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ラストダンジョンに登場する雑魚モンスター『ヘルライダー』になっていた。魔王のお手伝いをすることになった  作者: 愛原ひかな


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俺、異世界に転移する


 前方が軽くへこんでいる大きなトラックが一台、横断歩道の上で停車している。

 そのトラックのタイヤには、薄い血痕が染みついていた。


 風通りが良いせいか、血の匂いは感じなかった。


 今現在、必要な処置は施している最中だと思いたいのだが……。


 周囲を見渡して見えてくるのは、救急隊員、警察官、一瞬だけ興味を持った通行人の背中。

 緊急で駆けつけた車両が複数台、トラックとは少し離れた位置の路肩に停車しているのも見えている。


 あとは、トラックを運転していた男である。


「どうして……どうして……。俺の家族が……」


 都会の交差点で、呆然と立っている俺の顔から涙がこぼれていた。


 漫画、アニメ、ゲーム。好きな作品のひとつや二つを語っただけなのに。


 家族がトラックに轢かれたのだ。

 俺以外、救急搬送されることになるくらいの重症だ。


「昨日の呟き、なんか憎かったんだよ。君のお連れさんは異世界転生しちゃったかもね~」


 人身事故を引き起こしたトラックの運転手の男が俺の顔を見て、言い放ってきた言葉が心張り裂けるくらいに重くのしかかった。


 人の心がないのはお前の方だろ。面識なし、名前も知らないあの男にそう言ってやりたかったが、あの男がパトカーに乗せられていく光景をみていると何ひとつ言い返すことが出来なかった。


 俺の中に残されたのは、理不尽な人生に対する虚無感と。

 あの男に対する、深い憎しみだけだった。



『――憎き魂の叫び声がする個体は大好物でして。どうか、我々の力になってくれませんか?』


 俺の耳元で、少女の声が囁く。


 幻聴が聞こえてきたのか、騒然としている周囲を見渡した。

 それっぽい人物は居ないので、俺はため息を漏らす。


「誰かは知らないが、犯罪にまで手を加担する気はない……」

『その心配はございませんよ。ただちょっと、魔族召喚の儀に加担して頂くだけですね』


「魔族召喚の儀……?」


 いきなり異世界ファンタジーにありそうな単語が耳に入ってくると、俺は息を吞み、瞬きをした。

 一時的だと思うが、俺の後ろめたい気持ちがほんの少しだけ和らいだ気がする。


「もしそれで俺が加担すると言ったら、どうなる……?」


『こちらの世界に興味がおありでしたら、是非とも来て頂きたいですね』


「こちらの世界、か……。もしも……だ……家族が交通事故に遭って心苦しい俺を、この残酷な現実から救い出せる手段があるとしたら……なんてな」


『現実から逃げる願望があって、異世界に興味ありと。それなら詳しい説明なんて不要そうですね、魔族召喚の儀を開始します』


「なっ……?」

 俺の足元には、円形の光が出現していた。


 最初に放たれた青い光はなんの問題もなかったが、次に放たれた白い光が、俺を視界をすぐさま奪い、一瞬にしてなにもかもが見えなくなった。


 真っ白な世界。

 俺、もしかして死んだのか?



「目覚めよ、ヘルライダー。これで見えるようになったはずですね……」


 ヘルライダー?

 俺の名前は、大杉(おおすぎ)拓実(たくみ)なんだけど。


 ただ、言われた通り、俺の視界が戻ってくる。


「俺は生きているのか?」

「そ、そうですね……。少々、説明が厄介なのですが……ちゃんと生きてますよ!」


 俺のおでこに対して子どものような指先が向けられていたが、すぐに離れていった。

 何かの魔法でも使ったのか。それで視界が戻ったというのなら安心して良いかもしれない。


 それはそうと……あれは……。


 俺が瞬きをすると、青い髪を揺らして、白っぽいセーラー服を着た少女の姿がはっきりと目に映る。


 幻聴の原因もすぐにわかった。魔族召喚の儀というものを実行したのが、彼女で間違いないのだろう。


「では、はじめまして。私はヨミル・クレネーラと言います。この世界の魔王です」


 丁寧な言葉が飛んできたので、俺はその場でお辞儀をし、紳士のたしなみを見せびらかす。


「大杉拓実だ。こちらこそよろしくお願いします」

「オオスギ君ね……。この世界に転移したようなものなんだけど、全く驚かないのね」

「ああ、ファンタジーのような世界には慣れている身でな」

「ふむふむ……」 


 ヨミルは関心を寄せているが、実際には漫画やアニメ、ゲームを通じて、ファンタジー世界に既視感を覚えていたからに過ぎない。


 周囲を見渡して俺の目に映るのは、ひろびろとした空間、豪華なシャンデリア、美しい青色のカーペット。


 現在地は魔王城で間違いなさそうなのだが、異世界に転移していきなりこんなところへ足を踏み入れることになってしまい、正直にビビっていた。


「それで、その……大杉君は、手とかちゃんと動かせますか?」

「ああ、ちゃんと動くが……うん?」


 俺の手が、紫色に帯びていた。

 これは……。

 嫌な予感がして足元を見てみると、両足も紫色だった。


 この感じだと、恐らく全身が紫一色になっていると思われる。



「もう、人間ではないということか」


 俺の肉体は、一体どうなってしまったのか。


男主人公の新作ファンタジーです!

お読みいただき、ありがとうございます。

面白いと思いましたら、感想やブックマークをよろしくお願いします。


愛原ひかなの代表作

「ダンジョンで遊ぼう!! ~VRゲームの世界ですが、冒険者にいきなり襲われるのは嫌なので楽しくダンジョンを作りたいと思います」

小説家になろうでも連載しておりますので、こちらも何卒よろしくお願いします

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