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第0話
――いきなりの呼び出しに、戸惑いながら、扉を見つめる。
誰が呼んでいるかは、慌てた同僚からは聴くことができなかった。
けれど、高鳴る胸。
脳裏に過る、彼の銀髪。
何となく、何となくだけど、この先で待っているのが、あの人のような。
銀の髪の隙間から覗く、あの不思議な黒い瞳の彼が、この先でいつもの様に、完璧な笑みを、張りつけているんじゃないかと。
そっと、扉をノックし、返事を待てずに、引いて。
そうして覗いた扉の先には、けれど、全く期待していなかった別人がいた。