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こんなこともあろうかと!  作者: 司弐紘
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シュンの来訪

 シュンはデボンの「凪」航法でやって来たりはしなかった。当たり前に。

 あの航法では時間が限定されるし、安全だとも言いがたい。「ポッド・ゴッド」に港が無いのが、どこまでもネックなのだ。


 陸路を選択し、ゆっくりと「ポッド・ゴッド」にやって来たシュン。

 それはある意味では、平穏が訪れたことのアピールではあったのだろう。


 さらに言うまでもないが「クーロン・ベイ」の主席が「ポッド・ゴッド」を訪れるという意味合いも大きい。

 先だっての動乱を収めるにあたって「ポッド・ゴッド」の果たした役割がそれほど大きいと言うことだ。


 そして、一度こういった前例が出来てしまうと自然と両都市の関係性についても変化を促すことになるだろう。

 政治的にはそこまで意味がある来訪なのだ。


 これより両都市は手と手を取り合ってともに発展していく――


 それを内外に示すイベントになるわけだ。名目は「ポッド・ゴッド」の働きに対する感謝ということになるが、それだけでは済まないのが外交のややこしいところだろう。


 そして「ポッド・ゴッド」でも「クーロン・ベイ」でも大きな異変も無く、無事にシュンは「ポッド・ゴッド」に到着した。

 

「よくぞ来られた。歓迎します」


 「ポッド・ゴッド」議長のウェストが重々しく、シュンを出迎えた。

 馬車から降りたシュンは、鹿爪らしい表情で、


「感謝します」


 と、ウェストの手を握った。

 

 多分に儀礼的なものであったが、両者の顔には笑みがあった。

 両都市の新たな歴史が始まったのである。


                ~・~


 さて言ってしまえば、こなすべき「仕事」は両者ともそれぐらいしか無い。

 握手によって内外へのアピールは十分なのであるから。


 ただそれだけではあんまりなので、両都市の担当者がそれっぽいスケジュールを組んではいた。

 まずは「サンダーフェニックス」を中心とした、砂浜を利用したリゾートについてのアピールである。


 太陽が高い内に訪れる事が出来るスケジュールにしたのは、それが目的では無かったが、折角だから有効活用しようとしたのであろう。


 さらにはサイロのような酒樽を建造中の醸造ギルド。

 これは「クーロン・ベイ」の発展に繋がるので、シュンも興味深く見学した。


 興味深く、と言うよりは半ば圧倒されたようでもある。

 その表情に、何かしら含むところがあるように見えたが、シュンはそれを口にしたりはせずに、最終的ににこやかに醸造ギルドを後にした。


 そして最後は「ダイモスⅡ」である。

 何しろ「ポッド・ゴッド」躍進の中心地。この店を外すわけには行かなかった。


 それに何よりこの店は涼しかったのである。それ以上の説明はいらないだろう。

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