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負けヒロイン達とぼっちの青春物語  作者: 総長ヒューガ
第一章 2年生 一学期
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5話 忘れたいこと、残る辛いこと

暗い顔をしてしまった、魈斗は早退した。暗い顔は相手に見せない方が、相手は幸せになる。青春は幸せでいい、知り合いも、友達も、幼なじみも、先生も、幸せでいい


過去のことなんて聞くな


聞かないでくれ


魈斗はいつの間にか眠っていた


~過去~


あれは海音と出会う前、保育園の頃だろうか。一番仲良かった子が居た、いや、仲良くしてくれた子が居た。その子は優しくて、いつも遊んでくれて、話しかけてくれて、お絵描きもずっとしてた


最初に出会った時は、俺が一人ぼっちで遊んでいる時だった


「ねーねー、いっしょにあそぼ~」


「ぼく?いっしょにあそんでもつまらないよ?」


「おもしろいよ!わたし、魈斗くんとあそびたい!」


「うん!あそぼう!えっと………なまえは?」


「未恋っていうの!」


「未恋………さん………」


と言った瞬間、未恋はずっこけた。この子は中々の芸人センスがあるなとこの時思った魈斗、魈斗はこの時からずっと名前はさん付け、話しかけられないコミュ障だった

お父さんやお母さんも学生の頃はコミュ障と話していたが、多分お父さんとお母さんの遺伝だろう。中々話しかけられず、魈斗は一人ぼっちで遊んでいた。その時に出会ったのが、未恋、九波未恋であった


「みれんでいいよ!あそぼ!魈斗くん!」


「うん!あそぼ!」


これが彼女との出会いだった


それからずっと遊び、いつの間にか友達へと昇格していた。それが嬉しかった、唯一友達で居てくれる、本当の友達。嬉しかったんだ、嬉しかったんだよ、友達というのが


嬉しかったんだ、でもある日・・・


ボールで遊んでた、未恋と魈斗は


「それーーっ!」


「たかっ!たかいよ、未恋ちゃん!」


なんとかボールを取り、次は魈斗が蹴った


だがそのボールは運悪く、道路に飛び出てしまった。ボールが道路に行き、それを追いかける未恋


そして横から来るトラック


魈斗は大声で呼んだ


「未恋!!」


ここで初めて、呼び捨てで呼んだ


魈斗は未恋を助けるため、走る。魈斗には走る体力もない、助ける力もない


未恋はトラックに轢かれた


~過去回想終了~


「はっ!はぁ………夢は俺に、なんてもん見せんだよ………」


夢を見ていた魈斗はバッと起き上がった


「忘れなきゃ、忘れなきゃダメなんだ………薬、薬飲まなきゃ……」


一部の記憶を消すためだけに作られた薬、あの事件の後、魈斗はおかしくなり、叫んだり、壁に頭をぶつけたり、ずっと泣いていたり、夜中は暴れたりして、病院に連れてかれ、先生に特別に作ってもらった薬である

この薬を飲むと、一部だけの記憶を消すことが出来る。だが効くのは経った一年だけだ、一年後にはまた思い出しておかしくなってしまう。それだけ酷くなっている、だがら魈斗は幸せになって欲しいと願っている


(俺以外はみんな、幸せでいいんだ。俺は不幸のままでいい)


薬を飲んだ


記憶が消される


「うし、顔洗って学校行くとするかね」


立ち上がると


「うっと、なんだ?」


一瞬ふらっとしたが気にせず


顔を洗い、学校へ向かった


いつも通り授業をしていたのだが、今日は妙におかしいと感じていた。ずっと空間が歪んでいた


(なんだぁ………?ずっとみんなが揺れて………)


授業終わりの昼休み


いつも通りグッタリとしようとするのだが、これもまた妙におかしい、上手くグッタリと出来ない


「魈斗?大丈夫?ずっとボーーっとしてるけど」


(なんだぁ………?彩奈が歪んでて、声もおかしいなぁ………)


「魈斗?おーーい、魈斗~?」


「どうしたの?魈斗君、昨日より凄いグッタリしてるね」


「弥乃さん、分からないよ、ずっとボーーーっとしてる」


ずっとボーーーっとしていて、何も話を聞いていない魈斗は彩奈と海音に心配される。あの夢を見てから、薬を飲んでから、だいぶ様子が変な魈斗であった

そして教室に梨美がやってきた、梨美もこちらにやってくる。そして何も話を聞かず、ずっとボーーーっとしている魈斗はずっと、海音達を見ている。海音達は歪んでいる、頭がずっとフラフラする、朝からずっとフラフラしている


そして魈斗はいきなり立ち上がる


「あ、復活した?」


「先輩?魈斗せーんぱーーい」


そのまま、梨美の方へ倒れる。


「せ、先輩!?」


おでこを触る海音


「凄い熱、保険室に連れて行くよ」


「うん、魈斗、顔真っ赤」


魈斗の視界は暗くなって行って意識を失った、朝から様子はおかしかった、疲れ、とかでは無い、精神、辛さ、寂しさ、後悔、これがごちゃ混ぜになった

あの夢を見てから魈斗は頭がおかしくなりそうだった、忘れれば終わる、そう思ってた、だが現実は甘くない、忘れたい記憶は忘れられない、だから薬を飲んだ、だから飲んで忘れた


でも一つ忘れられないことがあった、ある子の名前


未恋


それだけ、唯一忘れていない


そして目を覚ます


「あ、魈斗先輩!起きました、起きましたよ!」


「良かったぁ………急に倒れるからびっくりしたよ」


「たお………れる………?」


「魈斗は真名城さんの方に倒れたんだよ、今日のお昼休み」


「すまん………な………迷惑かけ………た」


「いえいえ!迷惑なんてとんでもないです!迷惑かけてるのは寧ろ私の方ですから!今日は魈斗先輩のお助けになります!」


優しい後輩であった、恵まれているなと思った。お返しなんてしなくて良かったのに、と思っていたが、これは優しさだろう。今まで頑張ったかいがあったのかもしれない、ここまでずっと頑張ったから、幸が少しある

海音は心配そうに覗いていた、急に倒れるなんて初めてであった。それくらい、精神が限界値に達していたのだろう。たった1つの記憶、未恋という名前にずっと苦しめられていた、分からないのにずっと苦しめられていた


今だって苦しんでいる


この先が怖い、幸と不幸、怖い


手を握ってくれる海音


「大丈夫だよ、魈斗君。今は私達が居るから大丈夫」


「私達、魈斗先輩に助けられてばかりですから、今度は私達が助ける番です、魈斗先輩に何があって苦しんでいるのは分かりません、でもこうやって寄り添うことは出来ますから」


「僕も居るから大丈夫、安心して寝ていいよ」


「ありがとう………」


親が向かいに来るまで、手を握りながら魈斗は眠った。目の前に3人が居るって思うと安心して眠れる、助けらればっかだった海音、梨美、彩奈は魈斗の手を握って安心させていた

そのお陰か、苦しまず、リラックスして寝ることが出来た。魈斗はあの夢を見なかった、海音と梨美と彩奈のお陰かもしれない、魈斗がリラックスして寝れたのはこれが初めてであった。夜、ずっと苦しめられていた、ずっと苦しんでいた。


そんな魈斗は安心して寝ていた


海音side


魈斗が眠ってから一時間が経った


「魈斗先輩がこんなに苦しんでいた理由、海音先輩は知らないんですか?」


「私は何も知らないよ、何も聞かされてない。小学校からの幼馴染なんだけどね、魈斗が暗い顔してるの見た事ない」


「もしかしたら、小学校じゃなくて、保育園や幼稚園の頃かもね」


「そんな前から…………」


すると会話している声がする、魈斗のお母さんが来たのだろうか。お母さんは仕事のため、来れる時間は遅い、帰る時間も遅い、帰る時間が遅いお母さんは中々顔を合わせられない、帰る時間は子供達が寝ている時間だからだ

一緒に飯を食っているのは姉の冴橋雫と妹の冴橋美香であった、この3人でいつも飯を食べている。ご飯に関しては問題無かった、姉がいつも作ってくれたからだ。だがお母さんは理事長だ、理事長は色々と忙しい、妹か姉が来たのだろう


カーテンが開く


「あれ?割とウチの弟はモテモテなのぬ」


「あ、雫さん……!お久しぶりですっ!」


「久しぶりね、海音」


魈斗の姉である、冴橋雫が迎えに来た

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