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ラストダンジョンに登場する雑魚モンスター『ヘルライダー』になっていた。魔王のお手伝いをすることになった  作者: 愛原ひかな


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魔王の戦闘力……ヤバすぎ……


「魔王は本気で振る舞うのか?」

「それもありだと思いますけど、この場で必要がありませんね」


 本気は出さない宣言をするヨミルがにやけつく。足元には、黒い魔法陣が展開されていた。


 闇属性の魔法。黒い植物のツタが、魔王城の床から突き上げてくる。


 俺はひと目見て、理解した。


 これが魔王が持っている戦闘力なのか。

 とても恐ろしい。


「がはっ!」


「ぐおっ……!」


 勇者パーティーの前衛となる男ふたりが、急成長したであろう黒き植物に絡まっていた。


「ヘルライダー大杉君は、向こうの処理をお願いね」

「了解した」


 俺は馬の形態になると、倒れている弓使いの元に近づいて行った。


「癒して、お願い……。どうして、ボクの回復魔法が効かないの!」


 気を失った弓使いは、目を覚ましそうにない。

 涙をこぼしていた赤髮ヒーラーを黙って見つめていた俺は、ヨミルから次の指示があるまで待機するつもりでいた。


 魔王城に踏み入れる実力がある以上、ヒーラー自身のレベルが低いなんてことはなさそうだが……。


「ああああっ!」


「ぐごおおおおお!」


 ヨミルの近くから、男が苦しむ声が聞こえる。

 これがファンタジーの世界だと言ってしまえばそれまでなのだが、いざ耳にするとやっぱり怖い。


「……もうおしまいだ。ボクたちはここで死ぬ運命だったんだ」

「それはどうだが知らないけどな。魔王のヨミルはお前たちに聞きたいことがあってだ」

「聞きたいこと?」

「この魔王城が、ラストダンジョンと呼ばれる理由についてだが……」


「魔法城がラストダンジョンと呼ばれる理由は、ボクにも分からない。ただ、ここへ入るには、世界各地に存在する四天王を倒して四つの証を手に入れる必要があった」


「四天王がいるのか。あとでヨミルに聞いてみよう、ありがとう」


「ボクにお礼なんて言う必要はないよ。……それじゃあね」


 戦意喪失していた赤髮のヒーラーは、自身の胸元を漁り始めていた。

 俺はヨミルの元へと戻ろうかと思ったが、またヨミルの言葉が横切った。


 捕まえて聞き出してみる。

 これは単なる命令だと思ったが、このヒーラーがこれから何かを実行しようとしているのは、はっきりと分かっていた。


 それを軽々と止めることをするのが、いまの俺だ。

 ラストダンジョンに登場する雑魚モンスターとしての、謎のプライドである。


「申し訳ないが、地上にはまだ帰さん」


 俺は槍を構えると、赤髪ヒーラーの胸元を軽く突いた。



「うっ……。げほっ、げほっ」


 赤髪ヒーラーが横たわり、胸元からはひび割れた小さな水晶が地面に転がり込む。


「落ちたもの、なんだろ……」

「そっちも終わりましたか。ヘルライダー大杉君、上出来ですね」


「ヨミルか。剣士とかは、どうしたんん……だ……?」


 俺が振り向くと、黒い植物はきれいさっぱりなくなっており、勇者パーティーの二人の姿は見当たらなかった。


「先に転移魔法で別室へ移しましたよ。こっちもさっさとやってしまいますね」


 ヨミルが魔法陣を展開して、倒れている弓使いと赤髪ヒーラーをワープさせた。


 これで最初の目的は完了、といったところだった。

 ワープせずに残されている、ひび割れた水晶が気になりはするが……。


「流石は勇者パーティーね、一瞬でダンジョンから脱出できるマジックアイテムを持っていたとは」


 ひび割れた水晶を見たヨミルは、大きなため息をつく。


「私が送り込んだ先の小部屋は、ワープ系のマジックアイテム程度では脱走できないけど、今後も勇者パーティーには油断大敵ね。情報を聞き出すのにもひと苦労しそうなのが分かったところだし!」

「ヨミル、ひとつ気になることがあるのだが……」

「ヘルライダー大杉君、なにかな?」

「世界各地に存在する四天王って、なんだろうなって」


「四天王……そんなものいたっけ……? 私が深い眠りにつく前となる、二百五十四年前には存在しなかったはず……」

「ヨミルが知らないことか。今からその四天王を探しに行くのか?」

「そうねぇ……。その四天王を探しに行く前に、さっきの勇者パーティーからもう少しだけ情報を聞き出しておきたくて」

「ヨミル、その……追加情報として伝えておきます。魔法城に入るには、勇者パーティーが言っていた四天王を倒して証を手に入れる必要があるらしいです」


「四天王を倒した証もあるのね。それも気にはなるけど、私は四天王がいる場所を聞きたい」

「俺もついてきて良いか?」


「遠慮せずに、ついてきてくださいね」


 ヨミルは俺の腕を持つと、魔方陣を展開した。


 ワープ先は、さっき勇者パーティーを送り込んだ小部屋だ。

 俺は息を吞み、涙を流していた赤髪ヒーラーの顔を思い浮かべる。


お読みいただき、ありがとうございます。

面白いと思いましたら、感想やブックマークをよろしくお願いします。


愛原ひかなの代表作

「ダンジョンで遊ぼう!! ~VRゲームの世界ですが、冒険者にいきなり襲われるのは嫌なので楽しくダンジョンを作りたいと思います」

小説家になろうでも連載しておりますので、こちらも何卒よろしくお願いします

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