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負けヒロイン達とぼっちの青春物語  作者: 総長ヒューガ
第一章 2年生 一学期
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8話 幸あるヒロイン

彩奈のデートを海音と見守っていると、海音からとんでもないことを言われた、それは


「うんうん、良い雰囲気じゃんか」


「魈斗君のアドバイスって彩奈ちゃんを元気づけてるよね?」


「だな………ってん?彩奈”ちゃん”?」


「あれ?知らないの?彩奈ちゃんは女の子だよ?」


「・・・・」


そう、何も知らなかった


今までずっと、知らなかった


そし魈斗の反応は


「え?」


頭が真っ白でこれしか言葉が出なかった、彩奈は何も教えてくれなかった。いや、気付いていなかっただけなのかもしれない。彩奈は好きな人にも話していない

彩奈は一体何のつもりなんだろうか、その事に関しては全く理解出来ない、今までずっと男のふりをしていたのか、魈斗はずっと気付いていなかった。気付けなかった、出会った時からずっと気付いてやれなかった


彩奈が男装している理由が未だに分からない、何のために、男装しているのか、女の格好が嫌いで男装しているだけなのか


「好きな人にバラせば良かったのに、彩奈はなんで好きな人の前でバラさないんだ?」


「ん~、彩奈ちゃんは女の子の格好が好きじゃないとか?」


「んだよ、勿体ないじゃんか。周りに美少年って言われてそんなに嬉しいのか、よくわからない奴だな」


「彩奈ちゃんは彩奈ちゃんなりに事情があると思う」


「ま、多分事情は聞けないんだろうけど」


ずっと見守っていると、辺りは暗くなってきている。見守りをしているだけでこんなにも早く時間が経つとは、やはり、一分一秒を大切にしないと、こんなにも時間が早く進む

だが見守り役は決して、時間の無駄使いではない。良い時間の使い方である、依頼としてこなすことは決して無駄にはならない。これから幸せになるであろう彩奈を見守るだけで良い時間の使い方となる、それはいつまでも変わりない


幸せになってくれれぞ、それでいい


彩奈は告白しなかった


「まだ勇気が出ないか、ま、焦る必要なしって言ったのは俺か」


「卒業までまだチャンスあるもんね」


「ああ」


そのまま、解散し、家へと帰って行った。今回は何事も無く終わった、ただただデートしただけの数少ない時間だった。まだ焦る必要は無いと魈斗が言っていた、それをちゃんと理解し、告白のチャンスを、彩奈は狙っている

告白なんて焦る必要はない、焦るなら3年生後半の頃でいい、それまではちゃんと勇気というものを身に付けて、告白するまでが彩奈の仕事である。中途半端に終わってしまってはきっと後悔するし、幸せになんてなれない


そして翌日の昼休み


今日も彩奈は好きな️人と食べるため、魈斗は一人。魈斗は昨日の場所へ向かった。そこは体育館倉庫の石段


「ん、あんたも来たんだ。ここの石段」


「いや………俺がぼっちになりたかった場所なんだが………」


「なに、ダメなん?」


「はぁ………好きにしろよ、ぼっちになりたかったのに………」


「ん?なんか言った?」


「んや、なんでも」


せっかくのぼっち飯出来る場所に絵莉が居たため、ぼっち飯じゃなく、タッグ飯になってしまった。一人で食べたかったが、仕方なく、2人で食べることにした魈斗

今日も今日とて、平和であるが、魈斗にとって平和じゃなくなった。たった今、平和じゃなくなったのだ。魈斗の昼ご飯は弁当である、たまに作ってくれるお母さんが、今日作ってくれたとのこと。この前はおせちだったが、今回はどんなご飯があるのか


弁当を開けた


「うお、これって………俺の顔じゃねぇかぁ!!あんの、ムスコン!許すまじ!」


「何、一人でがーがー言ってる訳?うるさいんだけど」


「これを見ろ!これを!俺の顔だぞ!」


「ぷっ、アンタの顔、そっくり!上手いんだ、あんたの顔を作るの。これはムスコンって言っちゃうよ」


「だろ!?全く、まぁ、嬉しいっちゃ嬉しいが………」


理事長side


今日も今日とて、料理本を読んでいる理事長こと、冴橋魈斗のお母さん、冴橋夜宵であった


「ふふっ、今回は魈斗の顔を弁当にしちゃった。怒られないかしら?良いわよね、うふふっ」


と上機嫌な母親であった


魈斗side


2人でご飯を食べている、魈斗の顔が出来ている弁当を食べている。絵莉は食堂で売っていた焼きそばを食べていた


だがこちらをチラチラと見ていた


「どうした?さっきからこっちの方をチラチラと」


「は、はあ?み、見てないんだけど」


「明らかにバレたみたいな感じで顔、逸らしてんじゃねぇか………」


「そ、その………その、弁当美味しそうって思っただけ!!」


「なら、最初からそう言えよ………ほれ」


おかずを焼きそばの上にのせた


すると絵莉は目を輝かやかせていた、本当に食べたかったのだろう。だがこういう弁当を見たことがないのだろうか、明らかに見たことがないって顔に書いてあるくらい目を輝かやかせているが、私情は聞かないでおこうと思い、それは聞かないでおいた

最初は流石に出来すぎて引いている魈斗であったが、今はとなっては普通に食べている。せっかく作ってくれた弁当を粗末にする訳にはいかないため、ちゃんと食べる。残したりしたら、お母さんは悲しむかもしれないからな


絵莉は焼きそばを食べていると、口に入れすぎたのか、苦しそうにしている。流石に詰めすぎである


水を渡した


水を飲んで流し込んだ


「はは………大丈夫かよ、お前」


と言いながら、優しく背中を叩いた


「コホッコホッ………ありがとうっ………」


「どういたしまして、愛羅ってさ、もしかしてこういう弁当見たことない?」


「あ、ある訳ないでしょ、悪い?」


「いや、悪くは無いんだが、びっくりしてな。また食べるか?」


「………た、食べ………たぃ………」


「おう、んじゃ、また持ってくるわ」


ツンデレであった絵莉は素直にこの弁当を食べたいと言い出した、あんな目を輝かやかせながら食べてたら、渡したくなってしまう。こんな料理を見るのは多分無いのだろう、だから初めて見たとか言っていた。そんな彼女には作ってあげるしかない

出来ることなら、なんでもやってみせよう。お母さんに言ったら、作ってくれるだろうか。いや、ムスコンである、お母さんなら多分作ってくれるだろう。それと多分ニヤニヤしながら、いじってくるだろう


次に話題が出たのは


「あ、あんたさ」


「ん?」


「明日朝から、家に来て!いい!?てか、来い!」


「おぉ………そんな強く言わなくても行くってば、でもどうした?なんか相談か?」


「日曜日に向けてで、デートプラン!考えるから来いっての………あ、ご、ごめん………素直に言えなくて………」


「急に変わりすぎだろ………まぁ、いいよ。明日暇だし、好きな人への再アタック出来るようになったのなら、手伝うよ」


「あ、ありがとう…………じゃ、じゃあ、明日。連絡先これだから!」


「お、おう」


連絡先だけパッと渡され、絵莉は去って行った。中々慌ただしい人だなぁと感じた、最高のデートプランを考えるために魈斗は明日、絵莉の家へと行くことになった

自分から手伝うと言ったからにはちゃんと役目は果たすとしよう、ぼっちに出来ないことなんて無いのだから。女の子のデートプランはちゃんと考えてあげないといけない、それがぼっちには一番難しい、やりずらい役目


そして授業は終わり、理事長室へ向かった


理事長


ガチャッ


「あら、魈斗。いらっしゃい」


「あーーーっと…………母さん」


「ん?どうしたのかしら?」


「明日は2個弁当作ってくれない?美味しいって言ってくれた友達がいるんだ」


「え~女の子~?ねーねー」


肘で突きながら、ニヤニヤとしながら、言ってきた。やっぱりこうなった、友達という話題自体話したことがなかったから、多分珍しいのだろう。ちゃんと説明した

説明したら、直ぐに理解してくれた。流石に察するのが早すぎると思ったのだが、お母さんはムスコンなため、直ぐに察する理由が良くわかる


お礼とか、そういうのじゃなく、ただなんか理由がある気がしたからと魈斗はお母さんに頼んだ


「んじゃ、あ、弁当、美味しかったよ。またね」


扉を閉めた


「んーー!息子かわいいぃぃ!!」


とムスコンな母親であった

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