表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こんなこともあろうかと!  作者: 司弐紘
59/107

爆発の連鎖

 数日後、ミオは参事会に赴いた。当然、約束を取り付けてある。

 「こんな仕事、本当はしたくない」という本音があるからであろうか。ミオは大胆にも議長ウェストとの面会を望んだ。


 間にマリーを入れる事にまどろっこしさを感じたのだろう。

 「ポッド・ゴッド」の参事会はそこまでしゃちほこばった団体では無かったし、何より「ダイモスⅡ」には借りがある。


 そういった事情が重なることで、ウェストだけでは無く幹部が会議室に勢揃いしてしまったが、ミオにしてみればますます話が簡単になった、と思うだけである。


 何しろ、まず切り出す話は参事会にとっても悪くない話だからだ。


「――新しい酒については確かにそれだけの潜在力はある。しかしそれだけに、貴店は随分損をするように思えるが……」


 新酒に関してはすでに提出済みだ。というか先に幹部に屋台に足を運んで貰って、冷たい新酒を振る舞っている。

 だからこそ副議長のアイザックは懸念を表明したのだ。


「えっと、ウチだけで独占すると色々トラブルが予想されますので。参事会からの要請で醸造法については広く知らしめる事になった、とした方が良い。……とウチの者が。その代わり参事会からは醸造にあたっての使用料を頂きます」


 しっかり勉強して来たミオが、歌い上げるように言葉を並べる。


「……そして参事会は逆にギルドから使用料を徴収すると。名目はそちらに払う使用料の他に、想定される酔っ払いの対応のために、か。確かにこれなら波風は立たないねぇ~」


 アールが感心したように、ミオの説明を先取りしてしまった。

 それだけ自然な仕組みを提案したと言うことなのだろう。言うまでもなくマクミランが。


 参事会としては仕事が増える事になるが、そこに文句を言っていては始まらないし、何より先に無茶振りしたのは参事会なのである。


 そして新酒によって「クーロン・ベイ」の一派から要求された、穀物の新たな価値を生み出す、についても十分応えることが出来たと考えても良い。


 だが、ここでミオが爆弾を落とす。

 以前自分に落とされたように。


「……ウチは新酒を『クーロン・ベイ』でも販売すべきだと考えています。というか、そのための準備を進めてます」

「なんだと!? それなら話が逆になる! さらに儲けてどうする?」


 激しやすいのだろう。アイザックがすぐさま吠えた。

 それでも一瞬でそう理解した点は、確かにアイザックの鋭さを表していた。


 だが、ミオは慌てること無く説明を続ける。


「私も最初はそう考えたんです。でもこの新酒で『クーロン・ベイ』に変化を起こしたいなら、これは必ずやらなくてはならいと思うようになりました。だって『ポッド・ゴッド』で頑張って売り続けてもすぐに限界がやってくるからです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ