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ラストダンジョンに登場する雑魚モンスター『ヘルライダー』になっていた。魔王のお手伝いをすることになった  作者: 愛原ひかな
第1章

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教導が仕組んでいた脅威


「教導は、モンスターの解放を望んでいる組織です……ので、罪人が多いのです……」


「深くなればなるほど、暗い内容に繋がる話題だったか。なんかごめん」


「大杉さんは、謝る必要ないです……」


 教導のことを想像するだけでも恐怖心がフラッシュバックする。

 その感情を心の中に抑え込むナギは、少しばかり歩きづらそうになっていた。


「俺がエスコートするから」


 大杉は手を差し出すと、ナギは必死に大杉の掴んだ。


 そのままの体勢で三十六階層まで行き、ヨミルが見つけた黄色いクリスタルに手を当てた。

 ワープすると、地上に戻る。

 既に日が暮れており、ダンジョンの外の様子が暗くてよくわからなかった。


「動くな……動いたら、殺す……!」


 大杉の首元に、刀を当てられた。

 どこの誰だか知らない連中がまた現れて、改めてこの世界は危険なところであると意識させられる。


「フードが二人に、少女がひとつね」

「ヨミルさん……。この方たちは……レジスタンスです……」


「ふむふむ、なるほどね。目的は魔王を殺すことかしら?」


 ヨミルはクリスタルに触れながら、膨大な魔力を流し込む。


 狙いは、ワープだ。

 地下三十六階層に逆戻りした大杉は、静かに息を吞む。


「ここは……!」


 黒い花柄の着物を着た少女が戸惑う。

 続いて、フードの男二人が困惑した声を出す。


「ダンジョンの奥地か。相当深そうだ」

「マズイ、やべーところだぞ……!」


「これって……もしや……」


 大杉はヨミルに視線を向けた。

 ヨミルは舌を少し出して、右手にピースをつくる。


 まさか、レジスタンス三人を道連れにしたのか。

 というか、状態が有利なのか不利なのかよく分からない。


「まぁ、心配いらない。魔王軍をここで倒せば、レジスタンスの手柄で……!」


 黒い花柄の着物を着た少女が、刀を動かそうとした瞬間だった。


「ぬわっ?」


 少女は転倒した。

 刀が地面に落ちた。


 何が起きたかと思うと、少女の右足を掴むような形で手があった。

 体もあるか。男の人だ。


 ただ、男はかなり出血が酷い状況だった。


「ロコだろ。ちょっと、待ってくれ……げふっ!」

「あら、ゼルト。生きていたの?」


「教導に捕まっていた」


「そう……」


 ロコは、地面に落ちた刀を拾い上げると、ゼルトの腕を容赦なく切った。


「ひぃっ……」


 ナギは掠れた声を出した。

 それを耳にした大杉たちは、ロコという少女の行動がいかに人間離れていることを理解した。


「勇者パーティーなら、このくらいで怯えたら駄目よ」


 少女の刀が滑らかに動く。


 今度はゼルトの体に突き刺さる。

 すると、ゼルトの体は砂のように消え去ってしまった。


「レジスタンスが味方を、殺した……?」


「雑魚モンスターよ、それは違う。ゼルトはもう人ではなくなっていた」


 なにもない地面を見つめるロコは、状況を冷静に分析していた。


 たしかにゼルトという男は人の体を持っていた。

 いや、持っていた……?


 もし人の姿であれば、殺された瞬間に砂のように消えるはずがない。

 大量の赤い液体が散乱するはずだ。


「教導は、人をモンスターに変える何かしらの力を隠し持っている。たしかラストダンジョンの魔王もそうだったか……」


「俺は教導のこと何も知らないが……?」


「勇者パーティーがいる貴様らは、魔王軍。これはもう、ややこしい」


「私もそう思います」


 魔王であるヨミルが口を開いて、ロコの機嫌を伺った。


「レジスタンスは、魔王軍とやらに何を求めているのかしら?」


「それは、お兄様に聞いてみても良いけれど……」


 ロコは少し考える。

 そして、答える。


「ゼルトの死をもって、拙者は確信した。ギルド、レジスタンス、魔王軍、教導。この四つの組織は……とある争いの火種の中にいる」


「つまり戦争ということね。理解しました」


 ヨミルは黄色いクリスタルに背を向けてから、手を伸ばす。

 銀色の門が現れて、扉が少しずつ開いていく。


「私たちは魔王城に引き上げます」


「そう……」


 レジスタンスの者は、その場から動かない。

 銀色の門から魔王城に乗り込もうとしたところで、ヨミルの手によって拒まれることは目に見えていた。


「大杉君、ナギちゃんだけ連れてきて」


「わかった」


「あの、大杉さん……。ボクの手を離さないで……ください……」


「わかってる」


 ナギの腕を掴んでいた大杉は、ヨミルが作り出した門の先へと入り込む。


 その後に、ヨミルが門の先に足を踏み入れて、門が閉ざされる。


 レジスタンス側からすると、あまりよろしくない状況になってしまったと思われる。

 地上に戻れば探索しにやって来たギルドと鉢合わせ、そのまま進めば、教導と接触する危険性がある。


 無事に魔王城へ帰ることができた大杉は、運を味方につけていたと実感する。



 それにしても、すごい体験をした。


 ダンジョンの奥地から一瞬で魔王城に移動するのって、ファンタジーの強敵キャラみたいな立ち位置でとてもワクワクした。


お読みいただき、ありがとうございます。

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