。
そのまま指定された道を行き、巾着袋を地面に埋めて隠すとギルドに向かい受付に報告したのだった。