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私はアイドル令嬢  作者: あんぽんたん
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私はその衝動を押さえられない


「佳乃ちゃん、お母様はお夕飯のお買い物に行ってくるから、お利口にしていてね。」



「はい、お母様。」




私、龍ヶ崎佳乃は1週間前にテレビでアイドルのライブ映像を見て前世の記憶を思い出した。その直後私は高熱をだし、倒れたらしい。

動転したお母様は救急車を呼び、すぐさま大学病院に運ばれた。そこでの処置のおかげでよくなったが、心配性のお母様に1週間経った今でも自室の天蓋付きベッドで絶対安静を義務つけられている。



思い出した直後こそ頭の整理がつかず、こんがらがっていたが1週間も経ってくるとなれてきてしまった。というより、思い出す前から私は何気なく過ごしている生活の中でも『あれ、知ってるこれ』とか『あー、そうだよねー』といつも既視感におそわれていた。


だから、いつまにか納得していた。

『あ、やっぱりそうだったんだ』と。

正直、今の私は前世の記憶が刷り込まれてしまったことで、少し前までの龍ヶ崎佳乃とは少し変わってしまった気がする。


私、龍ヶ崎佳乃は龍ヶ崎グループの財閥社長の一人娘だ。人見知りで恥ずかしがりな性格で家族以外には全く心を開けず、幼稚園に行くのが嫌だった私のわがままで幼稚園にもいっていない。来年には小学校入学で私も皆も頭を悩ませている。


ほんと行きたくないよ……。



正直、恥ずかしがりな性格が変わったわけじゃない。その性格は全く変化ない。だけど、なんか違うんだ。今私は、それまでの私には絶対に無かったある衝動に猛烈にかられている。


「はぁ………。」












「佳乃ー、だいぶ顔色もよくなったな。一時はどうなるかとおもったよ。」


とお父様が私に言う。


お夕飯の時間。お父様が帰ってこられてお母様と私の三人で食卓を囲む。今日は大好きなお母様のビーフストロガノフだ。


「そうね、良くなったわ。今思えば佳乃ちゃんのためと思って見せたペニキュアの歌を歌ってらっしゃる方のライブを見せたのがいけなかったのかしらね。」


とお母様が申し訳なさそう。


ペニキュアとは毎週日曜日の朝に放送しているアニメ魔法少女ラブリー⭐ペニキュアのことだ。私はそのアニメを毎週楽しみにしていて、朝早く起きて必ず見ている。先月には、お母様と一緒にペニキュアの映画も見に行った。


そして、そのペニキュアのオープニングソングを歌っていたのがこの間私が倒れたときに見ていたアイドルなのだ。 


お父様とお母様は私が倒れたのはあのライブ映像のせいだと決め、話を進めていく。


いや、確かにそうなんだけどね、ちがうの、


こんなとき、私は家族にも自分の言いたいことをちゃんと言えない。




「そうだな。ああいうライブとかはライトとかの光があまり小さい子供にはよくないのかもな。」




「はい、実は今度その方が出演するペニキュアのイベントのチケットも取ったのだけど…。」



え、そうなの?!え…私


「やめておいたほうかいいだろう。」



「そうですね。なにかあっても不安ですし。」



「あぁ。」



私を置いて、話が勝手に進んでいく。

ああ、このままじゃ!このままじゃ!私は…私は…!


バンッ!

私が急に椅子から立ち上がり、椅子が倒れる。


「わ、わたしぃ!!そ、その人のライブ見たいっ!!い、イベントに行きたいっ。」




どうしても、あの人の歌を聞きたい。

ダンスを見たい。笑顔を見たい…。





そう私は前世の記憶の影響なのか、またもアイドルにはまってしまった。もう私にその衝動は押さえられなかった。




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