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ラストダンジョンに登場する雑魚モンスター『ヘルライダー』になっていた。魔王のお手伝いをすることになった  作者: 愛原ひかな


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俺、ギルド本部に向かう


「仮カードは、あとどのくらいて完成するんだ? こっちにもやる事があってな……」


 俺はハネスを煽るように質問した。


「もう少しだけお待ちください。まもなくお二人方の仮カードを渡すことができると思います」

「もうすぐ……本当か……?」

「本当ですと」


 ハネスを観察していると何となく分かったが、ハネスはテーブルの下に何度も手を突っ込んでいた。

 俺からは何も見えないが、店の注文を捌きながら手続きの作業をこなしていそうだった。


「お待たせしました、こちらが仮カードとなります」


 汗をかくハネスは、黒いカードをふたつ渡してきた。

 ひとつは、ヨミルのもの。もう一つは俺のだ。


「それを提示すれば、不要な警戒をされずに国境を越えれますので。あとは仮カードの収納場所ですが、体内にある魂と一体化してくれる性質を持っておりますので、何も心配しなくても大丈夫です」

「そうか。収納についてはよくわからなかったけど、ありがとう」


 感謝の気持ちを伝えた俺は、すぐ側にいるヨミルに顔を近づけて耳元で囁く。


「酒臭いのは慣れなくてな。ギルド支部での要件はこれで終わりにして大丈夫か?」

「そうね、ギルド本部へと向かいましょう」


 ヨミルは立ち上がると、金貨一枚をテーブルの上に置いた。


「ここは用済みっと。ナギさん、今からギルド本部へ連れて行ってね」


「う、うん。ギルド本部は少し遠いから、迷子にならないようにしないとだけど……」

「人混みとか避けたいけど、仕方ないね。ヘルライダー大杉君は走れますか?」


「俺か……。二人程度なら、問題なく乗せて走れるとは思うけど」

「それならお願いね。走りながら道案内してほしいから、ナギさんが前に座ると良い感じかも」


 ヨミルは、酒場にある大きなテーブルから離れていく。

 俺も会話に交じって、この場を立ち去ろうとした。


「あ、あの……!」


 ハネスは呼び止めか?

 背中を見せていたヨミルは振り返ると、首を少し傾げる。


「ギルド支部長さん、どうしたの?」

「仮カードのお代は要らないですよ。基本的には無償提供でして」

「魔王からのお気持ちですよ。それとも交渉カードに見えたのかしらね」


「それは……」

「行くわよ」


 戸惑いの顔を見たヨミルは特に気にせず、酒場から出ていった。



「やっぱり、外は気持ちが良いな」


 酒臭さを一切感じない新鮮な空気を吸い込んだ俺は、背筋を伸ばして瞬きをする。


 次の目的地は、『片翼の満月』のギルド本部。

 馬に騎乗している形体になった俺は、前方にナギ、後方にヨミルを乗せる。


 二人とも、思ったより軽い。

 これなら一人で走れる際とあまり変わりない速度で走れそうだ。


「ナギ、ひとつ聞いて良いか?」

「ボクにですか? 答えれる範囲内であればですが……」


「片翼の満月のギルド本部って、何があるんだ?」


 素朴な質問をした俺は、好奇心に満ちている。

 ギルド支部が酒場だったので、本部には何があるのか気になって仕方なかった。


「ギルド本部は至って普通のクエストカウンターです。依頼を引き受けてこなす場所。あとは冒険者の育成環境もあることくらいでしょうか」


「依頼をこなして、冒険者を育てる……」


 ギルドは冒険者を育てる場でもあるか。

 俺の頭にある『ギルド』のイメージと、逸脱はしていなさそうだが……。


「ギルドのやっていること、今も昔も変わらないのね。てっきりさっきの酒場みたいに」

「ヨミルさん、あそこが特殊なだけですよ。この世の有名なギルドでも、支部なんてところを用意できる財力は中々ありませんので」

「あー、それでギルド支部長さんが過剰な反応を見せたのね」


「ヨミルさんの行動は、たぶん違うと思いますけど……」

(ごめんなさい、ハネスさん……)


 ナギは独り言のように囁いたつもりなのだろう。

 ただ、その小声は俺にはハッキリと聞こえていた。


 恐らくヨミルにも聞こえていそうだったけど、ヨミル自身は聞こえていないフリをする。



「とりあえずギルド本部に行くとして、俺たちは何をするんだ?」

「最優先すべきことは、四天王の居場所を調べることかな。ということで情報開示をお願いね、ナギちゃん!」


「う、うん……。ボクって、このまま魔王の傍に居ててもいいのかな……」


 不安を募らせるナギは、ギルド本部の場所を魔法で示した。


 光魔法のひとつに、地図を空中に生み出すものがあるみたいで、それを使って情報共有してきたのだ。


お読みいただき、ありがとうございます。

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