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ファウスト〜神殺しの王の幻視〜ギルガメッシュⅡ  作者: ヨハン•G•ファウスト


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3/10

第三幕:敵をしれ

やあ、君。難しい事を解決するためには、何が必要かわかるかい?

まず問題に取り組む前に、分からないことを書いていくんだ。


第二幕では、フンババを仕留めるための重要性を、ギルガメッシュはエンキドゥに説明したんだ。

レバノン杉の木は、国に必要だった。

その為に障害となる森の門番フンババが邪魔だった。


そして、ギルガメッシュとエンキドゥは、フンババを倒すための計画を練るんだ。


ギルガメッシュは地面に、

フンババと文字を書き込んだ。

「エンキドゥ。森の神フンババを語れ。ヤツは、どういう存在だ?」

ギルガメッシュの問いに、エンキドゥは言葉を選んだ。

彼の顔は青白くなり、生きているか死んでいるのか、判断ができなくなった。

やがて、彼は口を開いた。

内容は、こうだ。

「フンババは、軍神エンリルに任命された森の守護者だ。森は広大だが、レバノン杉の密集地は限られている。

勝手に切って持っていく者がいれば、速やかな死が訪れる。だから人は、この森を避ける。

どんなに木が必要でも、だ。」

エンキドゥは目をつぶった。


「ボクがケモノであった頃、遠くの森へと四つ足で旅した。長い旅だった。そこにたどり着いた瞬間、胸からわきあがる想いを、どう言葉で表そう?」

エンキドゥは、形にするのを躊躇った。

「それは、確かに恐怖だ。進もうとすれば、鼻腔が縮まり、身がすくむ。

闇には慣れたボクですら、先に行くのが不安だった。

それでも、勇気と好奇心に誘われて前に行く。」

彼はギルガメッシュの為に語る。なるべく、彼が諦めてくれるように。

言葉を選び続けた。


「風の音が繰り返し、

耳と頬を撫でる。

ヤツは眠り、イビキをかいてた。

それは、獅子のようで、獅子ではない。だが、タテガミと顔は獅子だ。

血のように赤く、全身は毛むくじゃらだ。森のケモノとは違うのは、彼がボクらと同じ身体つきをしていた。

ーー肩幅はひろく、屈強で頑健だ。

身長もボクらの倍ぐらいはある。

そいつが身を縮こませて、眠ってる。

エンキドゥは一旦話をするのを休んだ。

「ーー正直、生きた心地がしなかった。

ああ、そいつの腕は丸太のように太い。手には、獅子が持つような牙が全ての指に揃ってた。

ボクは近くの木に寄りかかる。

だけど、ヤツの腕の中に思えた。

後退りしたよ。もう耐えられなかった。あとは、君と同じことしか分からない。」

ギルガメッシュはうなづく。

「ヤツに知性は?話すことはできたのか?」

「ギルガメッシュ。ボクの勇気は打ち砕かれたんだ。それ以上は、わからない。」


ギルガメッシュは、エンキドゥの話を繰り返し自分に話しているようだった。

彼の額には脂汗が浮いていた。

彼はギルガメッシュではなく、エンキドゥになっていた。

彼は四つ足で、

エンキドゥと同じ道を歩いてた。


「フンババは眠る。生理現象に逆らえない。つまり、生物としてのヤツは殺せる」

エンキドゥの身体は一瞬、痙攣した。

そんな事を話さなきゃ良かったと、彼は後悔したんだ。

ギルガメッシュは、

冷静に冷酷にフンババの分析を始める。

彼は時折、未来の栄光を、賞賛を見えているのか、ニヤニヤと笑う。


(こうして、第三幕は眠りしフンババで幕を閉じる。)

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