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撃てない銃  作者: たむこ
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4月9日

まだまだ寒い朝。

春になったらかと言って、きゅうに暖かくなるようなことなどない。

だから私はまだ布団の中。

もぞもぞと横や縦に体を動かし、10分ほど費やしやっと布団から出ることが出来た。


目覚まし設定を行っていない枕元の時計の長針は午前6時を指していた。

眠たい目をこすりながら私は勉強机の上に畳んでいた小学校の制服に着替え、

顔を洗いに洗面所に向かう。


私はタオルを手元に準備し、もう片方の手を利用して、顔に水を浴びせた。


-冷たい。

これは拷問よ。


でも洗顔は大事。

お母さんがそう言っていたわ。

お肌はこまに気にかけてあげないと駄目。繊細なんだから。って


拷問を終えた私は、廊下に出てそのままリビングへと向かった。

ペタッペタッと、私の足音だけが廊下に響く。

物音ひとつしない静かな家。


テーブルの上に置かれていた袋から食パンを1枚取り出し、トースターに食パンを任せ、冷蔵庫からピーナッツバターを持ってきた。

私はこのピーナッツバターが大好物。

パンと一緒に食べると本当に最高なの。

でも、毎日だとちょっと飽きてきちゃうけどね。


少し焦げてしまった食パンにピーナッツバターをたっぷりと塗り、食べていると、玄関扉の鍵がカチッと開く音がした。

お母さんよ。ちょっと遅かったわ。


トタトタとお母さんはリビングへと入ってきた。

「あら真希ちゃん。今日も私の負けよ。早いのねー」

お母さんは私に笑いかけながらそう言う。

コクリと頷き、食べ終えた私はバターを冷蔵庫にしまいに動いた。

すると、椅お母さんが私の姿をみて驚いた。

「真希ちゃん、今日から学校なの?あっ始業式よね。」

「そうよ。」と伝え私はランドセルを取りに私の部屋へ向かった。


-私はお母さんが大好き。

夜のお仕事なので朝帰りが多いけど、とても優しいし、時間があればかまってくれたり、勉強だって教えてくれるの。


お父さんはいないの。

私がまだ小さい頃にりこんしたんですって。


だからたまに見かけるお父さんのいる家族を見ると、ちょっと羨ましく思っちゃう。

でもね、私はね。

お母さんと私だけでも十分満足よ。

学校の先生が、お母さんとお父さんのいない子供達が世界にはたくさんいるって言ってた。

だから私は幸せなのよ。

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