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人間不信の俺が恋なんてするわけがない。  作者: 長谷川雫
第一章

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69 小さな思い出

 朝比奈さんと電車に三駅ほど揺られながらショッピングモールに足を運んでいた。


さすがに土曜日ということもあり、多くの人がこの商業施設に来店しているのだろう。


「うへぇ...すごい人だなぁ」


「こればっかりは仕方ないですねぇ」


隣の朝比奈さんも少々顔を引き攣らせていた。


「これだけ人いたらそれだけで疲れたりすると思うから、遠慮なくすぐ言ってくれ」


「ありがとうございます。一ノ瀬くんの方が心配ですけどね」


くすっと朝比奈さんは笑った。


「とりあえず、買い物するにしても腹ごしらえが先だな」


「そうですね。何か食べたいものありますか?」


「いや、俺は特に無いから朝比奈さんに合わせるよ」


「じゃあ、あそこに行きたいです!」


朝比奈さんが目を輝かせながら指をさした方向にはフードコートがあった。


「えっと、一応上の階にレストランとかあるけど」


俺が一応尋ねると朝比奈さんは首を横に振った。


「了解。じゃあ、行こうか」


「はい!」


 とりあえず、フードコートに足を運び空いている席を確保した。


今の時間がちょうどお昼時な事もあり、何処でも空いている訳ではないので早めに座れた事に安堵した。


二人で席に腰をかけて辺りを見渡すと人だかりがいたる所で出来ていた。


「すごい人ですね」


「そうだなぁ。俺達も運よく席が空いていてラッキーだったな」


周りには空いてる席がないか探す人たちも多く見受けられていた。


「とりあえず、何を食べるか決めようか。何も注文せずに座ってるのも気まずいしさ」

俺の言葉に頷いた朝比奈さんは、キョロキョロと周りのお店を見渡した。


大分悩んでいるのか、表情は険しい....


俺の勝手な偏見だが、朝比奈さんがフードコートと選ぶとは思わなかったから少し驚いた。


てっきりお店に入るものだと思っていたが、目の前の彼女は表情をコロコロと変え頭を右往左往に振っている。


「駄目です。お店がいっぱいあって決められません...」


色々見た結果まさかの決められない選択肢があるとは思わず笑ってしまった。


「ちょっと!なんで笑うんですか!」


「ごめんごめん。その選択肢があると思わなくて」


俺が笑っていると朝比奈さんはぷくーっと頬を膨らませた。


「じゃあ、一ノ瀬くんはきまっているのですか?」


「あー俺?あそこのハンバーグ」


お店を指差しながら答えると次は朝比奈さんが笑った。


「柊くんは本当にハンバーグが好きなんですね」


「好きなのは認めるけど、一応あっちのうどんと悩んだ結果だからな」


「はいはい。じゃあ、私も同じところで」


「あいよ、ここからどれがいいか選んで」


俺はお店のページを検索しメニュー表を表示してスマホを朝比奈さんに渡す。


「結構種類があるんですねぇ」


「サイズも豊富だからお腹と相談してくれ」


うぅ〜と唸りながら朝比奈さんは画面と睨めっこしていたが無事に決まったらしい。


「それじゃあ頼んでくるから、ここで待ってて」


「私も行きますよ?」


「いやいや、朝比奈さんはここの席の見張り番をしておいて」


「では、お願いします」


俺は短い返事を返すと目当てのお店に向かった。


注文をすまし、店員さんから呼び出しベルを渡され席にもどる。


「おかえりなさい!」


「ちょっと時間がかかっちゃうみたい、まぁこれだけ人いたら仕方ないね」


「そうですね。....久しぶりに見ましたこの機械」


朝比奈さんはそう言うとテーブルに置いていた呼び出しベルを取り懐かしむように見ていた。


「朝比奈さんはよく来てたんですか?」


朝比奈さんは一瞬ムッとした表情を浮かべたが俺の問いかけに答える時にはその顔には寂しさを感じた。


「いえ、もう随分と前ですよ。私が小学生くらいですかね」


「高校生といえばファストフード店だからなこれから行く機会あると思うぞ」


「ふふっ...なんですか、それ」


「難しい事は置いておいて歳相応の事をしてくれってことだよ」


「それを言うなら柊くんだって....」


朝比奈さんの言葉を遮るように呼び出しベルが鳴り響いた。


俺はブルブルと震えながら鳴り響くベルを手に取り、お店の受け取り口へ向かった。


 歳相応っぽくないか....。


きっとそう言いたかったんだろう。


彼女に比べれば幾千マシだと思うが、それでも似たような日常を送っている俺たちはそう感じてしまっているのかもしれない。


まぁ、それ以前に色々バレてるし今更隠す必要もないんだけどな。


だから、やっぱりこれは俺のエゴなのだ。


「小さな箱に閉じ込められた少女」


俺は一人呟きながら店員さんから商品を受け取った。

「お待たせしました。おろしハンバーグセットのお客様」


俺が商品名を言いながら机におくと朝比奈さんは綺麗に指をそろえながら手をあげた。


「チーズインハンバーグセットは....」


「えっと、すみません。そちらのセットは頼んでないです」


自分の分も店員さんになりきって渡そうとしたらまさかの受け取り拒否だった。


「おおおいい!俺の頼んだセットも受け取ってくれよ、俺だけ昼飯抜きになるじゃないですか」


「ごめんなさい、つい断っちゃいました」


「ついで断らないでください」


「一ノ瀬くんのハンバーグ大きいですね」


「このお店で一番多い奴にした、300g」


「一ノ瀬くんの細い体で食べられるのですか?」


正直お腹があまりにも空いていたいたので300gにしたが正直怪しいラインではある気がする。


「頼んだから食べるしかないな」


俺が答えると朝比奈さんは呆れた表情で俺を見た。


「ま、まぁ食べようか」


朝比奈さんが小さく切って口に運ぶのを見て俺も自分のハンバーグにナイフを入れた。


ハンバーグを口に頬張りながら朝比奈さんをみるとニコニコ嬉しそうに堪能していた。


「お口にあったみたいでよかったよ」


「はい!とても美味しいです」


ニコッと笑う朝比奈さんの破壊力はすごく、周りの視線も釘付けにしていた。


….俺も別に人の事言えた訳ではなく。


やっぱり彼女といるのは不釣り合いすぎると思いながらひたすらご飯を頬張った。


その後、やはり俺のキャパを越えた量をを口にしたのですぐに動けるはずもなく食べ終わった後も食休みをしながら朝比奈さんと雑談していたのであった。


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