俺、魔王と一緒に王都に入る
「そこの馬よ、止まれ!」
王都ハウルクエリスの玄関口に立っていた、二人の門番に声を掛けられる。
雑魚モンスターである俺はともかく、ヨミルの顔を門番にみられるのは何となく不味いのでは?
「馬だけに止まるの上手いな」
「いや、コイツはヘルライダーというモンスターだな。とても大人しい個体なんだろうけど、いったいどこから……?」
反応をみている限り、ヨミルが乗っていない?
俺は背中を確認したらヨミルの姿が何処にもなかった。
「ヨミル、どこいった?」
思わず口に出してしまった俺は、人型の姿になっていた。
「馬から人……じゃないか。流石に変身が上手いな、馬だけに」
「ヘルライダーに喋る個体はいたかな……どうだっけ……」
門番は俺に興味を示しているのだが、恐らく簡単には通してくれなさそうだった。
「ちょっとすみませんね、待たせたかな?」
ぽんっ、と俺の背中を押したのはブカブカの白いフードを被ったヨミルだった。
「ヨミル、いたのか」
「居るのは私だけじゃないよ」
「うん?」
「ボクだよ」
ヨミルの後ろに、ナギがいた。
ナギもヨミルと同じように、ブカブカの白いフードに覆われていた。
「やっぱりここからは彼女が必要そうですからね、連れてきました」
「ボクは何一つお役に立てないかもだけど」
「まぁ、あれだ。王都の道案内くらいは出来るだろ?」
「それくらいなら……ボクに自信はないけど」
ナギが門番に近づいていくと、胸元から身分証らしきカードを見せびらかした。
「あの人たちは他所の国の者なんだ。仮カードの手続きをする為にボクと同伴している」
「そうでしたか」
「まぁ、魔物使いならオレが単に知らないだけで、喋るモンスターを連れていてもおかしくないか」
門番は俺たちをこれ以上怪しむことなく通してくれた。
(それにしても不思議だ。この門番たち、俺が喋ったりしても勇者パーティーとは反応が違ったというか……)
「ここが王都ハウルクエリスです。ボクはここで生まれました」
王都に入ると、たくさんのお店が開いていて、とても賑わっていた。
茶色いレンガの壁に背を向けて歩き始めると、真っ先にギルドへ向かうことになる。
必要な情報を集める為だ。
いまはナギが道案内してくれるので迷うことはないが、都会みたいに油断するとすぐに迷子になってしまいそうだった。
「ナギ、本当に俺たちを通して良かったのか?」
「別に良いのです。どうせボクは、この身に掛けられた魔法を解かないと、勇者パーティーで生き残った役立たずでしかないから」
「その表現、ちょっと気に食わないよ」
「ごめん……なさい……」
「いま謝まるところじゃないよね?」
「うぅ……」
消極的なナギに対して、少し怒りっぽくなるヨミルは、ナギに対して何かを期待しているのだとは思うのだけど……単なる気のせいだったらナギに謝りたい気分だ。
それにしても、人が多いだけではなく建物も魅力的だ。
レンガの壁の家か多いが、本当にファンタジーな世界にいるのだという自覚が出てきていた。
俺がいた都会は高層ビルばかりで、地震も多い国だったからレンガの建物に囲まれている光景に憧れていたのもあった。
それがいま、叶っている。
……俺は雑魚モンスターなのに、こんな感情を全身で味わっても良いのか?
ヨミルの顔をみるが、俺に興味なし。
現在はナギのことを気をかけて必死に抗弁していた。
ちょっと不思議な光景だな。
魔王とその雑魚モンスターが王都にいて、勇者パーティーの生き残りが怯えながら道案内をする。
何となくだけど、勇者パーティーじゃないこの集まりが、いつまでも繋がりを持つようになる。そんな気がした。
明けましておめでとうございます。
今回もお読みいただき、ありがとうございます!
面白いと思いましたら、感想やブックマークをよろしくお願いします。
愛原ひかなの代表作
「ダンジョンで遊ぼう!! ~VRゲームの世界ですが、冒険者にいきなり襲われるのは嫌なので楽しくダンジョンを作りたいと思います」
小説家になろうでも連載しておりますので、こちらも何卒よろしくお願いします




