表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こんなこともあろうかと!  作者: 司弐紘
36/107

隙間産業の一形態

 まずはマクミランによる収支の流れを確認。

 そんな風に実際に数字にしてみると、確かに利益が膨大になっていることがはっきりとした。


 原因はといえば人件費の少なさだろう。何しろ二人しかいない。その上、最近は「ポッド・ゴッド」を訪れる観光客も増えている。


 以上の点を踏まえて――


「まず、ミオさんに育成をお願いしましょう。チキンを焼くための練習は絶対に必要ですから」

「それは確かにそうね」


 当然ここで人件費が発生するわけだが、それぐらいではどうということはない利益率なのである。屋台計画を実行に移すためには必須とも言える段取りでもある。


「そこで、私からの提案なのですが若い、というか子供を育成してみませんか?」


 だが続いてのマクミランの提案にミオは待ったをかけた。

 当たり前に、その提案に不審さを覚えたのだ。


 だからこそマクミランも丁寧に説明した。

 彼が目をつけたのは東地区の子供達だ。この地区の父親達は数日、留守にすることが多い。その間、子供達は置いてけぼりだ。


 この状態で子供達が無事であることは「ポッド・ゴッド」の民度の高さ、言ってしまえば田舎故の、のんびりした雰囲気が危機感を抱かせなかったのだろう。


 だが「ポッド・ゴッド」は変わろうとしている。

 いつまでも田舎町という意識のままでは問題があるとマクミランは主張した。


 で、あるなら目の届く場所で仕事をさせておいた方が安全ということにもなる。そして、実利もある。ちゃんと給金を支払うからだ。


「ああ、それでゴーレムが必要になるんですね……」


 そういった説明をされたパシャはマクミランの考えを理解した。

 謂わば、子供を守るためにもゴーレムを同行させる必要があるわけだ。


 それに子供と言っても、当たり前に幼児にまで仕事は振らない。

 働きに出るまであとわずかという半端な年代の子供達をスカウトする。

 

 そして仕事をして貰って、それから改めて屋台の仕事を本格的に始めるか、あるいは余裕が出来たところで他の職に就くかは、それぞれの判断に任せるわけだ。

 しっかりした形での「お駄賃をあげる」という形式と考えればそれほど違和感は無いだろう。


 そしてこれは「ラスシャンク・グループ」との競合を避ける意味もあった。

 人材の取り合いをしていれば、共倒れになる可能性もある。


 あるいはそれが最も強くミオに判断を促したのだろう。

 それに、そこまで上手くいくかどうか――とりあえずやってみないことにはわからない部分が大きい。


 何よりも子供を育成するという第一段階は、ミオの目がしっかりと行き届くのだ。

 これなら、いつでも止めることが出来る。


 そう判断したミオは首を縦に振った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ