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序章
空は青く、雲は白く、爽やかな風が吹いていました。黄金色の麦の穂がたなびく畑の横で、一人の男が寝そべっています。麦わら帽子で隠した男の顔を伺うことは出来ません。
野の花は自由気ままに咲き、鳥は空を自由に飛び回ります。近くの小さな小川から水の流れる音が響き、草の香りに包まれました。午後の日差しが優しく降り注ぎ、草木まで一休みしているかのようです。
ふと、一人の少女がどこからともなくやってきました。薄い金髪の少女は、手には七色の花で作った花冠を持ち、裸足に白い服を着ています。軽い足取りで男に近づくと、花冠を差し出し、こう尋ねました。
「花冠は、だれのもの?」