世界一、気持ち悪い恋の終わり ハッピーエンドバージョン
あれから8年が経過したー。
俺は東京で、それなりに大手の企業に就いて、
まぁまぁ厳しい先輩と上司にしごかれる毎日。
「たくっ、やってられんかよ〜
…あのハゲ、絶対八つ当たりだ」
「おい優弥、気持ちはわかるけど抑えろ。
ー俺らはもう社会人だぜ、
学生みたいに文句は言えないんだよ。」
仲の良い同僚は、そう言うと隣にそっとカフェオレを置いてくれた。
「ほれ、定時まであと1時間ー。」
「…だな」
そう微笑み、カフェオレを一口飲む。
「ああ大杉、本当にすまんが…こっち来て!」
「?、はい?」
大杉は俺の苗字だ。
嫌な予感がしながらも、上司の机に行く。
ドンッ、
「これ顧客の資料、
今日中にデータ書き込んどいてくれないか…?」
「…ハッ?」
机に置かれてるのはどう見ても定時内で終えれない資料、更には顧客データときた。
当然、社外の持ち出し厳禁。
「いや…。確か顧客データだし、
社外禁止でしょ?
これを今日中ですか⁇、終電無くなるかもだし…」
俺は明らかに嫌そうで、困った声を出す。
こうすれば、基本優しい人は引いてくれる。
「そう‼︎、タイピングに仕事が早いの君何だ‼︎
済まないがどうかお願いだ‼︎、
他の奴らにも声かけて仕事減らすから…!
…お願いだ‼︎」
どうもー、この人は人を使うのが上手い。
こんな腰低くお願いされて誰が「NO」など言えるだろうか…。
「…。かしこまりました‼︎」
ー結局、定時を3時間越えて帰れた。
ーピロンピロン
スマホにLINEの通知がなり見る。
付き合って五ヶ月の彼女だ。
ーーーーーー
『ごめん、いきなりだけどいい?』
『…なんかやな予感するけど何?』
『別れたい』
『…の前に一つ言わせて、何で⁇』
『全然会えないし、冷めた。』
『悲しー』
『その軽い感じも嫌い』
『俺も嫌いw』
『あと、本当は好きじゃなくて
妥協して付き合ったでしょ 』
『1番はそれ』
ーーーーーーーーーーーーー
…。
ああー。そゆことね。
ーーーーーーーーー
『…それはごめん』
『すごいね、女の子って、
そんなんも気づくの?』
『五ヶ月もいたんだよ』
『部屋の合鍵はポストに入れたから』
『ありがと』
『でもそれでもほんとに
好きだったよ 』
『嘘つきw』
ーーーーーーーーーーーーー
こうして、俺は五ヶ月一緒にいた彼女を手放した。
「…あー、くそ」
楽とは、大学卒業してから一回も会ってない。
楽の母から聞いた話だが、あいつは大学を卒業してから、
大量の金を家の口座に入れて、
そのまま行方不明だ。
俺はそのまま、それなりにいい大学に行き、
卒業し、適当に賃金1番高いところに就いた。
大人になり、気づくのは、道ゆく奴ら全員が面白いくらい死んだ目で歩くのだ。全く面白い…。
「…くねえな。」
ーピロンピロン。
スマホから着信、ふと見る。
ーLINE
「楽」からー
「…ハッ!?」
ー呼び出されたのは、やけにワイワイとした、賑やかな居酒屋。
俺は先に席をつくと、ビールを頼む。
その店は今では珍しい。喫煙よしの居酒屋のため、
人を選ぶが、俺は寧ろ、その匂いが好みだった。
「…優弥、」
ーその名前を言われた時、固まる。
今この瞬間でその名前で呼ぶ人物なんて決まってるのに、あいつの声にしては低すぎる。
「…‼︎」
ゆっくりと振り向く。
ー目の前には、革ジャンにダメージジーンズ。
かっこいいワンポイント付いたピアスを開けた。
ー肩幅が広く。少し背が伸び、顔が少し角張った。
見た目がしっかり男になった。楽だーー。
「…楽?」
「そ、俺、久しぶり優弥、お前ほどじゃねえけど
もうチビじゃねえだろ」
確かに、目の前にいたのは、間違いなく、
声も、肩も、首筋も、顔も、
全てが男の"楽"だ。
「お前…!も、もしかしてさ!」
「うん、性転換手術、
かなり金も時間もかかったけどさ、やっと理想の姿になれた!」
「マジかよー‼︎、よかったじゃん‼︎
おめ楽!」
「ほんとだよ!あっ、ごめん優弥、
お前タバコ平気?」
「あっ?タバコ?
全然平気だから!吸え吸え!」
そう言うと、楽は一本取り出すと慣れた手つきでタバコを吸う。
いつの間にか、親友はタバコを吸えるようになったのか。
「いやさ〜、これからさ、父さんと母さんに
会いに行く、彼女もいるしさ」
「マジッ⁉︎、いつの間に彼女‼︎
先を越したなお前〜ッ‼︎」
軽く膝でこつくとヘラヘラしながら受ける。
「よせって〜!お前もモテるくせに〜!」
バンッ!
「!……」
「?、優弥⁇」
「い、いゃ〜、お前びっくりしたわ!力も付いちゃってー!」
「まあな、最近筋トレも始めたんだよねー」
「マジかよー‼︎、行動早くねw」
あーあ、店長、俺はやっぱり最低です。
素直に喜べません。
肩幅がしっかりし、体が男になって、
タバコを吸い、力が強くなってー。
いきなり、親友が変わってしまった様な。
いなくなった様な…。
いや、違う
好きな人がこの世からいなくなった様な…
それが嫌いです。
いやです。
「…なあ、優弥」
「んっ?どった?」
楽は俺の顔を見る。その優しそうな顔は本当に一緒
「俺さ、優弥に一生分の感謝しねえといけない…」
「えっ?何でよ〜!」
「お前だけだもん…。俺が性自認男なのも、
女の方が良いって言わなかったの。」
「えー、だってそうじゃん、
お前は男なんだっていってんだから、だったら
そう接するのもあたりまえじゃーん」
一口目が上手いビールをゴクリと飲む。
しかし、うまいはずのビールが、
なんだかどうしてだろう、三、四口目の味わいに感じる。
「…お前はそう言うけどさ、俺は本当に救われたんだよ。お前覚えてる?
五年生の時に、俺に言ってくれたの」
「あー、確かお前が俺に言ってくれたのだよな?」
そう言うと楽は「そう!」と短く言い、先ほどのニカニカ笑顔は何処へやら、しんみりと、眉と降格を緩ませたその顔は、
俺に昔を思い出させた。
「『そっか、俺は男!お前も男!
同じだな‼︎』」
そう言いあいつの顔は、それはそれは嬉しそうな顔をする。
「その言葉と、高校の時に言ってくれたあの言葉
…
それが本当に嬉しかったんだよ」
「よせってよせって、俺はそんなつもりじゃなく…‼︎」
ふと手元に目が向く。
皮特有の艶を出し、洒落たデザインを彫られた革ジャンと合わせるには不釣り合いな、
百均クオリティの、腕時計
「………」
「なあ、お前さー…てやべ、そろそろどの電車も終電時間近いな」
「ゲッ!マジじゃねえか‼︎、じゃあLINEで続きするか!」
「だな!」
そうして、俺らは新宿駅まで歩く。
駅のホームはすっかり人でいっぱいになり、中々根性必要になる。
「だーくそ!気だるいなぁ〜、楽、
気をつけろよ〜!」
「るせー、もうチビじゃねえよこんぐらい行けるわ」
「…そーか、じゃ、俺らは一旦ここでお別れだな」
「家着いたら言えよ〜。」
ーそう言い、楽は笑顔を向けながら手を振る。
ー駅のホームでは、会社帰りのサラリーマンの同士達が溢れており、一気に不思議な夢から目覚めさせられる。
ー結局、あいつは何の一つも変わっていなかったんだ。
仕草も、笑い方も、喋り方も、
くしゃくしゃの笑顔も、
ーほんっとに何の一つも変わっていなかったのだ。
「…変わったのは俺だな。」
家につき、扉のポストに元カノからの合鍵が入ってる。
「…本当に、別れたんだな」
金髪でー、くしゃくしゃな笑顔があいつに似てたー
ーーーーー
『おーい』
『今着いたわ』
『早くね』
『俺まだよ』
『彼女が待ってんならさっさと
帰って上げろよ〜』
『今日は友達のところに泊まるって泣』
『お前は?』
『ついさっきフラれたわ』
『泣』
『どんまい』
『るせー』
『もういい』
『お前が式あげる時はご祝儀四万で
縁起悪くしてやる』
『辞めてくれよww』
『あのさ…。』
『お前は俺と今の彼女
結婚できると思う?』
『できる』
『無理でも先はあげれるだろ?』
『…ありがと』
『彼女も同じだといいんだけどな〜!』
『惚気やめいw w』
ーーーーーーーー
あいつ、今の彼女と結婚するつもりなんだ…。
「ああくそっ、精神減らしてくんじゃん」
自室で乾いた笑いが響く。
それと同時に決めたー。
とことん、最低人間でもなろう。
ーーーーーー
『惚気やめい w w』
『なあ』
『世界一さいっていな恋の始まりって
何だと思う?』
『?』
『体目的?』
『✖️』
『金』
『✖️』
『なら全部』
『✖️✖️』
『なら何だよ』
『今から例出すわ』
『俺の実体験』
『ついでに終わらせ方も』
『さっきの彼女の話?』
ーーーーーーーー
「違えよ、バーカ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『さっきの彼女の話し?』
『大好きでした高校の頃からずっと
「女」として好きでした。
全部じゃない、友達として、
男として見てました。でも
たまに異性として見てました。
ごめんなさい。
友達として接しようとしても
少し、いやかなりきついです
あんたの親友は全然最高じゃない』
『自分のことばかり優先して
ごめん 』
『ごめん楽、幸せになって、
本当にごめんなさい。』
《 楽 をブロックしますか? 》
《はい》 《いいえ》
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから8年が経過したー。
俺は東京で、それなりに大手の企業に就いて、
まぁまぁ厳しい先輩と上司にしごかれる毎日。
「たくっ、やってられんかよ〜
…あのハゲ、絶対八つ当たりだ」
「おい優弥、気持ちはわかるけど抑えろ。
ー俺らはもう社会人だぜ、
学生みたいに文句は言えないんだよ。」
仲の良い同僚は、そう言うと隣にそっとカフェオレを置いてくれた。
「ほれ、定時まであと1時間ー。」
「…だな」
そう微笑み、カフェオレを一口飲む。
「ああ大杉、本当にすまんが…こっち来て!」
「?、はい?」
大杉は俺の苗字だ。
嫌な予感がしながらも、上司の机に行く。
ドンッ、
「これ顧客の資料、
今日中にデータ書き込んどいてくれないか…?」
「…ハッ?」
机に置かれてるのはどう見ても定時内で終えれない資料、更には顧客データときた。
当然、社外の持ち出し厳禁。
「いや…。確か顧客データだし、
社外禁止でしょ?
これを今日中ですか⁇、終電無くなるかもだし…」
俺は明らかに嫌そうで、困った声を出す。
こうすれば、基本優しい人は引いてくれる。
「そう‼︎、タイピングに仕事が早いの君何だ‼︎
済まないがどうかお願いだ‼︎、
他の奴らにも声かけて仕事減らすから…!
…お願いだ‼︎」
どうもー、この人は人を使うのが上手い。
こんな腰低くお願いされて誰が「NO」など言えるだろうか…。
「…。かしこまりました‼︎」
ー結局、定時を3時間越えて帰れた。
ーピロンピロン
スマホにLINEの通知がなり見る。
付き合って五ヶ月の彼女だ。
ーーーーーー
『ごめん、いきなりだけどいい?』
『…なんかやな予感するけど何?』
『別れたい』
『…の前に一つ言わせて、何で⁇』
『全然会えないし、冷めた。』
『悲しー』
『その軽い感じも嫌い』
『俺も嫌いw』
『あと、本当は好きじゃなくて
妥協して付き合ったでしょ 』
『1番はそれ』
ーーーーーーーーーーーーー
…。
ああー。そゆことね。
ーーーーーーーーー
『…それはごめん』
『すごいね、女の子って、
そんなんも気づくの?』
『五ヶ月もいたんだよ』
『部屋の合鍵はポストに入れたから』
『ありがと』
『でもそれでもほんとに
好きだったよ 』
『嘘つきw』
ーーーーーーーーーーーーー
こうして、俺は五ヶ月一緒にいた彼女を手放した。
「…あー、くそ」
楽とは、大学卒業してから一回も会ってない。
楽の母から聞いた話し。あいつは卒業してから、
大量の金を家の口座に入れて、
そのまま行方不明だ。
俺はそのまま、それならいい大学に行き、
卒業したら、適当に賃金1番高いところに就いた。
大人になり、気づくのは、道ゆく奴ら全員が面白いくらい死んだ目で歩くのだ。全く面白い…。
「…くねえな。」
ーピロンピロン。
スマホから着信、ふと見る。
ーLINE
「楽」からー
「…ハッ!?」
ー呼び出されたのは、やけにワイワイとした、賑やかな居酒屋。
俺は先に席をつくと、ビールを頼む。
その店は今では珍しい。喫煙よしの居酒屋のため、
人を選ぶが、俺は寧ろ、その匂いが好みだった。
「…優弥、」
ーその名前を言われた時、固まる。
今この瞬間でその名前で呼ぶ人物なんて決まってるのに、あいつの声にしては低すぎる。
「…‼︎」
ゆっくりと振り向く。
ー目の前には、革ジャンにダメージジーンズ。
かっこいいワンポイント付いたピアスを開けた。
ー肩幅が広く。少し背が伸び、顔が少し角張った。
見た目がしっかり男になった。楽だーー。
「…楽?」
「そ、俺、久しぶり優弥、お前ほどじゃねえけど
もうチビじゃねえだろ」
確かに、目の前にいたのは、間違いなく、
声も、肩も、首筋も、顔も、
全てが男の"楽"だ。
「お前…!も、もしかしてさ!」
「うん、性転換手術、
かなり金も時間もかかったけどさ、やっと理想の姿になれた!」
「マジかよー‼︎、よかったじゃん‼︎
おめ楽!」
「ほんとだよ!あっ、ごめん優弥、
お前タバコ平気?」
「あっ?タバコ?
全然平気だから!吸え吸え!」
そう言うと、楽は一本取り出すと慣れた手つきでタバコを吸う。
いつの間にか、親友はタバコを吸えるようになったのか。
「いやさ〜、これからさ、父さんと母さんに
会いに行く、彼女もいるしさ」
「マジッ⁉︎、いつの間に彼女‼︎
先を越したなお前〜ッ‼︎」
軽く膝でこつくとヘラヘラしながら受ける。
「よせって〜!お前もモテるくせに〜!」
バンッ!
「!……」
「?、優弥⁇」
「い、いゃ〜、お前力も付いちゃってー!」
「まあな、最近筋トレも始めたんだよねー」
「マジかよー‼︎、行動早くねw」
あーあ、店長、俺はやっぱり最低です。
素直に喜べません。
肩幅がしっかりし、体が男になって、
タバコを吸い、力が強くなってー。
いきなり、親友が変わってしまった様な。
いなくなった様な…。
いや、違う
好きな人がこの世からいなくなった様な…
それが嫌いです。
いやです。
「…なあ、優弥」
「んっ?どった?」
楽は俺の顔を見る。その優しそうな顔は本当に一緒
「俺さ、優弥に一生分の感謝しねえといけない…」
「えっ?何でよ〜!」
「お前だけだもん…。俺が性自認男なのも、
女の方が良いって言わなかったの。」
「えー、だってそうじゃん、
お前は男なんだっていってんだから、だったら
そう接するのもあたりまえじゃーん」
一口目が上手いビールをゴクリと飲む。
しかし、多分これは、三、四口目かも知れない。
「…お前はそう言うけどさ、俺は本当に救われたんだよ。お前覚えてる?
五年生の時に、俺に言ってくれたの」
「あー、確かお前が俺に言ってくれたのだよな?」
そう言うと楽は「そう!」と短く言い、先ほどのニカニカ笑顔は何処へやら、しんみりと、眉を緩ませ、それはそれは優しい笑みを浮かべる。
「『そっか、俺は男!お前も男!
同じだな‼︎』」
そう言いそれはそれは嬉しそうな顔をする。
「その言葉と、高校の時に言ってくれたあの言葉
…
それが本当に嬉しかったんだよ」
「よせってよせって、俺はそんなつもりじゃなく…‼︎」
ふと手元に目が映る。
皮特有の艶を出し、洒落たデザインを彫られた革ジャンと合わせるには不釣り合いな、
百均クオリティの、腕時計
「………」
「なあ、お前さー…てやべ、そろそろどの電車も終電時間近いな」
「ゲッ!マジじゃねえか‼︎、じゃあLINEで続きするか!」
「だな!」
そうして、俺らは新宿駅まで歩く。
駅のホームはすっかり人でいっぱいになり、中々根性必要になる。
「だーくそ!気だるいなぁ〜、楽、
気をつけろよ〜!」
「るせー、もうチビじゃねえよこんぐらい行けるわ」
「…そーか、じゃ、俺らは一旦ここでお別れだな」
「家着いたら言えよ〜。」
ーそう言い、楽は笑顔を向けながらてをふる。
ー駅のホームでは、会社帰りのサラリーマン同士達が溢れており、一気に不思議な夢から目覚めさせられる。
ー結局、あいつは何の一つも変わっていなかったんだ。
仕草も、笑い方も、喋り方も、
くしゃくしゃの笑顔も、
ーほんっとに何の一つも変わっていなかったのだ。
「…変わったのは俺だな。」
家につき、扉のポストに元カノからの合鍵が入ってる。
「…本当に、別れたんだな」
金髪でー、くしゃくしゃな笑顔があいつに似てたー
ーーーーー
『おーい』
『今着いたわ』
『早くね』
『俺まだよ』
『彼女が待ってんならさっさと
帰って上げろよ〜』
『今日は友達のところに泊まるって泣』
『お前は?』
『ついさっきフラれたわ』
『泣』
『どんまい』
『るせー』
『もういい』
『お前が式あげる時はご祝儀四万で
縁起悪くしてやる』
『辞めてくれよww』
『あのさ…。』
『お前は俺と今の彼女
結婚できると思う?』
『できる』
『無理でも先はあげれるだろ?』
『…ありがと』
『彼女も同じだといいんだけどな〜!』
『惚気やめいw w』
ーーーーーーーー
あいつ、今の彼女と結婚するつもりなんだ…。
「ああくそっ、精神減らしてくんじゃん」
自室で乾いた笑いが響く。
それと同時に決めたー。
とことん、最低人間でもなろう。
ーーーーーー
『惚気やめい w w』
『なあ』
『世界一、きもち悪い恋の始まりって
何だと思う?』
『?』
『体目的?』
『✖️』
『金』
『✖️』
『なら全部』
『✖️✖️』
『なら何だよ』
『今から例出すわ』
『俺の実体験』
『ついでに終わらせ方も』
『さっきの彼女の話し?』
ーーーーーーーー
「違えよ、バーカ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『さっきの彼女の話し?』
『大好きでした高校の頃からずっと
「女」として好きでした。
全部じゃない、友達として、
男として見てました。でも
たまに異性として見てました。
ごめんなさい。
友達として接しようとしても
少し、いやかなりきついです
あんたの親友は全然最高じゃない』
『自分のことばかり優先して
ごめん 』
『ごめん楽、幸せになって、
本当にごめんなさい。』
《 楽 をブロックしますか? 》
《はい》 《いいえ》
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
手が左に触れー
プルルルルルルルッ‼︎
「⁉︎」
いきなり電話が鳴り出す。
「……」
相手なんてわかってる。
…なら切るだけ……。
プルルルル…
プルルルル
「…………」
プルルルル…………
プルルルル………………
*****************
《…あれ読んだのに、何で電話かけれるんだよ》
その瞬間、一気に肺に息が入るのを感じる。
電話番号覚えておいて良かったー。
「お前こそ、勝手に縁切ろうと思えたら切れたくせによ…。」
ー俺、
楽は今にも、親友から縁を切られそうになっている。
「まあさ、そう急がないでくれよ優弥」
《…何度でも言う、俺は最低な親友だー》
「俺の親友はー。
俺のことをチビっていうー。
俺を、他の奴らと違い、体当たりする。
ゲームでフルボッコにする
俺が…俺であることを認めてくれた。」
《…前は本当にそうしてた…
そう思ってたよ…。》
「俺は、お前と親友でいたい」
《俺は…どうだろうな…。》
……まあ、そうか、
普通一度告白すればただの友人として戻れるのは無理だとさえも聞く。
ーでもごめん、優弥、
俺はお前が親友でいて欲しいのよ
「…ねえ優弥、じゃあさ、今一回縁切ってさ〜
もっかいだけ、チャンスくれよ」
《…ハッ?》
「優弥、俺の親友はさ、
俺が男だって言うなら、俺を男として扱うだけって言ってくれたの。
…本気で救われたの。」
《…》
スマホ越しに、吐息が聞こえる。
「…これはさ、俺の人生が100個あっても足りない奇跡だと思ってるし、あの時のお前は間違いなく
俺を男として扱ってくれたんだって知ってんの
だってそうじゃん…。」
《俺は》
「女として見てたって?、まあそうだよな、
俺体男じゃないもん、女だもん。けどさー。
だからって俺嫌うかって言われても死んでも違うのー、何でって、
お前は……。俺が告白した時、
驚くでも、知らんぷりするでも無く。
シンプルに
同じ男だなって言った男だぞ、
そんな親友、縁切られてたまるかよ」
《………》
ぽたっ
ズズッー
鼻を啜り、涙を流し泣いてる声がしている。
たく、馬鹿やろう。
俺も泣きたいよ、
親友繋ぎ止めれたんだぞ、
一人にくらいは褒められてもいいくらいだ。
「なあ優弥…。
お前ってさー、今はどこすんでんの?」
《どうだろうな、、
今日は遅いし、
明日教えてやんよ》
一年後
その日、空は、まさに爽快という言葉が似合うほどに眩しい、
「いや〜!お前にあってんじゃんタキシード!
チビのくせにさ w」
「うるせーよ巨人ダルマ‼︎
元女に結婚追い抜かれてやんの〜!」
そう言われ、俺はわざとらしく苦しそうな顔をし、
心臓を抑える。
「ウッ‼︎、お前よくも痛いところを…‼︎」
「ハー‼︎w w w」
「チクショー!美人な奥さん出来て羨ましゅうございますわね!」
「ええ!どこかのLINEブロック男と違い、
本当にいい人でしてよ!」
そう言った瞬間、俺らは笑いが抑えられなくなり、
笑い出す‼︎
「…楽!」
「!、母さん……‼︎」
楽はあれから、両親と一悶着があったらしい。
しかし結果は、どうやらうまくいったらしい。
楽の母は、ゆっくりと、
息子となった我が子の手、肩、顔に触れる。
「……これが、貴方の幸せなのね…‼︎」
そう言い、母親は崩れ落ちる。
「か、母さん…‼︎」
本当に、泣き虫すらも治っていなかった。
もう少しこうさせてあげたいが、
そろそろ時間である。
「おい主役、お前のお姫様一人にすんじゃねえよ。さっさと行け、
楽の母さん、俺が席まで案内するからよ」
「前科ある奴がよく言うわ…
あんがと、じゃあ悪いけどよろしく!」
「え、ええ…」
楽は新郎がいるべき場にいくと、俺は楽の母を新郎側の保護者席に連れてく。
「…優弥くんよね。むす…息子からよく聞いたわ
最高の親友だって…。ありがとう」
…。全くあいつは、
「俺にとっては、息子さんに救われてましたよ。
あいつがどんだけ俺を過大評価しようが…。
ゲームに、カラオケ、漫画に、勉強…
…俺が得た縁も
俺は、あいつがいたから、こうして
今の「大杉優弥」でいられるんですよ。」
「…お優しい方ですね」
その瞬間、花嫁入場の音楽が鳴り始める。
重厚感のあるドアが開く瞬間ー。
美しい花嫁と、その父親が手を組み歩いてくる。
式はつつがなく進み。
誓いの言葉を終え、
指輪を交換する。
「ー新郎新婦、誓いのキスをー」
最大のイベントが終わり、周りと共に歓声を挙げると、お堅い式は終わり、パーティの二次会に移る。
「優弥ー!スピーチよろしく頼むぞ‼︎」
「おう!」
《アー、ンッ、ンッ、》
簡単にマイクの様子を確認すると、俺は全力で頭に叩き込んだスピーチを思い出す。
《えー、新郎、新川 楽様
貴方には、沢山の恩がありますね。
ーと言いたいですが、やはり思い浮かびませんね》
ハーハッハ‼︎ クスクス…!
「おい友人代表ー‼︎」
会場は笑い声とあいつの怒号で溢れる。
《冗談でございます!
…えー、ここからは本音です。
…貴方は、今までに、それは数え切れないほどの壁に当たったことでしょう。
それはよく知っています。
たくさん嫌になったでしょう。
周りの声がうざく感じた時なんて数え切れないでしょうね。
それでも、貴方は折れなかった。
貴方は貴方を貫いた!》
ここまで読み、あいつが顔を隠し泣いているのを見て、
内心ニヤついているのに、
最悪なタイミングで、此方も涙が溢れそうになる。
ヤバイ
《時に貴方は、
わたしが最悪の決断を踏み込もうとした時
貴方は必死になって止めてくれました……。
あれには本当に、……》
まずい来た。
《…ほんとうに。救われました。ありがとう…。
だから、…でしょう。
貴方はこん…こんなにも、
…最高の奥さんと出会えた》
あーあ諦めた。
気づいた頃には涙はポタポタと何粒も溢れ始める。
《…言いたいことは、もうこれだけです。
楽ッ‼︎
幸せになってください‼︎》
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ‼︎
式場からは、心地の良い拍手が響く。
「楽!…
幸せになれよぉッ‼︎」
「…オウ‼︎」
そして俺は、この世で世界一きもち悪い恋をして、
終え方をしようとした俺は、親友の晴れ舞台を見れましたとさ‼︎




