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ラストダンジョンに登場する雑魚モンスター『ヘルライダー』になっていた。魔王のお手伝いをすることになった  作者: 愛原ひかな


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勇者パーティーとの接触


「勇者パーティーとやらはどこにいる?」

「ヘルライダー君は準備万端なのですね。勇者パーティーはこっちてすよ」


 ヨミルが歩き始めると、俺はゆったりと後を付いてくる。

 ワープして接近しないということは、勇者パーティーはそう遠くない位置にいるのかもしれない。


「ヘルライダー大杉君にひとつお約束です。勇者パーティーに接触したら、言葉を慎むようにお願いします」

「どうしてだ?」

「雑魚モンスターだからです。それ以上でもそれ以下でもありません」

「わかった」


 俺が喋るところを勇者パーティーに見られると、いろいろ不味いことでもあるのかと都合よく解釈しておく。


 雑魚モンスターらしく振る舞い、情報を上手く聞き出せればそれで良いか。


「この辺りで止まってください」


 ヨミルに待ったをかけられると、俺は耳を済ませた。

 人が歩く足音が聞こえていた。ひとつ、ふたつ、みっつ、全部で四人か。


 俺がいつでも戦闘に入れるよう準備でもしようと思ったが、さっき全身を動かしたから問題ないか。


「こっちに来るみたいなので、特に変わった仕掛けをしたりしなくても大丈夫そうですね」

「ああ、そうだな」


「私から話しかけてみます。……では、お口チャックで」


 ヨミルは俺の顔をチラッとみると、すぐに振り向いてひと呼吸入れる。


 ここで待ち伏せするのだろう。

 足音がどんどん近づいていき、通路の右手側から四人組のパーティーが姿を現した。


 手前から見えた武器は剣、拳、弓、杖の順番だ。


「なんだ……この魔力の気配は……。皆、気を付けろ」


 いかにも勇者っぽい黄金の鎧を身につけている金髪の少年が、ヨミルを睨み付ける。

 勇者パーティーは、最初から警戒心全開だった。


「……お前は、何者なんだ?」

「これはこれは、勇者パーティー御一行様ですね。この魔王城を探索して頂き誠にありがとうございます」


 ヨミルは挨拶の言葉を口にするも、金髪の少年は睨み続ける。

 他の冒険者も同じように険しい表情をみせていた。


 俺は雑魚モンスターだから、まだ動かなくても良いのか?

 どのみち、ヨミルからの指示を待った方が的確に動けそうではある。


「そう険しい表情をなさらないでくださいね。私はひとつお尋ねしたいことがございまして」

「尋常じゃない魔力の気配からして、お前が魔王だろう。魔王が聞きたいことがあるっていうのが、意味不明すぎる」


 金髪の少年が持っている大きな剣に、白い球体があふれ出してくる。

 この勇者パーティーは、魔王と戦う気満々だった。


「話を聞いてもらえなさそうですね。ここはヘルライダーにお任せします」


 ヨミルが少し下がっていったので、俺が前に出る。


「ちょっと耳を貸してください。狙うなら剣を持った少年の左腕、拳のひとの右目、弓使いの右足にしてください。杖使いはおそらくヒーラーだと思われますが、いったん放置しても大丈夫です」


 勇者パーティーには聞こえない小声で、ヨミルから助言をもらった。



「魔王が引っ込んで雑魚モンスターか……まぁ、どうでもいい。勇者の力を見せてやる!」


 金髪の少年が踏み込んで来ると、俺の目の前にいた。


「くらえっ!」

 奇襲にも見えた剣の攻撃を、槍を払うことで受け流す。


「くっ、だがっ!」

「我が魂の一閃、解き放て」


 光のように飛んできた弓が、俺の左腕に刺さる。

 殆ど痛くないが、身体が少し重くなった気がする。


「この拳をくらいなっ!」


 拳で俺の顔面に殴りに掛かってきた。

 あまり痛くはないが、何度も殴られるとイライラしてきそうだった。


「ボクも全力でサポートするよ」


 神の加護よ、我らを守りたまえ。

 杖使いが魔法の詠唱をして、勇者パーティー全員に結界のようなものが纏わりつく。


 一対四の戦闘。単純に数で不利になっている上に、相手は勇者パーティーだ。


 雑魚モンスターの俺には荷が重すぎる気がする。

 ここから打破する方法なんて、なかなか出来ないと思われる。


 倒されるのが雑魚モンスターだ。だったら、俺に期待をしていたヨミルの声はいったい何だったのか。


 ……そういえば、ヒントがあった。戦闘前にヨミルが囁いた言葉だ。


 そもそも人間でも完璧なモンスターでもない俺が、雑魚モンスターとして倒されるというシナリオなんてあってはならないことだ。


 そう思い込みながら、俺の武器となる槍をいったん消し去る。

 空いた右手で左腕に刺さっている矢を引っこ抜いて、そのまま矢の先端を見つめた。


「ごめんヨミル。俺には俺らしい戦い方というのもあってだな」

「ほうほう、口約束を早々と壊してまで私にみせたいものがあるというのね」


「こう見えても、俺はガチゲーマーだったからっ!」


 俺は矢を投げ返した。

 狙いは弓使いの右足だ。


「もももっ、モンスターが喋って……えっ……」


 反応が遅れたのか、矢が弓使いに命中する。


「ぐっ、あああっ……!」


 弓使いがその場で倒れ込むと、もだえ苦しむ。

 あの矢には何かしらの弱体化効果が付与されていそうだ。


「ちょっと大丈夫? ボクがすぐに行くから」

 杖使いが倒れた仲間の元へ駆け寄ろうとするが、それはさせない。


「ちょ、ちょっとまて……!」


 金髪の少年が、俺の前に立ちふさがる。


「なんだ、邪魔だ」

「やっぱり……雑魚モンスターが、喋ってるるるる?」

「どうしてそんなに驚くんだ?」

「ラストダンジョンに登場する雑魚モンスターが喋るって情報、聞いたことないし!」


「うん? そういうものなのか……」


 キンキンキン、キュイン――。


 金髪の少年との交戦になったので、ヨミルに言われた通り、左腕を狙うとする。

 その前に拳使いが横入りしてきそうだったので、馬に乗っている状態を解除した。


「あっ、しまっ……!」

「ぐほーっ!」


 俺の身長が低くなったことで、金髪の少年の顔面に拳がぶち当たってしまった。


「おい、誰に向かって殴ってるんだ!」


「そっちが避けねーからだろっ!」


 勇者パーティーなのに、すぐに口喧嘩が始まってしまった。

 この喧嘩を止めるのは少し勿体ないと思いながら、ふたりまとめて処理をしようとする。


「ここからの、あの男たちの処理は私に任せてください。ヘルライダー大杉君の手を汚すのは、ちょっと愚策な状況だと思いまして」


 俺の後方から歩いてきたヨミルは顔が緩み、とても優雅な気分でいた。


お読みいただき、ありがとうございます。

面白いと思いましたら、感想やブックマークをよろしくお願いします。


愛原ひかなの代表作

「ダンジョンで遊ぼう!! ~VRゲームの世界ですが、冒険者にいきなり襲われるのは嫌なので楽しくダンジョンを作りたいと思います」

小説家になろうでも連載しておりますので、こちらも何卒よろしくお願いします

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