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こんなこともあろうかと!  作者: 司弐紘
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それは軍隊では無く

 北から迫る危機。当然それは「北の帝国」の復活かと思われたが「クーロン・ベイ」からの報告ではそういうことでは無いらしい。

 

 その異変を何とか言葉にすると、


「正気を失った集団が、どんどん数を増やして南下している」


 ぐらいがギリギリだったようだ。

 何故、その集団が発生したのか? 何故南を目指しているのか?


 この辺りはさっぱりらしい。


 それでも、この集団の動きを「クーロン・ベイ」が知ることが出来たのは、元々追放され北へ向かった旧・保守派の足取りを追っていたからなのである。

 

 つまり、この集団が現れた理由として追放者達が関係しているのだろうと推測だけは出来る。それは将来的にはこの事態を解決するために必要になるかも知れない。


 だが、とりあえずはこの集団に対して対処することが急務であることは間違いないだろう。報告によれば放っておくと、この集団が通り過ぎた後には何も残らない――


 「北の帝国」と同じルートで南下してくるのなら「ポッド・ゴッド」が街ごと廃墟になってしまう。それはつまり「クーロン・ベイ」の破滅にも繋がるわけだ。


 シュンはそこで判断を間違えることはしなかった。元より、北の動きを注視していただけでもお手柄なのだ。だからこそ「ポッド・ゴッド」への警告も行ったし、全ての情報を開示してきたのだ。


 シュンの対応に「ポッド・ゴッド」も応えねばならない。

 結婚式が中止なった事には同情を禁じ得ないが、この事態に対して指導力を発揮できるのは、やはりデュークしかいない。


 いや、シュンがこれほど明け透けに「ポッド・ゴッド」に情報を伝えてきたのは、デュークの出馬を促すためでもあったのだろう。

 そしてデュークは――


                ~・~


「とりあえず『アイアンフォレスト』で止まるだろな。要塞はもう使えないだろうし、それが障害になるとは思わんが、地形が地形だ」


 「北の帝国」が建造した要塞「アイアンフォレスト」。

 それは山道の隘地に位置し「北の帝国」の戦略としては、この要塞を兵力の集中地点として活用するつもりがあったらしい。


 それだけに、様々な部族がこの要塞に詰めかけることになり、デュークはそこに目を付けて「アイアンフォレスト」を騙し討ちで奪取した、という実績があるのだが、今度の集団にそこまで知恵があるのかは不明だ。


 ただ道幅が狭いので物理的に、この場所で速度が落ちるだろうと考える事は決して希望的観測とは言えないだろう。


 逆に言えば、この地点でなんとかしなければ対処が難しくなってしまう。

 何かしらの詭計がデュークには求められていたが、集団はただ力任せに南進してくるだけなのだ。


 果たして対処法はあるのだろうか……

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